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ジョイントシート3種比較ガイド|ニチアス株式会社製 No.1995, 1993, 1120の選び方 株式会社ダイコー【完全版】

ジョイントシート3種比較ガイド|ニチアス株式会社製 No.1995, 1993, 1120の選び方【完全版】
「どのジョイントシートを選べばいいか分からない」「標準品を使っているが、すぐに劣化して困っている」「より高い安全性と長寿命化を実現したい」…そんなお悩みはありませんか?ニチアス株式会社が提供するジョイントシートガスケットは、汎用的なものから高性能なものまで多岐にわたります。この記事では、最も代表的な3つのグレード、標準品の「No.1995」、耐熱性強化型の「No.1993」、そしてハイグレード品の「No.1120」に焦点を当て、その性能の違いと正しい選定方法を徹底的に比較・解説します。
第1部:3つのグレード、その核心的な違いとは?
3つの製品は、いずれもゴム、繊維、充填材を配合して作られるノンアスベストジョイントシートですが、その性能と用途は配合される主成分によって大きく異なります。
製品名 (TOMBO No.) | 主成分 / キーワード | 一言でいうと | 最高使用温度 (水系) |
---|---|---|---|
No.1995 (クリンシル®ブラウン) | NBR + アラミド繊維 + 無機充填材 | 最も経済的な標準品 | 183℃ |
No.1993 (クリンシル®スーパー) | 特殊ブレンドゴム + アラミド繊維 | 耐蒸気性能を強化した長寿命品 | 215℃ |
No.1120 (クリンシル®トップ) | 膨張黒鉛 + NBR + アラミド繊維 | 耐熱・耐食性に優れる最高級品 | 215℃ |
この比較から分かるように、No.1995は一般的なユーティリティライン向けのコストパフォーマンスに優れた製品、No.1993は100℃を超える蒸気ラインでの耐久性を大幅に向上させた製品、そしてNo.1120はさらに厳しい高温・腐食性環境に対応するハイエンド製品という位置づけになります。
第2部:【用途別】最適なジョイントシートの選定基準
「どの製品を選べば良いか」を判断するため、具体的な用途別に選定のポイントを見ていきましょう。
ケース1:水、空気、油など、一般的なユーティリティラインの場合
→ 推奨:TOMBO™ No.1995 (クリンシル®ブラウン)
比較的低温(100℃未満)で、腐食性のない一般的な流体を扱う配管では、No.1995が最も経済的で優れた選択肢となります。大口径サイズ(最大3810mm角)も継ぎ目なしで製作可能なため、幅広い設備に対応できるのも大きなメリットです。ただし、100℃以上の蒸気ラインでは、カタログ上の使用期間目安が「1〜2年」と短くなるため、メンテナンス周期を考慮する必要があります。
ケース2:100℃を超える蒸気・熱水ラインの場合
→ 推奨:TOMBO™ No.1993 (クリンシル®スーパー)
100℃を超える蒸気や熱水は、ジョイントシートのバインダーであるゴムを硬化させ、劣化を早める主な原因です。No.1993は、この熱水による影響を抑制する「特殊ブレンドゴム」を採用しており、100℃以上の蒸気シールにおける使用期間目安は「5〜10年」と、No.1995に比べて大幅な長寿命化を実現します。頻繁なメンテナンスが困難な箇所や、長期的な安定稼働を求める蒸気ラインには、No.1993がNo.1995よりも推奨されます。
ケース3:高温かつ腐食性流体を扱う、より厳しい条件の場合
→ 推奨:TOMBO™ No.1120 (クリンシル®トップ)
主成分に膨張黒鉛(グラシール®)を含むNo.1120は、No.1993をさらに上回る耐熱性・耐蒸気性に加え、優れた耐食性を発揮します。また、柔軟性に富みフランジ面への追従性が高いため、より確実なシールが求められる重要な設備に適しています。標準品では対応できない、よりシビアな条件下で最高の性能を求める場合に選定されるハイグレード製品です。
第3部:性能を100%引き出すための共通の注意点
どのグレードのジョイントシートを選ぶ場合でも、その性能を正しく引き出すためには、共通して守るべき重要な注意点があります。
圧縮破壊の防止
過剰な締め付けや不均一な締め付け(片締め)は、ガスケットの「圧縮破壊」を引き起こす最大の原因です。必ずトルクレンチを使用し、許容締付面圧を超えないように、かつ対角締めを徹底してください。
ガスケットペーストの正しい使用
ガスケットペーストはシール性を補助しますが、塗りすぎは厳禁です。過剰な塗布はフランジとの摩擦を低下させ、滑りを助長し、圧縮破壊の原因となります。また、溶剤系やシリコーン系のペーストは使用せず、必ずメーカー推奨品(TOMBO No.9105, 9106, 9400など)を薄く均一に塗布してください。
増し締めに関する注意
No.1995とNo.1993は熱で硬化するため、昇温後の増し締めはできません。 一方、No.1120は増し締めが可能ですが、高温状態での増し締め(ホットボルティング)は許容面圧が低下するため、常温まで冷却してから実施する必要があります。
第4部:複雑な選定・特殊加工はダイコーにご相談ください
ジョイントシートの選定は、単純なグレード比較だけでは終わりません。フランジの規格(JIS/JPI)、形状(リング状/全面形)、そして厚みなど、多くの要素を複合的に判断する必要があります。特に、規格にない寸法や、熱交換器用のリブ付きといった複雑な形状が必要な場合は、シートからの精密な加工が不可欠です。
株式会社ダイコーでは、お客様の使用条件を詳細にヒアリングし、今回ご紹介したニチアス製品をはじめとする豊富なラインナップの中から、安全性とコストパフォーマンスを両立させた最適なガスケットをご提案します。 最新のカッティングプロッターやウォータージェット加工機を駆使し、図面一枚からあらゆる形状のガスケットを、1枚からでも迅速に製作可能です。複雑なガスケットの選定・加工でお困りの際は、ぜひ私たち専門家にご相談ください。
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