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【排ガス系耐熱ガスケット加工事例】D5400(ガラスクロス)・D5800(生体溶解性クロス)の特徴と選定ガイド 株式会社ダイコー

【排ガス系耐熱ガスケット加工事例】D5400(ガラスクロス)・D5800(生体溶解性クロス)の特徴と選定ガイド
「高温の排ガスダクトに合うガスケットを探しているが、形状が特殊で既製品がない」
「セラミッククロスのRCF規制への対応を急ぐ必要がある」
「熱でフランジにガスケットが焼き付いてしまい、メンテナンスのたびに剥がすのが大変だ」
工場プラントの排ガスラインやボイラー周辺など、極めて高温となる過酷な環境下でのシール材(ガスケット・パッキン)選定は、設備の安全性やメンテナンス効率に直結する重要な課題です。
本記事では、工業用シール材の専門メーカーである株式会社ダイコーの主力製品、「D5400(ガラスクロスガスケット)」および「D5800(生体溶解性クロスガスケット)」の加工事例カタログの発刊に合わせ、製品の定義、RCF規制への対応、そしてあらゆる形状を実現するダイコー独自の加工技術について詳しく解説します。
1. ゴム引き織布ガスケットの定義と重要性
高温環境下で使用されるダクトやマンホールのシールには、単なるゴムシートではなく、耐熱性に優れた無機繊維(ガラス繊維やセラミック繊維)を編み込んだ「織布(クロス)」が使用されます。
「ゴム引き織布ガスケット」とは耐熱性を持つガラスクロスや生体溶解性クロスなどの基材に、天然ゴムなどのゴム溶剤を含浸・塗布(ゴム引き加工)し、積層して成型したガスケットのことです。
なぜ「ゴム引き」が必要なのか?
繊維だけのクロス材は、裁断すると端からほつれてしまい、複雑な形状のパッキンに加工することが困難です。そこにゴム引き加工を施すことで繊維同士が結着し、裁断、打ち抜き、縫製などの加工が容易になります。また、ゴムが繊維の隙間を埋めることで、パッキンとしての基本的なシール性能(※完全な気密性を保証するものではありません)を確保し、様々な産業分野のニーズに対応する高機能な複合素材へと生まれ変わります。
2. 【比較表】D5400(ガラス)とD5800(生体溶解性)の違いとRCF規制対応
ダイコーが提供する排ガス系ガスケットの2大主力製品、「D5400」と「D5800」の特徴とスペックを比較表で整理しました。使用環境の温度や法規制に合わせて最適な材質を選定してください。
| 比較項目 | D5400(ガラスクロス) | D5800(生体溶解性クロス) |
|---|---|---|
| 基材材質 | ガラス繊維(ガラスクロス) | 生体溶解性繊維(AESクロス) |
| 安全使用温度 | 400℃ | 800℃ |
| 標準厚み(1プライ) | t1.6 | t2.0 |
| 金属線の有無 | なし(標準) | SUS金属入り(強度保持のため) |
| RCF規制 | 非該当 | 非該当(RCF対応代替品) |
| 主な適用環境 | 一般的な排ガスダクト、中低温炉 | 焼却炉、極高温の排ガスライン、高熱機器 |
⚠️ 重要なポイント:D5800と「RCF規制」への対応
過去、800℃クラスの超高温環境では「セラミッククロス(リフラクトリーセラミックファイバー=RCF)」が広く使用されてきました。しかし、発がん性の懸念からRCF規制(特定化学物質障害予防規則の改正)が施行され、労働環境におけるRCFの取り扱いや使用に対する規制が厳格化されました。
ダイコーの「D5800」は、この規制に対応するため、人体への安全性が高い「生体溶解性クロス(体内に吸入されても溶けて排出されやすい繊維)」を採用した次世代の高温用ガスケットです。従来品のセラミッククロスからの安全な切り替え(代替)として、強く推奨される製品です。
3. 現場の課題を解決するオプションと製品ラインナップ
ダイコーでは、板状のガスケットだけでなく、現場の用途に合わせた多彩な製品形態とオプションをご用意しています。
① 焼き付き防止処理(黒鉛処理:D5400-G / D5800-G)
