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導入事例/コラム

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TOMBO No.1995 ジョイントシート選定ガイド|ニチアス株式会社社製 株式会社ダイコー【完全版】

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TOMBO No.1995 ジョイントシート選定ガイド|ニチアス株式会社社製【完全版】

工場やプラントの配管設備で最も広く使用されている「ジョイントシートガスケット」。その汎用性と経済性から、多くの現場で標準的に採用されています。しかし、その性能を100%引き出し、漏洩トラブルを防ぐためには、製品の特性を正しく理解し、使用条件に合わせた適切な選定と取扱いが不可欠です。この記事では、ニチアス株式会社の技術資料を基に、最も代表的なTOMBO™ No.1995(クリンシル®ブラウン)を中心に、ジョイントシートの正しい選び方と、現場で必ず守るべき重要な注意点を徹底的に解説します。

第1部:ジョイントシートガスケットの基本を理解する

ジョイントシートガスケットは、ゴムをバインダー(結合材)とし、補強のための繊維(アラミド繊維など)と、性能を調整するための充填材を混合し、ロールで圧延してシート状にした製品です。このシートから、フランジの形状に合わせて打ち抜いたり、カッティングしたりして使用します。

TOMBO™ No.1995(クリンシル®ブラウン)とは?

ニチアス社が製造するジョイントシートの中でも、最も標準的で汎用性が高いグレードがNo.1995です。主成分はNBR(ニトリルゴム)、アラミド繊維、無機充填材で構成されており、優れたコストパフォーマンスを発揮します。水、熱水、蒸気、空気、油など、比較的低温(最高183℃)の一般的なユーティリティラインで、その性能を安定して発揮します。

ガスケットの基本選定(形状と厚さ)

まず、ガスケットを選定する上で基本となるのが「形状」と「厚さ」です。これらはシール性能と施工性に直結します。

  • 形状(リング状 vs 全面形): ボルトの内側に収まる「リング状」は、締付力が集中し面圧が高くなるため、シール性に優れます。一方、ボルト穴が開いた「全面形(FF形状)」は、フランジへのセットが容易で、片締めになりにくいというメリットがあります。
  • 厚さ: 厚さが薄いほど、シール性や耐圧性は向上します。一方、厚いほどフランジ面の歪みや凹凸に対する追従性は良くなります。カタログでは、小・中口径(150A以下)では1.5mm厚、大口径(200A以上)では3.0mm厚が標準として推奨されています。

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第2部:【流体別】ジョイントシート使用上の重要注意点

ジョイントシートは万能ではありません。特にガス系流体や高温の蒸気ラインで使用する際には、その特性を理解した上で特別な注意が必要です。

ガス系流体への使用:浸透漏れ対策が必須

ジョイントシートは、繊維や充填材をゴムで固めた多孔質な構造をしています。そのため、分子の小さいガス系流体では、ガスケット内部を通り抜けてしまう「浸透漏れ」が発生しやすくなります。ガスラインで使用する場合は、以下の対策を必ず実施してください。

  • ガスケットペーストの塗布: シール性を向上させるため、ガスケットの表面だけでなく、ガスの通り道となる内径側の端面にもペーストを薄く均一に塗布します。
  • 薄い厚さの選定: 浸透経路を短くするため、厚さは1.5mm以下の薄いものを選定します。
  • リング状の推奨: 十分な締付面圧を確保するため、形状はリング状を推奨します。

【警告】毒性ガス、可燃性ガス、支燃性ガス(酸素)など、微量の漏れも許されない危険なガスには、ジョイントシートは絶対に使用しないでください。

蒸気・熱水ラインへの使用:締付面圧の管理が鍵

高温の蒸気や熱水は、ジョイントシートにとって厳しい環境です。特に、TOMBO No.1995を100℃以上の蒸気・熱水ラインで使用する場合は、十分なシール性能を確保するために、通常より高い29.4N/mm²以上の締付面圧で締め付ける必要があります。また、配管の熱膨張などによる応力がガスケットにかからないよう、設計・施工段階での配慮が重要です。

第3部:トラブルを防ぐ施工とメンテナンス

ガスケットのトラブルで最も多いのが、施工時の「圧縮破壊」です。これを防ぐためには、正しい知識に基づいた作業が不可欠です。

圧縮破壊の防止策

  • 過剰な締め付けは厳禁: 各製品には「許容締付面圧」が設定されています。トルクレンチを用い、この値を超えないように管理してください。特に小口径フランジは力がかかりやすいため注意が必要です。
  • 均一な締め付けの徹底: ボルトを対角線上に段階的に締め付ける「対角締め」を必ず行ってください。一部分だけを強く締める「片締め」は、応力集中を引き起こし、圧縮破壊の最大の原因となります。

ガスケットペーストの正しい使い方

ガスケットペーストはシール性を補助する有効なツールですが、選定を誤ると逆効果になります。

  • 推奨ペースト: TOMBO No.9105(水系用)、No.9106(油系用)、No.9400(万能タイプ)など、メーカー推奨品を使用してください。
  • 使用不可のペースト: 溶剤系の液状パッキンはガスケットを膨潤させ、シリコーン系のグリースは滑りを助長し、いずれも圧縮破壊の原因となるため, 絶対に使用しないでください。 

ペーストの塗りすぎは、フランジとの摩擦力を低下させ、圧縮破壊を誘発します。必ず薄く均一に塗布してください。

増し締めに関する注意点

TOMBO No.1995やNo.1993は、熱によって硬化する性質があります。そのため、一度昇温した後は、弾性が失われ、増し締めを行うと割れてしまう可能性があります。原則として、昇温後の増し締めはできません。

第4部:複雑な選定・特殊加工はダイコーへ

ジョイントシートは汎用性が高い一方で、その選定には流体、温度、圧力、フランジ形状など、多くの専門的知識が求められます。特に、規格外の寸法や特殊な形状が必要な場合、シートからの加工が不可欠です。

「自社のラインに最適なジョイントシートのグレードが分からない」「熱交換器用にリブ付きの複雑な形状のガスケットが必要だ」「図面から1枚だけ試作してほしい」

株式会社ダイコーでは、お客様の使用条件を詳細にヒアリングし、ニチアス製品をはじめとする豊富なラインナップの中から最適な材質・厚さ・形状をご提案します。 また、最新のカッティングプロッターやウォータージェット加工機を駆使し、図面一枚からあらゆる形状のガスケットを、1枚からでも迅速に製作可能です。複雑なガスケットの選定・加工でお困りの際は、ぜひ私たち専門家にご相談ください。

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