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【図面なしOK】現物からガスケット・パッキンを複製・製作!廃番部品を精密に復元する加工技術 株式会社ダイコー

【図面なしOK】現物からガスケット・パッキンを複製・製作!
廃番部品を精密に復元する加工技術
工場の設備保全やメンテナンスの現場において、「古い機械のパッキンから漏れが発生したが、メーカーが廃業して純正部品が手に入らない」「海外製設備のため図面が存在せず、交換用のガスケットを用意できない」といった深刻なトラブルに直面したことはありませんか?
配管フランジや機械のシール材は消耗品ですが、稼働歴の長い設備ほど図面が紛失しているケースが多く、設備を止められない保全担当者様を悩ませる大きな課題となっています。
本記事では、工業用シール材の専門メーカーである株式会社ダイコーが、図面がない状態から現物支給で新品のガスケットを復元する「現物採寸加工(リバースエンジニアリング)」の具体的な手順を解説します。実際の加工事例(スリーシートから最新ノンアスへの復元)と、「ウォータージェット加工機」を用いた圧倒的な再現技術を交え、その仕組みやメリットをわかりやすく解説します。
1. 【定義】ガスケットの「現物採寸加工」とは?
工業用ガスケットにおける現物採寸加工(リバースエンジニアリング)とは、図面やCADデータが一切存在しない状態において、使用済みの現物部品や機器側のフランジ面から直接寸法を割り出し、それをデジタルデータ(2D CAD/DXF等)化して新品のシール材を複製・製造する手法のことです。
通常、パッキンを製作するには正確な寸法が記された図面が必要ですが、この手法を用いることで、「現物さえあれば、最新の材料で、抜き型を作らずに即座に高精度な復元ができる」のが最大の特徴です。
特に、製造中止(ディスコン)になった部品の代替品手配や、市販の規格品(JIS規格など)に当てはまらない特殊な異形フランジのシール材製作において、極めて有効かつ最速の解決策となります。
2. 【比較表】図面なしガスケット製作の手法比較(現物採寸 vs 従来手法)
図面がない場合のガスケット製作において、株式会社ダイコーが得意とする「現物採寸+ウォータージェット加工(抜き型レス)」と、現場で行われる「手作業による切り出し」や「抜き型(トムソン型等)を用いたプレス加工」を比較しました。
| 比較項目 | ① 現物採寸 + ウォータージェット加工 (ダイコー方式) |
② 現場での手作業 (ハサミ・ポンチ等) |
③ 抜き型を製作しての プレス加工 |
|---|---|---|---|
| 寸法の正確性 | ◎ 非常に高い データ化により複雑なRや穴位置を精密再現 |
△ 低い 手ブレによる歪みや穴のピッチズレが生じやすい |
◎ 非常に高い 型の精度に依存 |
| 初期費用 (イニシャル) | ◎ 0円 (不要) | ◎ 0円 (不要) | × 高額 数千円〜数万円の型代が必要 |
| 複雑な形状・異形対応 | ◎ 非常に得意 水圧で切るため応力がかからず細部も綺麗 |
× 困難 カーブや狭い幅の切り欠きは割れやすい |
△ 割高 型製作費が形状に応じて跳ね上がる |
| 製作スピード | ◎ 最短即日〜 DXFデータ作成後すぐにカット可能 |
○ 即日 ただし手間と時間がかかる |
× 遅い 抜き型の完成を待つ必要がある |
| 材質変更の容易さ | ◎ 容易 データを保存するため別材質・別厚みでも即対応 |
△ 不便 手作業のやり直しが必要 |
△ 不便 厚みや硬度が大きく変わると型が使えない場合がある |
このように、現物をデジタルデータ化してウォータージェット加工機でカットする手法は、精度・スピード・コストのすべての面で圧倒的な優位性を持ちます。
3. 【加工事例】スリーシートから「TOMBO No.1995」への現物復元と材質変更
ここで、実際に株式会社ダイコーにて図面なし・現物支給から製作を行った直近の加工事例をご紹介します。
■ ご依頼の背景と課題
お客様の設備メンテナンスにおいて、「特殊な異形形状のガスケットが経年劣化でボロボロになり漏れが発生したが、古い設備のため図面が存在しない。すぐに代替品を作ってほしい」との緊急のご依頼を受けました。
お送りいただいた現物は、自動車や一般産業機械で汎用的に使われる紙ベースのガスケット「スリーシート(スリーボンド製ペーパーガスケット)」でした。これを弊社で精密採寸・データ化し、ノンアスベストジョイントシートへ材質を変更し復元製作することになりました。
【復元前】スリーシート(現物・使用済み)
使用済みガスケット、機器が古く図面が無い。 
【復元後】TOMBO No.1995(新品)
ウォータージェットでカット。ノンアスシートに変更。
■ 製作スペック
- 元部品(現物支給品): スリーシート製 使用済みガスケット
- 製作材質: ニチアス TOMBO No.1995(汎用ノンアスジョイントシート) 厚み1.0t
- 寸法・形状: 160W × 246L / 11φボルト穴×6ヶ所(11φ-6)
- 形状タイプ: 異形トラック楕円(長円形の上下にボルト穴用の「耳」が不規則に飛び出した特殊形状)
■ ダイコーのウォータージェット加工ノウハウ
今回の形状は「異形トラック楕円」と呼ばれる、単純な丸や四角ではない複雑なカーブ(R形状)と、不均等に配置された6つのボルト穴を持つ特殊なフランジ形状でした。
