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導入事例/コラム

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ニチアス株式会社製 No.1993ガスケット|耐熱性強化型シート 株式会社ダイコー【選定ガイド】

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ニチアス株式会社製 No.1993ガスケット|耐熱性強化型シート【選定ガイド】

「蒸気ラインのガスケットがすぐに劣化して困っている」「標準のジョイントシートでは、熱水による硬化が早く、頻繁な交換が必要になる」…そんな現場の課題に応えるために開発されたのが、ニチアス株式会社の耐蒸気強化型ジョイントシートガスケット「TOMBO™ No.1993(クリンシル®スーパー)」です。この記事では、ニチアス社の技術資料を基に、No.1993がなぜ蒸気ラインに最適なのか、その優れた性能の秘密から、正しい選定・使用方法、そして特殊な加工への対応までを徹底的に解説します。

第1部:TOMBO™ No.1993とは?標準品との決定的な違い

TOMBO™ No.1993は、標準的なジョイントシート(No.1995など)と同じく、繊維、充填材、ゴムを配合して作られますが、その核心的な違いはバインダーとして使用される「特殊ブレンドゴム」にあります。この独自のゴム配合により、高温の蒸気や熱水に対する優れた耐久性を実現しています。

性能の鍵:特殊ブレンドゴムによる優れた耐熱・耐蒸気性

一般的なNBR(ニトリルゴム)をバインダーとする標準品は、100℃を超える蒸気に長時間さらされると硬化劣化が進行しやすくなります。一方、No.1993に採用されている特殊ブレンドゴムは、この熱水による影響を大幅に抑制します。

カタログのP-T線図(圧力-温度線図)を見ると、水系流体において、No.1995が183℃で限界を迎えるのに対し、No.1993は最高215℃まで対応可能であることが示されています。特に、120℃から183℃の温度域で、より高い圧力に耐えることができる設計となっており、まさに蒸気・熱水ラインのために開発された製品であることがわかります。

カタログの「使用期間の目安」においても、100℃以上の蒸気シールでNo.1995が「1〜2年」なのに対し、No.1993は「5〜10年」という優れた耐久性を示しており、メンテナンス周期の延長とライフサイクルコストの削減に大きく貢献します。

カタログダウンロードへの誘導バナー

第2部:No.1993の性能を引き出すための正しい選定と使い方

No.1993は耐蒸気性に優れますが、その性能を正しく引き出すためには、いくつかの重要なポイントがあります。

推奨される厚さと形状

蒸気や熱水ラインで使用する場合、シール性と耐久性を両立させるため、カタログでは以下の仕様が推奨されています。

  • 推奨厚さ: 1.5mm
  • 推奨形状: リング状

厚みを1.5mmに抑えることで、浸透漏れのリスクを低減し、シール性を高めます。また、ボルトの内側に収まるリング状にすることで、締付力がガスケットに集中し、高温・高圧下でも十分なシール面圧を確保しやすくなります。

締付管理の重要性:29.4N/mm²以上の面圧を確保

特に、120℃以上の蒸気・熱水ラインでNo.1993を使用する場合は、通常よりも高い29.4N/mm²以上の締付面圧で締め付けることが推奨されています。この値を下回ると、蒸気圧によってシールが破られるリスクが高まります。トルクレンチを用いて正確なトルク管理を行うと共に、配管の熱膨張による過大な応力がフランジにかからないよう、設計・施工段階での配慮も不可欠です。

【最重要】ガス系流体には使用しないでください

No.1993は、その優れた耐蒸気性から万能に見えますが、カタログでは「わずかな漏れも許容されないガス系流体には使用しないでください」と明確に記載されています。これは、ジョイントシートの多孔質な構造に起因するもので、ガスでは浸透漏れを起こす可能性があるためです。ガスラインには、No.1120やふっ素樹脂ガスケット(No.1133など)の選定を検討してください。

増し締めに関する注意点

標準品のNo.1995と同様に、TOMBO™ No.1993も熱によって硬化する性質を持っています。そのため、一度昇温した後は、弾性が失われ、無理に増し締めを行うと割れてしまう可能性があります。原則として、昇温後の増し締めはできません。

第3部:特殊形状・複雑な選定はダイコーにご相談ください

TOMBO™ No.1993は、配管フランジだけでなく、ボイラーのマンホールや各種機器のカバーなど、高温の蒸気や熱水がかかる様々な場所で使用されます。こうした用途では、単純なリング状ではなく、複雑な形状への加工が必要となるケースが少なくありません。

「蒸気ヘッダーのフランジ用に、ボルト穴が多い特殊な形状でNo.1993を加工したい」「図面から1枚だけ試作して、性能を評価したい」「どのジョイントシートを選べば良いか、専門家の意見が聞きたい」

株式会社ダイコーでは、お客様からいただいた図面(CADデータ)を基に、最新のカッティングプロッターやウォータージェット加工機を駆使して、あらゆる形状のガスケットを1枚からでも迅速に製作いたします。

また、蒸気ラインのシールは、設備の安全性に直結する非常にクリティカルな要素です。No.1993が最適なのか、それともさらに高性能なNo.1120や、うず巻形ガスケットがより適しているのか。その判断は、豊富な知識と経験がなければ困難です。ダイコーでは、お客様の使用条件を詳細にヒアリングし、ニチアス製品をはじめとする豊富なラインナップの中から、安全性とコストパフォーマンスを両立させた最適なシールソリューションをご提案します。複雑なガスケットの選定・加工でお困りの際は、ぜひ私たち専門家にご相談ください。

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