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【ボルテックスガスケット(うず巻型ガスケットの選定ガイド】構造・材質・選び方とは?選定方法を解説

【ボルテックスガスケット(うず巻型ガスケットの選定ガイド】構造・材質・選び方とは?選定方法を解説
ボルテックスガスケット(うず巻形ガスケット)は、高温・高圧といった厳しい条件下の配管フランジに最適な高性能シール材です。その特殊な構造により、優れたシール性と耐久性を両立します。このページでは、ボルテックスガスケットの基本から、ご自身の設備に最適な製品を選ぶための「選定方法」までを、順を追って分かりやすく解説します。
ボルテックスガスケットの基本構造と特徴
ボルテックスガスケットは、V字断面の金属製薄板(フープ)と、クッション性を持つ非金属製の柔らかい素材(フィラー)を、交互にうず巻き状に重ねて作られています。この構造が、優れた強度と復元性、そして高いシール性能を生み出します。

- 基本形: フープとフィラーのみで構成される基本的なタイプです。
- 外輪付: フランジへの装着を容易にし、過剰な締め付けによる変形を防ぐガイドの役割を果たします。
- 内外輪付: 外輪の機能に加え、内輪が締付圧力によるガスケットの内側への座屈を防ぎます。高温・高圧条件や大口径フランジに最適です。
ボルテックスガスケットの選定方法【3ステップで解説】
最適なボルテックスガスケットを選定するためには、以下の3つのステップで情報を整理することが重要です。
ステップ1:フランジの仕様を確認する
まず、ガスケットを使用するフランジの正確な情報を確認します。これらが寸法や形状を決定する基本情報となります。

- 適用規格: JIS, JPI, ASME/ANSI など、どの規格に基づいたフランジか。
- 呼び径 (Nominal Pipe Size): 配管のサイズ (例: 100A, 4B)。
- 呼び圧力 (Pressure Rating): フランジの耐圧クラス (例: 10K, 20K, Class 150)。
ステップ2:使用条件から材質を選定する
次に、配管内部の流体や温度・圧力条件に合わせて、ガスケットの材質(フィラー、フープ、内外輪)を選定します。

- 流体の種類: 水、蒸気、油、化学薬品など、流体の種類によって耐薬品性に優れた材質を選びます。
- 温度・圧力: 常用および最高の温度・圧力条件に耐えられる材質を選定します。
- フィラー材の選定: 一般的には膨張黒鉛(グラファイト)が広く使われますが、薬品性に応じてPTFEなども選択します。
- フープ・内外輪材の選定: 標準はSUS304ですが、耐食性が求められる場合はSUS316L、高温環境ではSUS321なども使用されます。内外輪はフランジ材質に合わせることが推奨されます。
ステップ3:形状(内外輪の有無)を選定する
最後に、使用条件の厳しさに応じて、内外輪の有無を決定します。内外輪はガスケット本体を保護し、長期的なシール安定性に貢献します。ボルテックスガスケット(うず巻形ガスケット)の座屈とは、過剰な締付圧によってガスケットが内径側または外径側へ波のように変形してしまう現象を指します。これにより、ガスケット本来のシール性能が著しく低下し、重大な漏洩事故につながる可能性があります。

特に以下のような厳しい条件では、内外輪付が必須となります。
- 高圧ライン: JIS 63K や JPI/ASME Class 900 を超える場合
- 大口径フランジ: 呼び径650A (26B)以上の場合
- 過酷な運転条件: 温度や圧力の変動が激しい配管
これらの情報をもとにお選びいただくことで、お客様の設備に最適なボルテックスガスケットを選定できます。もし選定でお困りの際や、より詳細な技術的アドバイスが必要な場合は、お気軽に弊社までお問い合わせください。
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