- 精密採寸とデータ化: 現物から正確に外周Rの角度とボルト穴(11φ)の位置関係を専用ツールで採寸し、寸法補正を行いながらDXFデータ(CADデータ)を作成しました。画像に写っている手書きの赤線は、このデータ化のための緻密な計測作業の痕跡です。
- ウォータージェットによる極密カット: 今回の加工には、当社の強みである「ウォータージェット加工機」を採用しました。超高圧の水を極細のノズルから噴射して切断する工法です。刃物を使わない非接触加工であるため、ジョイントシートに無理な力(応力)がかからず、細い耳の部分や狭い幅の箇所でも割れやクラックが発生しません。
- 熱影響がない(非熱加工): 素材の変質や切断面の焦げがなく、現物通りに寸分違わず美しい断面で精密に再現できます。
完成したTOMBO No.1995のガスケットは、手作業の切り出しでは歪みが出やすい滑らかな曲線も完璧な仕上がりとなっています。
4. 現品支給からガスケットを製作する5つのステップ
株式会社ダイコーに現物をお送りいただき、新品のガスケットがお手元に届くまでの具体的な手順をリスト化しました。
- 現物の送付・受け入れ: お客様より、使用済みのガスケット(ちぎれていてもパーツが揃っていれば可)や、機器のフランジ面を型取りした紙などをダイコーへお送りいただきます。
- プロによる精密な採寸と寸法補正: 熟練のスタッフがノギスや各種測定器を用いて現物を精密採寸します。使用済みガスケットは熱や圧力による「圧縮永久ひずみ(ヘタリ)」や「膨潤・収縮」が発生しているケースが多いため、単純に測るだけでなく、ボルト穴のピッチ(P.C.D)などの規格を推測・補正しながら、本来あるべき正しい設計寸法を割り出します。
- CADデータ(DXF)への変換: 採寸・補正した寸法をもとに、2D CADソフトを用いてデジタルデータ(DXFデータ)を作成します。複雑なカーブや不均等な穴位置なども、この段階で正確に数値化し、寸法のズレを完全に排除します。
- 最適な材質へのアップグレード提案: お客様に流体の種類(水・油・薬品・蒸気など)や温度・圧力をヒアリングし、数ある自社在庫の中から最適な材質をご提案します。今回の事例のように、古い紙パッキンから最新の高性能ノンアスジョイントシートや特殊ゴムへの材質変更(アップグレード)も得意としています。
- ウォータージェット加工機による抜き型レス製造: 作成したDXFデータをウォータージェット加工機に転送し、原板シートからダイレクトに切り出します。高精度な水圧カットにより、現物の形状を完全に再現した高品質な新品ガスケットが完成・即日出荷されます。
5. 【注意点】図面なしで現物から製作依頼する際のアドバイス
現物からガスケットを製作・復元する際、現場担当者様に知っておいていただきたい重要な注意点がいくつかあります。これらを把握しておくことで、より迅速かつ精度の高い復元が可能になります。
● 「収縮や変形」を考慮し、P.C.D情報を共有する
使用済みのガスケット(特にゴムや紙、ノンアス系)は、長期間の熱や油への暴露により膨張・収縮を起こしていることがほとんどです。現物の実寸が「本来の正しいフランジ寸法」と数ミリずれている場合があるため、もし可能であれば「機器側の金属フランジの外径」や「ボルト穴の中心から中心までの正確なピッチ(P.C.D)」の数値を併せてお知らせいただくと、より完璧な復元データが作成できます。
● ちぎれてボロボロでも捨てない
破損してちぎれてしまったパッキンでも、破片をパズルのようにつなぎ合わせることで全体の輪郭や穴位置を推測できます。一部が欠損していても諦めず、まずはそのままの状態で弊社へお送りください。
● 拓本(こすり出し)も非常に有効
どうしても現物を設備から外して送れない場合や、現物が原型をとどめていない場合は、フランジ面に紙を当てて鉛筆や汚れた手などで縁をこすり出し(拓本)をした紙をお送りいただくことでも、寸法を割り出して製作することが十分に可能です。
6. まとめ・試作1枚から自社抜き型での量産までダイコーへ
「図面がない」「メーカーが廃番になった」「特殊な異形パッキンを大至急作りたい」
設備保全の現場で発生するこのようなシビアなお悩みは、株式会社ダイコーの「現物採寸 + ウォータージェット加工」がすべて解決します。
試作(型レス)から大量生産(自社抜き型)までシームレスに対応
ダイコーの強みは、現物からの1枚の特急対応だけではありません。
「まずはウォータージェットで1枚試作してフィッティングを確認し、問題なければ数千〜数万個の大量ロット(数物)を注文したい」といったご要望にも強力に対応いたします。
当社では、量産時に必要となる「専用の抜き型(トムソン型など)」を自社内で内製する体制を完備しています。そのため、外注にかかるタイムロスやマージンを極限まで削ぎ落とし、試作品の完成から圧倒的な短納期・低コストでの量産プレス加工へとシームレスに移行することが可能です。
(※自社内で抜き型を製作し、PTFE(フッ素樹脂)を用いた上水用フランジガスケットを高精度に量産した加工実績については、当サイトの導入事例『PTFE(テフロン)上水用ガスケットの加工事例|プレス加工で上水フランジ形状に対応』もあわせてご覧ください。)
図面がないパッキンの復元から、特殊形状シール材の大量手配でお困りの際は、ISO9001認証を取得している株式会社ダイコーへぜひお気軽にご相談ください。
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