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ガスケット・パッキン手配 基本ガイド|基礎知識から選定・オーダー方法まで【新人担当者向け】株式会社ダイコー

ガスケット・パッキン手配 基本ガイド|基礎知識から選定・オーダー方法まで【新人担当者向け】
資材課や購買部門に配属され、最初に直面する「見えない壁」。その一つが「ガスケットやOリング」の手配業務ではないでしょうか。
一見すると、ただのゴムの輪や、薄い板切れに見えるこれらの部品。しかしその実態は、巨大なプラントや工場の配管をつなぎ、高圧の蒸気や危険な薬品が外部に漏れるのを防ぐ、まさに「安全の要(かなめ)」です。ガスケットの世界は奥深く、数千種類の材質と、JISやJPIといった無数の規格サイズが複雑に絡み合っています。
「現場からの指示が『いつものゴムパッキン』だけで曖昧だ」
「似たような品番が多くて、どれを選べばいいか迷う」
「流体名(薬品名)を聞いても、どの材質が耐えられるのか判断できない」
こうした不安は、新人担当者であれば誰もが抱くものです。しかし、正しい知識という「物差し」さえ持てば、これほど論理的で分かりやすい製品もありません。
第1章:基本中の基本。「ガスケット」と「パッキン」は何が違う?
現場から「パッキン持ってきて!」と言われた時、それが何を指すのか正しく理解できていますか?
シール材(密封装置)は、その使用箇所が「動くか、動かないか」によって呼び名が明確に分かれます。
【新人へのヒント】Oリングはどっち?
Oリングは非常にユニークな存在です。溝に入れて蓋を閉めるだけの「ガスケット」的な使い方もあれば、軸がスライドする部分の「パッキン」としても使われる万能選手です。
発注の際は、「どこに使うのか(固定か、動くか)」を確認するだけで、選ぶべき材質や硬度のヒントになります。
第2章:選定の命!現場に必ず確認すべき「P-T-F」
カタログを開く前に、現場担当者に必ず確認しなければならない「3つの情報」があります。業界ではこれを**「P-T-F(または流・温・圧)」**と呼びます。
この情報が一つでも欠けると、最適な製品を選定することは不可能です。
1. Fluid(流体):何が流れているか?
水、油、空気、蒸気、あるいは強酸や強アルカリといった薬品か。
材質との「相性」が全てです。例えば、耐油性のないEPDMゴムを油ラインに使うと、ゴムが倍以上に膨れ上がり(膨潤)、ボロボロになって漏れ出します。逆に、油に強いNBRゴムを蒸気ラインに使うと硬化して割れます。
2. Temperature(温度):何度で使用するか?
「常用温度(普段の温度)」だけでなく、「最高温度(MAX何度まで上がるか)」も確認してください。
一般的なゴムは約100℃前後が限界ですが、圧縮非アスベストシート(ジョイントシート)なら200℃前後、膨張黒鉛や金属ガスケットなら400℃以上の高温にも耐えられます。
3. Pressure(圧力):どのくらいの圧力がかかるか?
圧力が高くなるほど、ガスケットが内圧で吹き飛ばされないよう、強固な材質が必要になります。
低圧ならゴムで十分でも、高圧になれば「ボルテックスガスケット(うず巻形)」のような金属補強タイプが必須となります。
第3章:【重要】シール材の主要な種類と特徴
数ある種類の中で、特に出番の多い代表的な選手たちを紹介します。
| 分類 | 名称 | 特徴 |
|---|---|---|
| 非金属 (ソフト) |
ジョイントシート | 繊維材料とゴムを混ぜて圧延したシート。安価で加工しやすく、水・油・ガスなど汎用的に使われます。 |
| ゴムガスケット | ゴム板を打ち抜いたもの。反発力が強く、凸凹したフランジでも馴染みやすいのが特徴。NBR(耐油)、EPDM(耐候・耐水)、FKM(耐熱・耐薬)などの材質があります。 | |
| PTFE(フッ素樹脂) | 真っ白なプラスチックのような見た目。耐薬品性が最強で、ほぼ全ての薬品に耐えます。 | |
| セミメタリック ・金属 |
うず巻形ガスケット | 金属のV字テープとクッション材(フィラー)をバウムクーヘンのように巻いたもの。温度変化や圧力変動が激しい過酷なラインで使用されます。 |
| メタルガスケット | 銅やアルミ、ステンレス単体で作られたもの。超高圧・超高温・超真空などの特殊環境用です。 |
第4章:規格品の手配方法(ミスを防ぐ「4要素」)