高温下で使用されるガスケットの最大の悩みが、熱によるフランジへの「焼き付き」です。これを防ぐため、ガスケットの最表面に独自の「黒鉛(グラファイト)処理」を施すオプションです。他の材料との剥離性が劇的に向上し、定期メンテナンスやパッキン交換時の清掃・剥がし作業の負担を大幅に軽減します。
② 用途に応じた製品形態の展開
- テープ(D5400-T / D5800-T): 小幅にスリットされたロール状の製品。大口径排気ダクトのパッキン材や、配管の保温断熱・火傷防止用の巻き付け材として施工性に優れます。
- リボン(D5400-R / D5800-R): テープと同様に幅広のロール製品です。
- 丸打ち / 角打ちパッキン: 繊維をロープ状(丸型・角型)に編み込んだ製品。ボイラーや工業炉の扉シール、ポンプシール部などで、溝にはめ込んで使用されます。
- ヤーン(ロープ): ガラス繊維や生体溶解性繊維を撚り合わせた紐状の耐熱材です。
4. 株式会社ダイコーの圧倒的な加工技術と強み
なぜ、ダイコーの排ガス系ガスケットが多くのプラントやメーカーで採用され続けているのか。それは「素材づくり」から「最終形状のカット」までをワンストップで行える、業界屈指の技術力と設備力にあります。
ダイコーの強み
- 「ゴム引き加工」の完全内製化: 単に仕入れた材料を切るだけではありません。原板生地(クロス)に対する発煙防止処理やゴム溶剤の塗布・積層成形という「素材づくりの工程」から自社工場で内製化しています。これにより、品質の安定と圧倒的なリードタイムの短縮(短納期)を実現しています。
- 最新設備(ウォータージェット/レーザー加工): 日本最大級のウォータージェット加工機や高出力レーザー加工機を保有。ゴム引きクロスや分厚い積層板でも、金型不要でミリ単位の高精度な切り出しが可能です。3000Φを超える大口径ガスケットの製作実績も多数あります。
- 設備の限界を突破する「熟練職人の手加工」: 機械だけでは対応しきれない複雑な立体ダクト形状や、微細な異形額縁パッキンなどは、素材特性を熟知した職人の手技を掛け合わせることで、完璧な精度で仕上げます。
- 図面レス製作(現物からの採寸): 「古い海外製の機械で図面がない」「ボロボロになったパッキンしかない」という場合でも、使用済みの現物や型取りした紙をお送りいただければ、当社で採寸・データ化し、最適な材質で新品を製作いたします。
5. D5400 / D5800が活躍する産業分野
ダイコーの耐熱ガスケットは、高い信頼性が求められる以下の過酷なプラント・インフラ設備で広く採用されています。
- ゴミ焼却施設・環境プラント: 各種ダクト継手、マンホールシールなど
- 製鉄・鉄鋼メーカー: 熱風炉、圧延ライン周辺の極高温設備の断熱・シール
- 火力・バイオマス発電所: ボイラー周辺、排煙脱硫装置などのエネルギー供給インフラ
- 造船・舶用エンジン: 振動と熱が同時に発生する排気管用伸縮継手やタービン周辺
- 化学プラント: 反応塔や特殊ガス配管のジョイント部
- 産業機械・工業炉メーカー: 工業炉の炉扉パッキン、断熱カバー
6. まとめ:排ガス・高温ラインの熱対策はダイコーへお任せください
「D5400(ガラスクロス)」と「D5800(生体溶解性クロス)」は、排ガスラインや高温設備の安全稼働を支える不可欠なガスケットです。特にD5800は、RCF規制をクリアした安全な次世代素材として、現場の環境改善に大きく貢献します。
株式会社ダイコーでは、「まずは試作品で性能を評価したい」「1箇所だけ特殊な形状のガスケットが必要」といったご要望にも、自社一貫製造の強みを活かし、1個から短納期で柔軟に対応いたします。
複雑な形状の加工や、高温環境下でのシールトラブル、焼き付き防止対策でお悩みの際は、専門メーカーならではの「最適解」をご提案するダイコーへ、ぜひご相談ください。
製品に関するお問い合わせ

ガスケット・パッキン・工業用製品の総合カタログ
このカタログは、ガスケット・パッキンをはじめとした工業製品を幅広く取り扱う株式会社ダイコーの製品情報を詳しく掲載した総合カタログです。


