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RoHS(ローズ)指令とは?対象10物質とゴム・樹脂パッキンへの影響 株式会社ダイコー

RoHS(ローズ)指令とは?対象10物質とゴム・樹脂パッキンへの影響【2026年末】
「図面に『RoHS対応品のこと』と記載があるが、従来のパッキンをそのまま使っていいの?」
「EU向け輸出製品の部品について、至急RoHSの非含有証明書(chemSHERPA等)が必要になった」
電気・電子機器を製造・輸出するメーカーにおいて、今や避けては通れないのが「RoHS(ローズ)指令」です。特に、パッキンや絶縁材として多用される「ゴム・プラスチック部品」は、近年追加された規制物質(フタル酸エステル類)の対象となりやすいため、厳密な材質管理が求められます。
本記事では、分かりにくいRoHS指令の基礎知識から、規制される10物質、そしてゴム・樹脂部品を調達する際の注意点を、工業用シール材専門商社の株式会社ダイコーが分かりやすく解説します。
1. RoHS(ローズ)指令とは?なぜ必要なのか
RoHS指令とは、「電気・電子機器における特定有害物質の使用制限(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment)」を定めたEU(欧州連合)の法律です。
2006年7月に最初のRoHS指令(RoHS1)が適用開始され、その後2011年の全面改正(RoHS2)、2015年の追加改正(通称RoHS3)を経て現在に至ります。
【RoHS指令の目的】
廃電気・電子機器(PC、家電、スマホ、制御機器など)が最終的に廃棄・焼却される際、有害な化学物質が地下水や土壌に溶け出し、環境汚染や人体への悪影響を引き起こすのを防ぐことです。
EU市場で販売されるAC1000V・DC1500V以下のほぼすべての電気・電子機器が対象となり、基準を満たした製品には「CEマーキング」の貼付が義務付けられています。
※関連法規制として、廃電気・電子機器のリサイクル義務を定めた「WEEE(ウィー)指令」があり、RoHS指令とセットで環境保護を担っています。
2. 規制される「RoHS10物質」と最大許容濃度
現在のRoHS指令では、以下の10物質の含有が厳しく制限されています。指定の「最大許容濃度(閾値)」を超える量を含む部品や材料は、EU市場へ出荷することができません。
| 規制物質名 | 略号 | 最大許容濃度 | 主な用途・発生源の例 |
|---|---|---|---|
| カドミウム | Cd | 0.01wt% (100ppm) | 顔料、防錆メッキ、電池 |
| 鉛 | Pb | 0.1wt% (1000ppm) | はんだ、快削黄銅(真鍮)の添加剤 |
| 水銀 | Hg | 0.1wt% (1000ppm) | 蛍光灯、古いスイッチ接点 |
| 六価クロム | Cr(VI) | 0.1wt% (1000ppm) | 化成処理(クロメート処理メッキ) |
| ポリ臭化ビフェニル | PBB | 0.1wt% (1000ppm) | 樹脂の難燃剤 |
| ポリ臭化ジフェニルエーテル | PBDE | 0.1wt% (1000ppm) | 樹脂の難燃剤 |
| フタル酸ジエチルヘキシル | DEHP | 0.1wt% (1000ppm) | ゴム・塩ビ樹脂などの可塑剤(※追加4物質) |
| フタル酸ブチルベンジル | BBP | 0.1wt% (1000ppm) | 同上 |
| フタル酸ジブチル | DBP | 0.1wt% (1000ppm) | 同上 |
| フタル酸ジイソブチル | DIBP | 0.1wt% (1000ppm) | 同上 |
(※wt%=重量パーセント。0.1wt%は1000ppmと同義です)
3. ⚠️【要注意】ゴム・プラスチック部品におけるRoHSの見落とされやすいリスク
金属部品の「鉛」や「六価クロム」ばかりが注目されがちですが、機械・装置メーカーの購買担当者が最も注意すべきなのが、ゴムパッキンや樹脂チューブなどに含まれる「フタル酸エステル類(上記表の追加4物質)」です。
フタル酸エステル類とは?
