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導入事例/コラム

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絶縁マイカスリーブ・絶縁PTFEスリーブの特長と特注寸法の手配・選定基準【技術開発】 株式会社ダイコー

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絶縁マイカスリーブ・絶縁PTFEスリーブの特長と特注寸法の手配・選定基準【技術開発】
〜ミリ単位のカスタムカット対応で、中温から高温域までの異種金属接触腐食を防止〜

プラント設備や各種産業機械の長寿命化において、配管フランジや異種金属の接合部で発生する異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)の防止は極めて重要な技術課題です。なお、本記事でいう「電食」とは、主にこの異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)を指します。

システム全体で十分な絶縁抵抗を確保する必要があります。このボルト締結部のフランジ絶縁(アイソレーション)において、ボルト軸部とフランジ内壁の接触(通電)を物理的に防ぐ中核パーツが、絶縁ボルトスリーブ(絶縁ブッシング)です。

本記事では、工業用シール材・絶縁材の専門加工メーカーである株式会社ダイコーが、代表的な2大材質である「絶縁マイカスリーブ」と「絶縁PTFEスリーブ」の材質特性を徹底比較。それぞれの選定基準、ミリ単位の長さ指定を伴う特注(別作)手配が不可欠となる理由、およびガスケットまで含めた最適なトータルコーディネートについて解説します。

1. 【定義】なぜ絶縁スリーブの「特注寸法(別作手配)」が必要なのか?

絶縁スリーブは、ボルトのネジ部(軸部)がフランジ下穴の内壁に接触し、そこから電流経路(通電経路)が形成されて異種金属接触腐食対策が損なわれるのを防ぐための重要な障壁です。そのため、スリーブの長さ(L寸法)選定には一切の妥協が許されません。

短すぎる場合(不適用):

ボルト軸の一部が露出し、フランジ下穴の内壁に接触。そこから電流がバイパスして異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)が発生し、絶縁フランジキットとしての機能が喪失します。

長すぎる場合(不適用):

フランジ面からはみ出したスリーブが、ボルト締め付け時に過剰に圧縮されて座屈・破損するか、あるいはナットがフランジ座面に到達する前に突っ張ってしまい、ボルトが正しく締まらない「締付不良(緩み・流体漏れ)」の直接的な原因になります。

実際の現場におけるフランジ締結では、JIS/ASMEなどの規格フランジだけでなく、特殊な厚みの異形フランジ、ガスケットの厚み、補強板やブラケットの挟み込みなどにより、必要とされるスリーブの長さは千差万別です。
既製品の寸法では対応しきれないため、現場の設計厚み(フランジ総厚+パッキン厚+絶縁ワッシャー厚)に完全に合致する、ミリ単位での長さ指定ができる「ダイコーの別作(特注)手配」が不可欠となります。

2. 【比較表】絶縁マイカスリーブ vs 絶縁PTFEスリーブの特性・選定基準

絶縁スリーブは、稼働温度や環境条件によって、硬質集成マイカ製とPTFE(フッ素樹脂)製を明確に使い分ける必要があります。2大材質の性能・適応基準を比較表にまとめました。

評価項目 絶縁マイカスリーブ
(型番: A28725)
絶縁PTFEスリーブ
(型番: A11048)
主材質 硬質集成マイカ(雲母) PTFE(純フッ素樹脂)
使用温度の目安 200℃ 〜 400℃(高温域用) 常温 〜 200℃程度(中汎用温度域用)
※機械的負荷条件による
電気絶縁性 優れた耐電圧特性 極めて高い電気絶縁性
(体積固有抵抗率:1018 Ω·cm 以上)
耐応力緩和特性 ◎ 優秀
(高温高負荷でも変形・へたりが小さい)
△ 配慮が必要
(高温下ではクリープ変形を生じやすい)
吸水率・耐候性 吸水率が低く屋外使用でも安定 抜群の非吸湿性
(ASTM D570においてほぼ0%)
材質的弱点 割れや欠け(脆性)を生じやすいため施工注意 荷重下におけるクリープ(流動変形)に注意
主な適応流体・ライン 過熱蒸気、高温排ガス、熱処理炉まわり 一般プロセス配管、水、油、化学薬品、純水ライン

