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導入事例/コラム

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ニチアス株式会 ボルテックスガスケット3大モデル徹底比較!|1834NA/1834GR /9090ナフロン、最適な一品を選ぶための完全ガイド 株式会社ダイコー

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ニチアス株式会 ボルテックスガスケット3大モデル徹底比較!|1834NA/1834GR /9090ナフロン、最適な一品を選ぶための完全ガイド

「ユーティリティーラインだから、コスト重視でNAボルテックスか?」「いや、重要ラインだから信頼性の高いGRボルテックスにすべきか?」「待てよ、この流体は腐食性があるから、ナフロンボルテックスじゃないとダメなのか?」…高温・高圧ラインのシールにおける”最終兵器”として絶大な信頼を誇る「ボルテックスガスケット(うず巻形ガスケット)」。しかし、その中でも特に需要の多い「NA」「GR」「ナフロン(PTFE)」という3つの主要モデルを前に、多くの現場担当者がその最適な使い分けに頭を悩ませています。

この記事は、特定の製品を一方的に推奨するものではありません。ニチアス社の公式カタログ情報のみを基に、この永遠のテーマとも言える「ボルテックス3大モデル、どれを選ぶべきか?」問題に終止符を打つべく、それぞれの性能、コスト、適用範囲の違いを徹底的に比較・分析し、皆様が自社の設備にとって”正解の一品”を自信を持って選ぶための、実践的な選定ガイドです。

第1部:基本構造と共通の強み ― なぜボルテックスガスケットは信頼されるのか?

まずおさらいとして、ボルテックスガスケットがなぜ高温・高圧に強いのか、その基本構造と共通のメリットを理解しておくことが重要です。

  • フープ: V字形の金属帯が、高圧に耐える”骨格”として機能します。
  • フィラー: フープの隙間を埋めるクッション材が、フランジに密着し”シール”します。

この金属と非金属のハイブリッド構造が、あたかも”金属製のバネ”のように機能し、高温・高圧下でも優れたシール性能を発揮し、熱サイクルによるフランジの動きにも自動的に追従(復元)します。今回比較するNA、GR、ナフロンの決定的な違いは、この構造の中の「フィラー」の材質の違いにあります。

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第2部:【三つ巴徹底比較】NA vs GR vs ナフロン ― あなたの現場に最適なのはどれ?

ここからは、3つのモデルのフィラー材質、性能、そしてカタログが示す使用上のルールを、項目ごとに徹底的に比較していきます。

比較1:フィラー材質 ― 「紙」「炭」「樹脂」それぞれの素顔

モデル フィラー材質 材質の特長
No.1834R-NA(NAボルテックス) NAペーパー(無機ペーパー) 無機繊維を主原料とした紙状のシート材。経済性に優れる。
No.1834R-GR(グラシールボルテックス) 膨張黒鉛(グラシール®) 天然黒鉛を化学的・熱的に処理した、高純度シール材。優れた耐熱性・柔軟性を誇る。
No.9090-IOR(ナフロンボルテックス) PTFE(ナフロン®) 化学的に極めて安定したふっ素樹脂。究極の耐薬品性とクリーン性を持つ。

この材質の違いが、以下の全ての性能差の根源となります。

比較2:性能と適用範囲 ― 「経済性」「高性能」「耐薬品性」それぞれの守備範囲

3製品のP-T線図(圧力-温度線図)と仕様を比較すると、その得意とするフィールドの違いは一目瞭然です。

▼NAボルテックス (No. 1834R-NA) ― ユーティリティーラインの経済的な標準品

  • キーワード: 経済性、ユーティリティー特化
  • 最高使用温度: 350℃
  • 解説: カタログには**「蒸気、冷却水、圧縮空気などのユーティリティーの配管・機器などに使用される」**と記載されています。性能を一般的なユーティリティー用途に絞ることで、高い経済性を実現したモデルです。
  • 選定シナリオ: コスト管理が重要な一般蒸気ライン、温水・冷却水ライン、コンプレッサーの空気ラインなど。

