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高温・高圧ガスケット選定ガイド|ニチアス株式会社製 徹底解説 株式会社ダイコー【特殊環境向け】

高温・高圧ガスケット選定ガイド|ニチアス株式会社製 徹底解説【特殊環境向け】
標準的なガスケットでは対応できない、450℃を超える高温域、極低温、あるいは強酸化性流体といった特殊で過酷な環境。こうした条件下でのシール性能は、プラントの安全性と生産性を左右する最重要課題です。安易な製品選定は、即座に漏洩事故につながりかねません。この記事では、ニチアス株式会社の技術資料を基に、特殊環境下におけるボルテックスガスケットやメタルガスケットの正しい選定方法と、その性能を最大限に引き出すための注意点を徹底的に解説します。
第1部:450℃以上の高温域に対応するボルテックスガスケット
一般的な膨張黒鉛(グラシール®)をフィラー材に使用したボルテックスガスケット(TOMBO™ No. 1834R-GRシリーズ)の使用上限温度は、酸化性雰囲気下(空気中など)で450℃です。これを超える高温域では、膨張黒鉛の酸化消耗が始まり、シール性能が著しく低下します。こうした環境に対応するために開発されたのが、特殊フィラーを用いた高温用シリーズです。
第2部:強酸化性流体・低温流体への対応
高温だけでなく、特殊な流体への対応もガスケット選定における重要なテーマです。
強酸化性流体への対応
硝酸やハロゲン化合物といった強酸化性流体は、膨張黒鉛を侵食するため、グラシール®フィラーのガスケットは使用できません。このような場合は、耐薬品性に優れたPTFEをフィラーに使用した「ナフロン®ボルテックスガスケット (TOMBO™ No. 9090-IOR)」を選定します。ただし、フープや内外輪の金属材料も流体によって腐食される可能性があるため、SUS316Lやチタン、各種合金鋼など、流体に対し十分な耐食性を持つ材質を選定することが不可欠です。
極低温流体への対応
LNG(-162℃)や液体窒素(-196℃)といった極低温流体には、低温脆性を起こさない材料の選定が必要です。この用途には、標準のグラシール®ボルテックスガスケットが-270℃まで対応可能であり、優れた性能を発揮します。
第3部:メタルガスケットの適用領域
ボルテックスガスケットでも対応できない、さらに過酷な超高温・超高圧領域では、金属材料のみで構成されたメタルガスケットが使用されます。ただし、シールするためには非常に高い締付力が必要となります。
カンプロファイルガスケット
のこ歯状の溝を切った金属リングの両面に、膨張黒鉛などのソフトシール層を貼り付けた複合ガスケットです。メタルガスケットの高い耐圧性と、ソフト材の優れたシール性を兼ね備え、熱交換器のガスケットとして広く採用されています。
リングジョイントガスケット
断面が八角形(オクタゴナル)や楕円形(オーバル)の金属リングです。専用の溝を持つフランジに使用され、金属同士の線接触によってシールします。石油精製や高圧ガス設備など、極めて高い信頼性が求められる場所で使用されます。
第4部:複雑な選定はダイコーへご相談ください
ここまで見てきたように、特殊環境下でのガスケット選定は、温度、圧力、流体の種類、フランジの形状や材質、さらにはデコーキングの有無といった、多岐にわたる要素を複合的に評価する必要があります。
「自社のプロセスに最適な高温用ガスケットはGS, GM, GHのどれなのか?」「腐食性流体に対して、フープや内外輪はどの金属材質を選べば良いのか?」「熱交換器用の特殊形状カンプロファイルガスケットを1枚から製作したい」
こうした専門的で複雑な選定は、カタログの知識だけでは判断が難しいケースが少なくありません。誤った選定は、設備の損傷や生産停止といった重大なリスクに直結します。
株式会社ダイコーでは、長年にわたり培ってきたシール材に関する深い知見と、豊富な製品ラインナップ、そして最新の加工技術を駆使して、お客様一人ひとりの過酷な使用条件に最適なソリューションをご提案します。複雑なガスケットの選定でお困りの際は、決して自己判断せず、私たち専門家にご相談ください。
ガスケットの選定をサポートします!

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