世の中の配管の多くは「規格」に基づいて作られています。規格品をミスなく手配するには、以下の「4つの要素」をセットで伝えることが必須です。どれか一つでも抜けると、品物が特定できません。
- 規格・圧力クラス(どの基準か): JIS規格(10K, 5Kなど)、JPI / ASME規格(Class 150など)。
※注意:「10K」と「Class 150」は似ていますが、ボルト穴の位置が微妙に違うため互換性はありません。
- サイズ(呼び径): A呼称(25A, 50Aなど)、B呼称(1B, 2Bなど)。
※「50A」=「2インチ」です。換算表を手元に置いておくと便利です。
- 厚み(Thickness): 1.5t(1.5mm)はガス系や蒸気、3.0t(3.0mm)は大口径や水系配管で多用されます。
- 品番・メーカー: ニチアス製(TOMBO No.XXXX)、バルカー製(VALQUA No.XXXX)などの指定がある場合は必ず守ります。特に指定がない場合、同等品としてダイコー製をご提案できます。
第5章:Oリングの正しい呼び方
Oリングはガスケットとは全く別の規格体系を持っています。「○ミリのOリング」という実寸指定は間違いの元です。必ず「呼び番号」で発注しましょう。
- Pシリーズ(運動用・固定用): 最も一般的。P-10, P-20など。
- Gシリーズ(固定用): Pシリーズより少し太い。G-25, G-30など。
- Vシリーズ(真空フランジ用): 真空装置用。V-150など。
材質も「1種A(NBR)」「4種D(FKM)」のようにJIS記号で指定するのが確実です。
注文例:「Oリング JIS B 2401 P-20(サイズ) 4種D(材質)」
第6章:図面がない!別作品(オーダーメイド)の依頼方法
規格外のパッキンが必要になった時こそ、資材担当者の腕の見せ所です。図面がなくても、以下の数値を測れば製作可能です。
1. 形状別の寸法指定
全て「ミリメートル(mm)」で指定します。
- リング形状: 「内径(ID)× 外径(OD)× 厚み(t)」
- 全面座(ボルト穴あり): 「内径 × 外径 × PCD(ボルト穴中心径)× 穴数 × 穴径 × 厚み」
- 四角形・額縁: 「縦 × 横 × 枠の幅 × 厚み」
2. ダイコーの「型レス加工」という選択肢
通常、複雑な形状のパッキンを作るには「金型」が必要で、数万円の初期費用がかかります。
しかし、株式会社ダイコーではウォータージェット加工・プロッター加工を導入しているため、高額な金型を作る必要がありません。データを入力するだけで、加工機が自動で切り抜きます。「金型代0円」「1枚から製作可能」「最短即日出荷」。
このメリットを知っているだけで、現場の急なトラブルに即座に対応できる戦力になれます。
第7章:発注ミスを防ぐ「最終チェックリスト」
発注ボタンを押す前に、以下の項目を指差し確認しましょう。
- 流体は確認したか?(油ラインにEPDMを選んでいないか? 薬品ラインに普通のゴムを選んでいないか?)
- 温度は範囲内か?(100℃を超えるのにゴムを選んでいないか?)
- 形状は合っているか?(ボルト穴のある「FF(全面)」か、穴のない「RF(内面)」か?)
- 厚みは合っているか?(1.5tと3.0tの間違いは頻発します)
- 規格・圧力は正しいか?(JIS 10KとJPI 150Lbを混同していないか?)
- Oリングの材質は正しいか?(1種Aと1種Bの違いなど)
おわりに:株式会社ダイコーは、あなたの「技術パートナー」です
ガスケットやOリングの手配は、専門用語が多く、最初は戸惑うことばかりかもしれません。しかし、あなたが手配したその小さな部品一つひとつが、工場の安全を守り、日本の産業を支えています。
私たち株式会社ダイコーは、単なるパッキンの卸業者や加工業者ではありません。
「品番がわからない」「図面がない」「明日までに現場に届けたい」
そうした資材担当者様が直面する「困った」を解決する技術パートナーです。
材質選定に迷ったとき、規格が不明なとき、あるいはコストダウンを提案したいとき。
一人で悩まず、まずはダイコーのお問い合わせ窓口までお電話ください。
豊富な在庫と加工技術、そして長年のノウハウで、あなたの業務を全力でサポートいたします。
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