▼GRボルテックス (No. 1834R-GR) ― 高温・高圧ラインの絶対的なエース

  • キーワード: 高性能、高信頼性、万能性(薬品を除く)
  • 最高使用温度: 450℃(非酸化雰囲気下では800℃まで)
  • 解説: カタログには**「発電所や石油化学コンビナートなどで、最も多く使用される」と記載の通り、高温・高圧の蒸気、炭化水素ガス、熱媒体油から、-270℃の極低温**まで、極めて広い範囲をカバーする高性能スタンダードモデル。ボルテックスガスケットと言えば、まずこのGRタイプが想起されるほどの信頼と実績を誇ります。
  • 選定シナリオ: 発電所の主蒸気ライン、石油精製プラントの高温プロセスライン、LNG・液体窒素などの極低温ラインなど、プラントの心臓部。

▼ナフロンボルテックス (No. 9090-IOR) ― 腐食性流体の最後の砦

  • キーワード: 究極の耐薬品性、クリーン性
  • 最高使用温度: 300℃
  • 解説: GRボルテックスが対応できない**「強酸化性流体」をシールするために開発された特殊モデル。フィラーにPTFEを使用することで、究極の耐薬品性を実現します。また、フィラーからの溶出物が極めて少ないため、コンタミネーションを嫌う純酸素ガスライン**などにも最適です。
  • 選定シナリオ: 濃硝酸・濃硫酸・塩素ガスといった腐食性流体ライン、半導体・医薬品製造のクリーンな薬液ライン。

比較3:流体別の適性 ― ○×表で見る明確な使い分け

流体の種類こそが、3つのモデルを使い分ける最も重要な判断基準となります。特に、GRボルテックスが「強酸化性流体」に絶対に使用できないという点は、安全上、必ず記憶しておくべき鉄則です。

流体の種類 NAボルテックス GRボルテックス ナフロンボルテックス
水、蒸気、空気(~350℃) ◎(最適) ○(高品質だが過剰品質の場合も) △(耐熱性は十分だが高価)
高温蒸気、熱媒体油(~450℃) ×(使用不可) ◎(最適) ×(温度限界超え)
一般的な炭化水素、有機溶剤 △(限定的) ◎(最適) ○(高品質)
強酸化性流体(濃硝酸、塩素ガス等) ×(使用不可) ×(絶対使用不可) ◎(唯一の選択肢)
純酸素ガス ×(使用不可) ×(禁油処理しても推奨されない) ◎(OX処理品が最適)
極低温流体 ×(使用不可) ◎(最適) ○(使用可能)

第3部:特殊仕様・複雑な選定はダイコーにご相談ください

ボルテックスガスケットの選定は、フィラーの選定で終わりではありません。フランジの形状に合わせた内外輪の有無、温度と耐食性を考慮したフープ・内外輪の金属材質の選定、さらには熱交換器用のリブ(隔壁)付きといった特殊形状への対応など、その組み合わせは文字通り無限に存在します。

「カタログに記載のない、複数の腐食性ガスが混合した流体に対して、最も安全なフープとフィラーの組み合わせは?」
「運転と停止を繰り返す激しい熱サイクル下で、最も長寿命が期待できるフィラーと金属材質の組み合わせは?」
「古い海外製の熱交換器で、図面も残っていない。現物から採寸して、リブ付きのGRボルテックスを製作してほしい」
このような、カタログの標準情報と設計原則だけでは判断が不可能な究極の難題こそ、私たちガスケットのプロフェッショナル、ダイコーにご相談ください。

なぜ、複雑な選定・加工はダイコーに任せるべきなのか?

  • 豊富な経験に基づく専門的なコンサルティング: 私たちは、机上のデータだけでなく、数多くのプラントで培ってきた豊富な経験と実績を持っています。お客様のプロセス全体を理解した上で、カタログの行間を読み解き、潜在的なリスクを考慮した、真に最適な仕様をご提案します。
  • 高精度なリバースエンジニアリングとオーダーメイド加工: 図面がない場合でも、ご提供いただいた現物サンプルから寸法を正確に測定し、CADデータ化。自社工場で、あらゆる複雑な形状のボルテックスガスケット(熱交換器用、異形品など)を、1枚からでも迅速かつ高精度に復元・製作いたします。
  • 信頼できる技術パートナーとして: 特に高温・高圧ラインにおけるガスケットの選定ミスは、プラントの安全を根底から揺るがす重大なリスクです。私たちは単なる販売店ではなく、お客様の課題を共に解決する技術パートナーとして、専門的な知見で皆様のプラント運営を最後の最後までサポートします。

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