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導入事例/コラム

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ガスケットにおける「応力緩和」のメカニズムと締付管理|軸力低下の原因と材質別挙動【技術解説】  株式会社ダイコー

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ガスケットにおける「応力緩和」のメカニズムと締付管理|軸力低下の原因と材質別挙動【技術解説】

「規定トルクで締め付けたはずのフランジから、数ヶ月後に漏れが発生した」
「増し締め(ホットボルティング)を行ったら、ガスケットが破損してしまった」

プラントや配管設備の保全において、このようなトラブルは決して珍しくありません。その主たる原因として挙げられるのが、ガスケット特有の物理現象である「応力緩和」です。

この記事では、応力緩和が発生するメカニズム、材質ごとの挙動の違い、そして長期的なシール性を維持するための適切な管理手法について解説します。

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1. 「応力緩和」の定義とメカニズム

ガスケットをボルトで締め付けると、ガスケットは圧縮され、圧縮方向とは逆向きに反発しようとする力(反発弾性力)が発生します。この反発力がフランジ面を押し返すことで、内部流体の漏れを防ぐ「シール機能」が維持されています 。

なぜ反発力が低下するのか?

時間が経過すると、圧縮されたガスケットの素材が徐々に馴染み(クリープ変形などを起こし)、この反発力が低下していく現象が発生します。これを「応力緩和」と呼びます 。

【影響】
反発力が低下すると、ボルトを押し返す力(軸力)が減少するため、結果として「ボルトが緩んだ」状態となります。これがシールに必要な締付面圧を下回ると、漏えいが発生します 。

2. 材質による「緩和挙動」の違い

応力緩和の進行度合い(緩和率)は、ガスケットの材質によって顕著に異なります 。

応力緩和が大きい
(軸力低下リスクが高い)

  • ジョイントシートガスケット
  • ふっ素樹脂系(テフロン)ガスケット

これらのような「軟質系シートガスケット」は、材質の特性上、時間経過に伴う応力緩和が比較的大きく発生します 。

応力緩和が小さい
(軸力を維持しやすい)

  • うず巻形ガスケット
  • メタル系ガスケット

金属を主体とする「セミメタル系」や「メタル系」ガスケットは、応力緩和が小さく、初期の締付力を長期間維持しやすい傾向にあります 。

3. 「増し締め(ホットボルティング)」の技術的判断

応力緩和による締付力低下を補正する手段として、運転中や昇温後の「増し締め(ホットボルティング)」が検討されることがありますが、これには材質に応じた慎重な判断が必要です 。

ジョイントシートの場合

ジョイントシートは、昇温後に時間が経過すると熱硬化する性質があります。硬化した状態で増し締めを行うと、ガスケットが脆性破壊(割れ)を起こすリスクが高いため、増し締めは推奨されません 。

ふっ素樹脂系の場合

ふっ素樹脂は、昇温に伴い軟化し、変形量(クリープ)が増大します。ホットボルティングを行う場合は、過剰変形を抑制できる「溝形フランジ」の使用が望ましく、かつ初期締付力と同じ値での定量的なトルク管理が不可欠です 。

結論:最適な選定と管理はダイコーへ

「応力緩和」は避けられない物理現象ですが、適切な材質選定と締付管理によってコントロールすることが可能です。

「この温度条件で、増し締めが必要かどうか判断したい」
「応力緩和の少ないガスケットへ仕様変更したい」

そのような時は、「選定のご依頼はダイコーへ」とお任せください。豊富な知見に基づき、お客様の設備の安全を守る最適なシールソリューションを提供いたします。

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