3. 【詳細リスト】各絶縁スリーブの材質特性と使い分け

① 絶縁マイカスリーブ(高温域:200℃〜400℃用)

従来のフッ素樹脂やエポキシ樹脂などの高分子材料では対応が困難な、200℃以上の高温環境下において優れた性能を発揮するのが硬質集成マイカ製のスリーブです。

  • 材質の特長: マイカ(雲母)はケイ酸塩鉱物の総称であり、高い絶縁性と耐熱性を有します。これらを剥離・集成し、高耐熱性バインダーを用いて成型を施した「硬質集成マイカ」は、使用温度の目安:200℃〜400℃に対応。高温環境下でも形状安定性に優れ、熱分解や著しい熱変形を起こしにくいため、高い絶縁性能を維持します。
  • 締結力の保持性: 熱と荷重が同時にかかるボルト締結部において、マイカはPTFE等の樹脂材料と比較して応力緩和(経年的なへたり・潰れ)が小さく、高温・高負荷条件下に長時間晒されても初期の締付トルク(軸力)を維持しやすい特長があり、締結部の緩みを防止します。

② 絶縁PTFEスリーブ(中汎用温度域:〜200℃用)

常温から200℃程度(機械的負荷条件による)までの一般的な化学プラントプロセス、半導体製造装置、水・油ラインなどにおいて、最も高い実績と優れたコストパフォーマンスを誇る標準的なフッ素樹脂(テフロン)製スリーブです。

  • 極めて高い電気絶縁性: 体積固有抵抗率が 1018 Ω·cm 以上 という抜群の遮断性能を誇り、電食の原因となる腐食電流を確実に遮断します。
  • 優れた耐薬品性と非粘着性: 吸水率は極めて低く(ASTM D570試験においてほぼ0%)、空気中の水分吸収による絶縁低下の心配がありません。また、優れた耐薬品性を持ち、非粘着性の特性により内部に異物や導電性物質が付着しにくいクリーンな環境を維持します。カソード防食などを行う際の電気絶縁(Cathodic Protection Isolation)の維持にも寄与します。

4. 【温度帯別】ガスケットも含めた絶縁システムのトータルコーディネート

異種金属接触腐食対策(ガルバニック腐食対策)は、ボルトまわりのスリーブを絶縁するだけでは成立しません。フランジの間に挟み込むガスケット(パッキン)自体の選定を誤ると、ガスケットを介して通電(リーク)が発生したり、熱劣化による流体漏れを引き起こしたりします。ダイコーでは、稼働温度帯に合わせた最適な「フランジ絶縁セット(アイソレーションキット)」をご提案しています。

① 【高温域:150℃〜】マイカ + 高温用絶縁ガスケットシステム

150℃を超える高温域や熱サイクルの激しいプラント配管では、ボルト側に「絶縁マイカスリーブ&マイカワッシャー(耐熱450℃、厚み3mm)」を配置し、フランジ間には熱変形や熱サイクルに強い金属複合型の高温用絶縁ガスケット、または充填材入りフッ素樹脂シートを組み合わせるのが最適解です。

TOMBO No.1834-NA-9007-LC(高温用絶縁ボルテックスガスケット):

復元力に優れる金属製ボルテックスをベースに、充填材入りナフロン(No.9007-LC)を組み合わせた複合ガスケット(Isolation Gasket Kit)です。最高温度220℃、最高圧力24kgf/cm²に対応し、熱サイクル時の応力緩和による圧縮破壊を防ぎながら安定した電気絶縁性を保持します。熱サイクルにより一時的に低下した絶縁抵抗が初期値レベルへ安全に回復することが確認されており、空港の熱気配管等の蒸気ラインでの確実な運用実績があります。

TOMBO No.1133(ナフロン®PTFE充填材入りシートガスケット):

アルミナ等の無機充填材を配合し、熱変形(クリープ)を大きく抑制した高機能シート。高温下でも優れたシール性と電気絶縁性を両立するため、高温環境における絶縁用途のガスケット候補として広く検討されています。

