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【回転機器用】グランドパッキンの選び方|ポンプの軸摩耗と漏れを防ぐ方法とは?

【回転機器用】グランドパッキンの選び方|ポンプの軸摩耗と漏れを防ぐ
ポンプや攪拌機、送風機など、産業機械に不可欠な回転機器。その安定稼働の鍵を握るのが、回転軸(シャフト)からの流体漏れを防ぐ「回転機器用グランドパッキン」です。ここでは、回転機器用パッキンに求められる特有の性能から、トラブルを未然に防ぐための正しい選定方法と取扱いについて、専門的な視点から詳しく解説します。
回転機器用パッキンに求められる性能とは?
ポンプのように軸が常に高速で回転する機器では、バルブ用とは全く異なる性能が求められます。最も重要なのは、軸を摩耗させない「潤滑性」と、摩擦熱を適切に逃がす「放熱性」です。
このため、回転機器用パッキンは意図的にごく少量の流体を漏洩させる(標準漏れ量)ことで、パッキンと軸の間に潤滑膜を形成し、冷却と潤滑を同時に行います。漏れを完全に止めようと強く締めすぎると、焼き付きを起こし、軸や機器に致命的なダメージを与えるため、絶対に避ける必要があります。
- 低軸摩耗性: 回転する軸を傷つけないことが最優先されます。
- 潤滑性と放熱性: 摩擦熱を抑え、焼き付きを防ぎます。
- 制御された漏れ: 潤滑と冷却のために、適度な漏れが必要です。
- 耐薬品性: 取り扱う流体に対する化学的安定性が求められます。
材質と使用条件から選ぶ回転機器用パッキン
回転機器用パッキンの選定で最も重要な指標がPV値です。これは流体圧力(P)と軸の周速(V)を掛け合わせた値で、この数値が高くなるほど、パッキンには厳しい性能が求められます。
トラブルを防ぐための重要注意点
回転機器用パッキンの性能を最大限に発揮させ、機器の寿命を守るためには、正しい取扱いが不可欠です。
選定・取付時のポイント
- シャフトの状態確認: 取付前にシャフトの傷や振れ(0.05mm以下が目安)、錆がないか必ず確認してください。
- 正しい寸法: シャフト径に合った正しい幅・リング数のパッキンを使用してください。
- 初期締め付けと慣らし運転: 最初はグランド押えを手で締め込み、機器をスタートさせます。その後、漏れ量を見ながら30分~1時間かけて少しずつ増し締めし、規定の漏れ量になるよう調整する「慣らし運転」が非常に重要です。
- 締めすぎは厳禁: 漏れを止めようと強く締めすぎると、潤滑・冷却不足で必ず焼き付きます。適度な漏れは正常な状態です。
メンテナンスと交換
- 完全交換が原則: パッキン交換時は、古いパッキンをすべて完全に取り除いてから新しいものと交換してください。
- 増し締め代の確認: 増し締め代がなくなったパッキンは寿命です。速やかに新品と交換してください。
お問い合わせ
回転機器用グランドパッキンの選定は、ポンプや攪拌機などの安定稼働と長寿命化に直結します。PV値の計算や材質選定でお困りの際や、現在のパッキンでトラブルを抱えている場合は、お気軽にご相談ください。
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