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導入事例/コラム

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フランジの隙間から漏れる!「接面漏れ」の原因と対策|「馴染み」と「厚さ」の重要な関係【技術解説】  株式会社ダイコー

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フランジの隙間から漏れる!「接面漏れ」の原因と対策|「馴染み」と「厚さ」の重要な関係【技術解説】

「増し締めしても、フランジとガスケットの隙間からポタポタ漏れてくる」
「古い配管を再利用したら、新しいパッキンを入れたのに止まらない」
「フランジ面に錆や傷があるが、交換する予算がない」

配管メンテナンスの現場で最も頻繁に遭遇するトラブル、それが「界面漏れ(Interface Leakage)」です。
ガスケットの素材そのものを通り抜ける「浸透漏れ」とは異なり、これはガスケットとフランジ面の「隙間」を通って流体が吹き出す現象です。

界面漏れを止めるためのキーワードは、「馴染み(なじみ)」です。
この記事では、なぜ界面漏れが起きるのか、そして荒れたフランジに対してどのようにアプローチすれば漏れを止められるのか、解説します。

1. 「接面漏れ」とは? — ミクロの隙間を埋めろ

ガスケットの漏れには大きく分けて2種類あります。

  • 浸透漏れ: ガスケットの内部(素材の中)を通る漏れ(ガス系で多い)。
  • 接面漏れ: ガスケットとフランジの接触面(境目)を通る漏れ(液体・気体問わず発生)。

今回のテーマである「界面漏れ」は、一見平らに見えるフランジ面とガスケット面の間に、微細な隙間が残っていることで発生します。
ボルトを締めてガスケットを押し潰し、この隙間を物理的に塞ぐこと(馴染ませること)が、シール(封止)の基本原理です。

2. なぜ「隙間」が埋まらないのか? 3つの主要因

しっかりと締めたつもりでも界面漏れが止まらない場合、以下の3つの原因が考えられます。

原因①:フランジ面の「不整(荒れ)」

長年使用した配管フランジは、錆による腐食(孔食)や、清掃時のひっかき傷、あるいは配管応力による歪みが発生しています。
ガスケットが硬すぎたり薄すぎたりすると、これらの深い凹凸に追従しきれず、トンネルのような隙間が残ってしまいます。

原因②:締付面圧の不足

ガスケットをフランジの凹凸に食い込ませる(馴染ませる)ためには、強い力で押し潰す必要があります。ボルトの締付トルクが不足していると、ガスケットが十分に変形せず、隙間が埋まりません。

原因③:片締め(不均一な締め付け)

特定のボルトだけ強く締まっている「片締め」状態だと、圧力がかかっていない部分(口が開いている部分)から容易に漏れが発生します。

3. 接面漏れを止める「3つの処方箋」

接面漏れ対策の鉄則は、「フランジの凹凸をいかにして埋めるか」に尽きます。

対策①:ガスケットを「厚く」する(3.0mmの活用)

前回の記事で「ガスケットは薄いほうが良い」と解説しましたが、界面漏れ対策(荒れたフランジ)に限っては例外です。

理屈: 厚いガスケット(例:3.0mm)は、圧縮できる「しろ(変形量)」が大きいため、フランジ面の深い傷やうねりに対して、スポンジのように深く食い込んで馴染むことができます。

使い分け:

  • 新品・綺麗なフランジ → 1.5mm(応力緩和・浸透漏れ防止優先)
  • 荒れたフランジ・歪んだフランジ → 3.0mm(界面漏れ防止・馴染み優先)

対策②:柔らかい材質に変える

硬い「ジョイントシート」よりも、柔軟性のある「ゴムシート」や「膨張黒鉛シート」、あるいは「フッ素樹脂(ソフトタイプ)」の方が、低い締付力でもよく馴染みます。
流体条件が許すなら、材質をソフトなものに変更するのが近道です。

対策③:ガスケットペースト(シール剤)の塗布

「フランジは荒れているが、厚くすると応力緩和が心配だ」というジレンマがある場合、薄いガスケットに「ガスケットペースト」を塗布します。
ペースト状のシール剤がフランジの微細な傷に入り込み、人工的に隙間を埋めてくれます。これにより、薄いガスケットでも高いシール性を確保できます。

4. まとめ:浸透漏れ vs 接面漏れ 戦略の使い分け

ガスケット選定において、すべての現場に当てはまる「正解」はありません。2つの漏れリスクを天秤にかけ、最適なバランスを選ぶ必要があります。

項目 浸透漏れ対策
(ガス・真空ラインなど)
接面漏れ対策
(荒れたフランジ・水ラインなど)
主原因 素材の中を通り抜ける 表面の隙間を通り抜ける
厚さのセオリー 薄くする (1.5mm以下)
断面積を減らすため
厚くする (3.0mm)
凹凸に馴染ませるため
面圧の考え方 高面圧で内部を緻密にする 柔軟性で表面を密着させる
推奨アイテム 高機能シート、うず巻ガスケット 厚手ジョイント、ゴム、ペースト併用

最終章:答えはここにある。「選定のご依頼はダイコーへ」

「漏れ」と一口に言っても、それが「素材から滲んでいるのか(浸透)」、「隙間から吹いているのか(界面)」によって、打つべき対策は真逆になることさえあります。

「配管が古くて面が荒れているから、厚めのパッキンが欲しい」
「でも蒸気ラインだから、厚くすると緩みが心配だ。どうすればいい?」

このような、あちらを立てればこちらが立たない『シールのジレンマ』。
それに対して、最適なバランス解(厚みの選定、ペーストの併用、材質変更など)を提案できるのが、株式会社ダイコーの強みです。

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