• 外皮（ジャケット）: 流体に直接触れる部分は、耐薬品性の王様「ふっ素樹脂（PTFE）」でコーティング。
• 中芯材（インサート）: 内部には、用途に応じて選べる、ジョイントシートや膨張黒鉛などの弾力性に富んだクッション材を内蔵。

この「硬」と「軟」を組み合わせた構造が、他の単一素材のガスケットでは決して真似のできない、以下の3つの強力なメリットを生み出し、現場の課題を解決します。

メリット1：【薬品に強い】ほぼ全ての薬液に対応する「究極の耐薬品性」

化学プラントにおけるガスケット選定の最大の悩みは、扱う多種多様な薬品に対する「耐食性」です。選定を誤れば、ガスケットは瞬く間に劣化・膨潤し、危険な流体の漏洩事故に直結します。

No.9010は、接液部がすべて化学的に極めて不活性なPTFEで覆われているため、溶融アルカリ金属などを除く、ほぼ全ての化学薬品に対して侵されることがありません。 これにより、従来は薬品ごとにガスケットを細かく使い分ける必要があった多くのラインで、在庫の統一・標準化が可能となり、選定ミスというヒューマンエラーのリスクを劇的に低減させることができます。

【要注意】浸透性の高い流体への対策
ただし、万能ではありません。カタログでは「硝酸、エチレンオキサイド、ハロゲン」といった浸透性の高い流体に対して、長期間の使用でPTFE外皮を微量に貫通し、内部の中芯材を侵す可能性を指摘しています。このような特に厳しい条件下では、①定期的な交換周期を設ける、あるいは②PTFEソリッドガスケット（No.1133など）へ代替するといった、より高度な管理や選定が必要となります。

メリット2：【優しく締めても漏れない】ガラスライニング等に最適な「優れた低面圧シール性」

ガラスライニング（GL）や樹脂ライニングが施されたフランジ、あるいは大口径で歪みが生じやすいフランジでは、硬いガスケットを強く締め付けることができません。無理に締め付ければ、高価なライニング層が割れたり、フランジ自体が変形したりする大惨事につながります。

No.9010は、内部の弾力性のある中芯材がバネやクッションの役割を果たすため、極めて低い締付力（低面圧）でも、フランジ面の微細な凹凸やうねりに柔軟に追従し、確実なシールを実現します。 特に、中芯材にフェルト付きのタイプ（中芯材質記号：6, 8）は、カタログにも「フェルトの圧縮量が大きいため、シール面のうねりを吸収しやすい仕様です。シール面が平滑でないライニングフランジへの使用に適しています」と明記されており、デリケートなフランジをシールするための最適なソリューションとなります。

メリット3：【剥がしやすい】メンテナンスを劇的に効率化する「卓越した非固着性」

メンテナンス現場で最も時間と労力がかかる非生産的な作業の一つが、フランジ面に固着した古いガスケットの除去（ケレン作業）です。特に高温のラインでは、ガスケットが炭化・硬化してフランジに焼き付き、剥がすのに多大な時間を要するだけでなく、スクレーパーなどでフランジの重要なシール面を傷つけてしまうリスクも伴います。

No.9010の外被であるPTFEは、非常に優れた非粘着性（くっつきにくさ）を持っています。これにより、高温下で長期間使用した後でも、フランジ面に固着することがほとんどありません。ガスケット交換時には、古いガスケットが「スルリと」剥がれるため、ケレン作業がほぼ不要となり、メンテナンス時間の大幅な短縮と、フランジ面の保護に大きく貢献します。

なぜ、複雑な選定・加工はダイコーに任せるべきなのか？

• 専門的な製品選定サポート: 私たちは、No.9010の複雑な品番体系を完全に理解しています。お客様の課題（漏れ、固着、ライニング破損など）と使用条件を詳細にヒアリングし、無数にある組み合わせの中から、最も合理的で安全なソリューションをご提案します。
• 高精度なオーダーメイド加工: 自社工場に最新のカッティングプロッターやウォータージェット加工機を完備。お客様からいただいた図面や実測寸法を基に、あらゆる複雑な形状のガスケットを、1枚からでも迅速かつ高精度に製作いたします。特に、ライニングフランジ用の専用寸法品（適用寸法：G, F, Z）の製作を得意としています。
• 信頼できる技術パートナーとして: ガスケットの選定ミスは、プラントの安全を根底から揺るがす重大なリスクです。私たちは単なる販売店ではなく、お客様の課題を共に解決する技術パートナーとして、専門的な知見で皆様のプラント運営をサポートします。