ゴムや塩化ビニル(PVC)などの樹脂を「柔らかく加工しやすくする」ために添加される成分(可塑剤)です。
安価な汎用ゴムや古い金型で作られた塩ビ製品には、現在でもこれらの物質が含まれているリスクがあります。
「移行汚染」への注意
フタル酸エステル類のやっかいな点は、「接触している別の部品へ移行(移行汚染)する」性質を持っていることです。
例えば、RoHS非対応のゴムパッキンと一緒に、RoHS対応のプラスチックケースを密着させて保管していると、接触状態や温度条件によっては成分が他部材へ移行する可能性があります。移行後の均質材料中の濃度が閾値(0.1wt%)を超えてしまうと、結果的に製品全体がRoHS違反となるリスクがあるため注意が必要です。
4. 「適用除外制度(Annex III)」とその期限について
RoHS指令には、技術的・科学的に代替が不可能な特定用途に限り、一時的に規制値をオーバーしても使用が認められる「適用除外制度」があります。
代表的なものが「銅合金(真鍮)に含まれる最大4wt%までの鉛」や「鋼材に含まれる0.35wt%までの鉛」などです。これらは金属加工の削りやすさを保つために欠かせない措置となっています。
ただし、これらはあくまで「期限付きの猶予」です。適用除外は対象となる電気・電子機器(EEE)のカテゴリーごとに期限が定められており、代替技術の進展に伴って延長・見直しが随時行われています。(※例として、一部カテゴリーの真鍮の適用除外は2026年12月31日まで延長が認められました)。
代替技術が確立されれば除外項目から外されるため、常に最新のEU官報や代替素材の動向をチェックしておく必要があります。
5. 違反した場合のペナルティと国内での影響
日本国内のみで流通する製品(EUへ輸出しない製品)であれば、EU法としての直接的な罰則は直ちにはありません。しかし、国内法(J-MOSS)による表示義務や、グローバル展開するメーカーからの顧客要求(グリーン調達基準など)により、実質的にRoHS同等の対応が求められるケースが急増しています。
さらに、製品がEU圏に輸出され、抜き打ち検査等でRoHS違反が発覚した場合、以下のような深刻なダメージを受けます。
- RAPEX(EU緊急警告システム)での全世界への違反公表
- 市場からの製品の強制回収(リコール)
- 高額な罰金と、今後の輸出差し止め
グローバルなサプライチェーンが当たり前となった現代では、間接的な輸出部品も含め、「すべての構成部品でRoHS対応を完了させておくこと」が企業の最低限の信頼条件となっています。
6. RoHS対応パッキン・樹脂部品のご手配は「ダイコー」へ
「海外輸出用の案件なので、絶対にRoHS対応のパッキンを使いたい」
「提出書類として、chemSHERPA(ケムシェルパ)データや非含有証明書が至急必要だ」
株式会社ダイコーでは、工業用シール材の専門商社として、厳格な化学物質管理に基づいた安全な材料供給を行っております。
ダイコーが選ばれる理由
- RoHS対応材質の確実なご提案: フタル酸エステル類を含まない安全なゴム材(NBR、EPDM、フッ素ゴム等)や、エンジニアリングプラスチックをご提案します。
- 証明書類の迅速な発行対応: 輸出時に必須となる「RoHS非含有証明書」「SDS(安全データシート)」「chemSHERPA(アーティクルデータ)」等の環境書類手配にスピーディーに対応いたします。
- 1個から特注形状に加工: RoHS対応のシート材を用い、金型不要のカッティングプロッターで必要な形状に即日カット加工・出荷いたします。
「図面指定の材質がRoHSに対応しているか分からない」「代替の安全なゴムを探してほしい」など、環境規制に関わる部品調達でお困りの際は、ぜひ株式会社ダイコーにご相談ください。
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