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蒸気用ガスケットの選定|ニチアス・バルカーの型番比較と使い分け基準 株式会社ダイコー

蒸気用ガスケットの選定|ニチアス・バルカーの型番比較と使い分け基準
「蒸気ラインのフランジから蒸気が噴き出している」
「増し締めしても漏れが止まらない」
「ニチアスのカタログにある型番が、バルカーだとどれに該当するのか知りたい」
工場の保全担当者にとって、蒸気(スチーム)ラインの漏れは最も厄介なトラブルの一つです。水や油とは異なり、高温・高圧の蒸気はガスケットへの負荷が非常に大きく、選定を一歩間違えると「寿命が極端に短くなる(すぐに漏れる)」という事態を招きます。
本記事では、国内2大メーカー(ニチアス・バルカー)の製品を比較しながら、汎用・蒸気用・高圧用の3段階で「失敗しない蒸気用ガスケットの選び方」を、正確な温度目安とともに解説します。
蒸気ラインの漏れは「選定ミス」が9割
なぜ、蒸気ラインは漏れやすいのでしょうか? 最大の原因は「熱サイクル」です。
配管は、蒸気が流れると熱膨張し、停止すると収縮します。この繰り返しの動き(熱サイクル)によってボルトの締め付け力が徐々に緩み(応力緩和)、隙間が生じて漏れが発生します。
「とりあえず手元にあった汎用ジョイントシートを使った」という判断が、数ヶ月後の再トラブルを招く最大の原因です。
第1章:汎用ジョイントシート(コスト重視)
目安:汎用ライン(100℃〜150℃未満・低圧飽和蒸気)(カタログスペック:最高183℃)
一般配管で最も使われている安価なシートガスケットです。
カタログ上の最高使用温度は183℃ですが、バインダーに汎用ゴムを含んでいるため、100℃を超える蒸気ラインで使用すると急速に熱硬化が進み、弾力を失います。
推奨:低圧の暖房配管、一時的な補修
「コストを最優先したい」「温度が低い(100℃以下)」という場合に限定して使用してください。
【プロの比較表】汎用ジョイントシート
| 特徴 | ニチアス (NICHIAS) | バルカー (VALQUA) |
|---|---|---|
| 代表型番 | TOMBO No.1995 | No.6500 |
| 製品名 | クリンシルブラウン | ノンアスジョイントシート |
| 色調 | 茶色 | 青色(ブルー) |
| 最高使用温度 | 183℃ | 183℃ |
| 特徴 | 業界標準のベストセラー。 有機繊維と無機充填材を配合。 |
汎用性の高い標準シート。 No.1995と同等の性能。 |
💡 ダイコーの視点
蒸気に使用する場合の鉄則は以下の通りです。
- 厚さは1.5mm以下を選ぶ(薄いほうが浸透漏れしにくい)。
- 必ずガスケットペーストを併用する。
- 一度熱がかかって硬化した後の「増し締め」は厳禁(割れます)。
第2章:蒸気用シートガスケット(中圧蒸気・推奨)
目安:100℃〜200℃(カタログスペック:最高214〜215℃)
汎用品(茶色や青色)よりも耐熱性を高めた、蒸気ラインのためのジョイントシートです。
膨張黒鉛や炭素繊維を配合しており、汎用品よりも熱による硬化を遅らせ、シール性を高めています。「汎用品では不安だが、うず巻にするほどではない」というラインに最適です。
推奨:一般工場のプロセス蒸気ライン
【プロの比較表】蒸気用シートガスケット
| 特徴 | ニチアス (NICHIAS) | バルカー (VALQUA) |
|---|---|---|
| 代表型番 | TOMBO No.1120 | No.6502 |
| 製品名 | クリンシルトップ | ブラックスーパー |
| 色調 | 黒 | 黒 / グレー |
| 最高使用温度 | 215℃ (水・蒸気) | 214℃ |
| 主成分 | 膨張黒鉛、アラミド繊維、NBR | 炭素繊維、アラミド繊維、NBR |
| 特徴 | 膨張黒鉛を配合し、汎用品より なじみ性・耐蒸気性が高い。 |
炭素繊維により耐熱性を強化。 No.6500の上位互換。 |
💡 ダイコーの視点
TOMBO No.1120とNo.6502は、どちらも「汎用品(1995等)の上位互換」として使用できます。
TOMBO No.1120は増し締め可能ですが、高温下では許容締付範囲が低下するため、温度が高い状態での増し締めはできません。
第3章:うず巻形ガスケット(高圧・重要ライン)
目安:200℃以上(カタログスペック:最高450℃)
主蒸気配管や、絶対にラインを止めたくない重要箇所では、シートガスケットの限界を超えます。推奨されるのは「うず巻形ガスケット」です。
推奨:主蒸気管、高圧ライン、メンテナンス困難箇所
金属のフープ(帯)と、クッション材(フィラー)を交互に巻き付けたガスケットです。バネのような弾性を持ち、熱サイクルによるフランジの動きに追従してシールし続けます。
【プロの比較表】膨張黒鉛うず巻形ガスケット
| 特徴 | ニチアス (NICHIAS) | バルカー (VALQUA) |
|---|---|---|
| 代表型番 | TOMBO No.1834R-GR | No.6596 |
| 製品名 | グラシールボルテックス | ブラックタイト |
| フィラー | 膨張黒鉛 (GR) | 膨張黒鉛 |
| 最高使用温度 | 450℃ | 450℃ |
| 特徴 | 蒸気用ガスケットの決定版。 熱サイクルに強い。 |
シール性が極めて高く、 高温蒸気に最適。 |
⚠️ 「失敗しない」ポイント:ジョイントシートとはここが違う!
1.「内外輪」などの仕様確認が必須 うず巻ガスケットには、補強のための金属リング(内輪・外輪)が付くタイプと付かないタイプがあります。フランジの種類(平面座、突合わせ等)や圧力によって適切な仕様(例:内外輪付き)を選定しないと、ガスケットが変形(座屈)して漏れにつながります。
2.複雑な形は作れない(現場カット不可) ジョイントシートのように、大きなシートから自由な形に切り出したり、現場でハサミを入れて寸法を合わせたりすることはできません。金属を巻き上げた構造のため、基本的に「円形」や「楕円」の決まったサイズで作られます。異形フランジには対応できないため注意が必要です。
第4章:まとめ&お問い合わせ
蒸気用ガスケットの選定は、温度と重要度に合わせて以下の3段階で選びましょう。
- コスト重視(100℃未満):
TOMBO No.1995 / Valqua No.6500 (目安:183℃まで)
- 蒸気標準(200℃未満):
TOMBO No.1120 / Valqua No.6502 (目安:215℃/214℃まで)
- 高温・重要(200℃以上):
TOMBO No.1834R-GR / Valqua No.6596 (目安:450℃まで)
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私たちは各メーカーの「新旧型番対比表」や「他社相当品データ」を保有しており、お客様の仕様に合致する最適なガスケットを即座に選定・提案いたします。
また、自社工場での加工機能を持っているため、標準外のサイズや緊急の製作依頼にもスピーディーに対応可能です。
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