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導入事例/コラム

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ニチアス株式会社 ボルテックスガスケット選定の迷いを解消!現場で役立つ4ステップ選定フローガイド 株式会社ダイコー

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ニチアス株式会社 ボルテックスガスケット選定の迷いを解消!現場で役立つ4ステップ選定フローガイド

「GRとNA、うちの蒸気ラインにはどちらが適切なんだ?」「このフランジには内輪は必要か、不要か?」「熱交換器用の、この複雑な形状はどうやって指定すればいい?」…高温・高圧ラインのシールにおける”最後の砦”として絶大な信頼を誇る、ボルテックスガスケット(うず巻形ガスケット)。しかしその高性能と引き換えに、その選定方法は極めて複雑で、多くの現場担当者を悩ませています。誤った選定は、オーバースペックによるコスト増を招くだけでなく、最悪の場合、重大な漏洩事故にも繋がりかねません。

この記事は、特定の製品を絶賛するものではありません。ニチアス社の「ボルテックス®ガスケット」を題材として、皆様が現場で直面する「複雑なガスケットの選定」という課題そのものを解決するための、実践的な思考プロセス(選定フロー)を解説する総合ガイドです。

この4つのステップに沿って検討を進めることで、無数にある選択肢の中から、ご自身の課題に対する最適な答えを、論理的に導き出すことができるようになります。

第1部:なぜ選定は複雑なのか?― ボルテックスガスケットを構成する「4つの重要要素」

ボルテックスガスケットの選定が複雑に見える理由は、それが4つの主要な構成要素の「組み合わせ」によって、あらゆる過酷な条件に最適化できるように設計された、高度な工業製品だからです。

  1. フランジ形状と内外輪: ガスケットが装着されるフランジの形状(平面座、はめ込み形など)によって、ガスケットに必要な内外輪の有無が決まります。
  2. フィラー(非金属材): 渦巻のクッション部分。流体の種類(薬品、蒸気など)と温度に応じて材質を選定します。
  3. フープ(金属材): 渦巻の骨格部分。温度と流体への耐食性に応じて金属材質を選定します。
  4. 特殊形状: 熱交換器のリブ(隔壁)など、標準的な円形ではない特殊な形状への対応。

つまり、プラントのあらゆる重要箇所に完璧にフィットさせるため、意図的に多様な選択肢が用意されているのです。この「組み合わせの思想」を理解し、一つ一つの要素を順序立てて絞り込んでいくことが、複雑さを解決する唯一の道筋です。

カタログダウンロードへの誘導バナー

第2部:【実践】課題を解決する4-STEP選定フロー

ここからは、具体的な選定プロセスを4つのステップで解説します。お手元に使用条件(フランジの図面、流体、温度、圧力)をご用意ください。

▼STEP 1:【フランジ形状で絞る】内外輪の有無は必要か?

思考プロセス:「フランジがガスケットを'挟む'か?'抑える'か?」
ボルテックスガスケット選定の出発点は、必ず「フランジ座の種類」の確認から始まります。これにより、ガスケットの基本形状(内外輪の有無)がほぼ自動的に決まります。

選定アクション:
カタログの「フランジ座と適正ガスケット形状」の図に基づき、以下の通り判断します。

フランジ座の種類 適正なガスケット形状 解説
溝形 (T&G) 基本形(内外輪なし) フランジの溝が内外輪の役割を果たし、ガスケット本体を完全に拘束するため、内外輪は不要です。
はめ込み形 (M&F) 内輪付 内圧によるガスケットの内側への座屈を防ぐため、内輪が必須となります。
平面座 (RF / FF) 内外輪付 内圧からの座屈防止(内輪)と、ガスケットの位置決めおよび過締め付け防止(外輪)のため、内外輪の両方が原則として必須です。

【例外】RF/FFフランジで内輪が不要なケース
カタログには、以下の3つの条件を全て満たす場合に限り、経済的な**内輪なし(外輪付のみ)**が使用できると記載されています。

  1. フィラーがNAボルテックス(無機ペーパー)であること。
  2. 圧力クラスが600以下であること。
  3. 口径が24B (600A) 以下であること。

これ以外の条件、特にフィラーがグラシール(GR)やPTFEの場合は、必ず内輪が必要です。

▼STEP 2:【流体の種類で絞る】最適な「フィラー」はどれか?

思考プロセス:「ただの蒸気か? 酸化性薬品か? クリーンな流体か?」
基本形状が決まったら、次に流体の種類に応じて、シール性能の心臓部である「フィラー」を選定します。

選定アクション:

  • 蒸気、冷却水、空気、一般的な炭化水素か? → YES
    経済性を重視するならNA(無機ペーパー)フィラー(No.1834R-NA)。より高い信頼性や高温(~450℃)での安定性を求めるならGR(膨張黒鉛)フィラー(No.1834R-GR)が最適です。
  • LNG、液体窒素などの極低温流体か? → YES
    GR(膨張黒鉛)フィラー(No.1834R-GR)が標準的な選択肢となります。
  • 濃硝酸、ハロゲンガスなどの強酸化性流体か? → YES
    グラシール(炭素)は酸化されてしまうため使用できません。PTFE(ナフロン®)フィラー(No.9090-IOR)が唯一の選択肢です。
  • 純酸素ガスなど、コンタミネーションを嫌うクリーンな流体か? → YES
    PTFE(ナフロン®)フィラー(No.9090-IOR)に、禁油・脱脂処理(OX処理)を施した仕様を選定します。

▼STEP 3:【温度で絞る】最適な「フープ・内外輪材質」と「フィラーグレード」は?

思考プロセス:「450℃の壁を超えるか? さらに650℃も超えるか?」
フィラーの種類が決まったら、最後に運転温度に応じて、金属部分の材質と、フィラーのグレードを最終決定します。

選定アクション:

  • ~450℃の範囲か? → YES
    フィラーは標準のGR(膨張黒鉛)で十分です。フープ・内外輪の金属材質は、カタログの「フープの推奨使用温度」に基づき選定します(例:~500℃ならSUS304、~600℃ならSUS316)。
  • 450℃を超え、~650℃の範囲か? → YES
    標準のグラシールでは酸化消耗のリスクがあります。酸化防止剤入りの特殊グラシールフィラーであるGSシリーズまたはGMシリーズ(No.1836R)を選定します。
  • 650℃を超え、~800℃の範囲か? → YES
    より高い耐酸化性が求められます。GHシリーズ(No.1836R-GH)を選定します。
  • 800℃を超える超高温域(~1000℃)か? → YES
    グラシールでは対応できません。特殊オリジナルフィラーを用いたNMシリーズ(No.1838R-NM)を選定します。

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