② 【中汎用温度域:〜150℃】PTFE + ガラスエポキシ標準システム

140℃以下の汎用プロセス配管や水・油ラインなどでは、高い機械的強度と抜群のコストパフォーマンスを両立する標準システムを提案します。

絶縁PTFEスリーブ + ガラスエポキシワッシャー(耐熱140℃):

ガラス入りエポキシ樹脂のワッシャーは、非常に高い締付荷重強度(圧縮強さ 3,680 kgf/cm²)を有しており、確実な強トルク管理を支えます。

TOMBO No.9010-A-5(ナフロン®PTFEクッションガスケット):

クッション性のある中芯材をPTFEで被覆した形状のパッキン。FRPフランジやガラスライニング配管などの低面圧フランジにおいて、確実なシール性と高い絶縁性を安価に実現します。

5. 【設計基準】施工・設計における「ダイコーからの2大アドバイス」

安全な運用のために、スリーブの特注手配および施工の際は、以下の2大設計基準を必ず厳守してください。

アドバイス①:金属製ワッシャーの併用(必須条件)

マイカやガラスエポキシなどの絶縁部材は、非常に高い圧縮強度を持つ反面、締め付け時のトルクの偏り(片締め)や、ナット回転時の直接摩擦によって「割れ・剥離(脆性破壊)」を生じやすい性質があります。破損を防ぐため、必ず「絶縁ワッシャーの外側(ナット・ボルト頭と直に接する側)」に金属製ワッシャー(鉄・ステンレス製)を重ねて配置し、締め付け力を面で均一に分散させてください。

アドバイス②:追加厚みを考慮したボルト長さの選定

絶縁システムを導入すると、フランジの両側に絶縁ワッシャー(厚み3mm×2枚=6mm)および保護用の金属製ワッシャーが追加積層されます。ボルト径やフランジ仕様によって必要長さは異なりますが、締結部の総厚みが増加するため、絶縁スリーブ・ワッシャーの追加厚みを考慮し、十分なねじ掛かり長さが確保できるボルト長さを選定してください。一般的には通常仕様より長いボルトが必要となります。

6. ダイコーの強み:ミリ単位の別作カット対応と確実な品質管理

株式会社ダイコーでは、お客様の設計スペースやフランジ総厚(パッキン厚・ワッシャー厚含む)の計算に合わせ、1mm単位での「特注長さ(L寸法)」のカット・別作製作を柔軟に承っております。

大型の熱処理装置、ジャケット付き配管、特殊な長尺スタッドボルト締結など、既製品の寸法では対応が難しい長尺スリーブの別作手配も、NC旋盤や高精度ウォータージェット加工機等の適切な加工設備によって、型代不要(初期費用0円)で精密に切り出します。長尺対応も承っておりますので、寸法詳細や対応実績についてはお気軽にお問い合わせください。

また、弊社は品質マネジメントシステム「ISO9001:2015」(認証機関:G-CERTI)の認証取得企業です。わずかな寸法不良や材料の欠けが、プラント稼働後の液漏れや絶縁破壊に直結するシビアな領域だからこそ、徹底した品質管理のもとで確実な製品だけをお届けします。

「図面通りの特殊な長さのスリーブを別作してほしい」「現在の稼働温度と流体条件に最適な、スリーブとガスケットの組み合わせを知りたい」など、どのようなことでもお気軽に弊社担当営業までご相談ください。

2. 1個から対応可能なオーダーメイド加工

最新鋭のカッティングプロッターやウォータージェット加工機、NC旋盤といった多彩な加工設備を駆使し、お客様からいただいた図面(CADデータ)や現物サンプルを基に、あらゆる形状・寸法の絶縁ガスケット、ワッシャー、スリーブを1個からでも迅速に製作。JIS規格だけでなく、ASME、JPIといった海外規格や、規格にない特殊寸法品まで、柔軟に対応いたします。

電食対策は、後手に回ると大きな損害につながります。設備の設計段階、メンテナンス計画の際に、少しでも電食のリスクや絶縁対策に不安を感じたら、悩む前にまず私たち専門家にご相談ください。確かな技術と知識で、お客様の大切な設備を電食の脅威から守る、最適なソリューションをご提供します。

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