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導入事例/コラム

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【排ガス用高温ガスケット】ゴム引き加工による追従性向上とRCF規制対策 株式会社ダイコー

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【排ガス用高温ガスケット】
ゴム引き加工による追従性向上とRCF規制対策|D5400・D5800選定ガイド

ボイラー煙道、焼却施設、工業乾燥炉、金属加熱炉、発電設備などの排ガスダクトラインにおいて、高温排ガスの確実なシールは、安全操業と作業環境の保全を図るうえで重要な要素です。

しかし、排ガスラインのダクトフランジは、高圧蒸気や油圧配管のようなJIS規格鋼製フランジとは異なり、「口径が大きい」「薄板製アングルなどで剛性が低く歪みやすい」「ボルトピッチが広く面圧が均一にかかりにくい」といった構造的特徴を持っています。また、使用温度域も400℃から800℃前後の高温に達するため、一般的なゴムシートやジョイントシートでは対応が難しく、耐熱性に優れた無機繊維クロスの適用が不可欠となります。

一方で、繊維クロス単体の状態では「裁断時に織り目がほつれやすい」「繊維の粉じんが作業環境に飛散しやすい」「フランジ面の微細な粗さに対する馴染み性が不足しやすい」といった取り扱い上の課題が生じます。

株式会社ダイコーでは、耐熱無機繊維クロス(ガラスクロス/生体溶解性セラミッククロス)に独自の「ゴム引き加工(コーティング・含浸)」を施し、追従性・加工性・作業安全性を高めた排ガス用高温ガスケット(D5400/D5800)を製造しています。また、労働安全衛生法上の特定化学物質障害予防規則(特化則)におけるRCF(リフラクトリーセラミックファイバー)規制に対応した素材を取り揃え、用途に応じた選定と特注寸法加工に対応しています。

本記事では、排ガスダクトフランジの構造的特徴、ゴム引き加工が果たす役割、使用温度に応じた「D5400(400℃)」と「D5800(800℃)」の選定基準、および金型不要の特注加工体制について解説します。

1. 排ガスダクト・煙道フランジにおける締結環境と課題

排ガスダクトの接合部は、配管フランジと比較して以下のような構造的特徴を有しており、ガスケット選定において考慮すべき固有の条件が存在します。

【排ガスダクトフランジの主な構造的特徴】

・薄板鋼板やアングル材で構成され、フランジ自体の剛性が比較的低い
・大型の角型ダクトや大口径丸型が多く、フランジ面に歪みや波打ちが生じやすい
・ボルト間の距離(ピッチ)が広く、締結面圧にムラが生じやすい
・熱膨張・熱収縮の繰り返しによるフランジ面の変位が生じる

■ フランジ面の歪みと剛性不足

プラントの高圧配管フランジと異なり、排ガス煙道や角型ダクトは板金を溶接したアングルフランジなどが多用されます。剛性が高くないため、ボルト締結時にボルト周辺とボルト間の中間部で締め付け度合いに差が生じやすく、フランジ面全体の歪みや波打ちに対してガスケット側が適切に馴染む柔軟性が求められます。

■ クロス単体部材の取り扱い課題

耐熱性を重視して未加工のガラスクロスやセラミッククロスをそのまま使用した場合、以下のような実務上の問題が生じやすくなります。

  • 繊維のほつれ: 裁断時や現場での組み付け時に端面から繊維が解け、所定の寸法精度を維持しにくい。
  • 粉じんの飛散: 施工時や定期メンテナンスの解体時に繊維粉じんが浮遊し、作業者の皮膚刺激や吸入への配慮が必要となる。
  • フランジ面への追従性: 繊維の織布単体ではクッション性が限定的であり、フランジ面の凹凸に対する密着性を高める工夫が求められる。

2. ダイコーのコア技術「ゴム引き加工」の役割とメリット

ダイコーでは、耐熱クロス基材にゴムをコーティング・含浸させる「ゴム引き加工」を一貫して行っています。耐熱繊維の骨格にゴムの特性を複合させることで、素材単体では得られない実用的な付加価値を付与しています。

【ゴム引きクロスの断面イメージ】

  ┌───────────────────────────────────────────────┐
  │ ── ゴムコーティング層(表面平滑性・弾性付与) ── │
  ├───────────────────────────────────────────────┤
  │ ▲ ▲ ▲  耐熱無機繊維クロス(骨格・耐熱性)  ▲ ▲ ▲ │
  │   (内部繊維間にゴムを含浸・交点を保持)      │
  ├───────────────────────────────────────────────┤
  │ ── ゴムコーティング層(表面平滑性・弾性付与) ── │
  └───────────────────────────────────────────────┘

1. フランジ面の凹凸や歪みに対する追従性の向上

クロス基材にゴムの弾性が加わることで、素材のクッション性が向上します。これにより、薄板アングルフランジ特有の歪みや表面の微小な凹凸に対してガスケットが良好に追従し、より確実なシール性能を発揮します。

2. 繊維のほつれ防止と加工精度の向上

ゴムを含浸・コーティングすることで織り目の交点が固定され、繊維のほつれが大幅に抑制されます。これにより、NCカッタープロッターや刃型による打ち抜き、裁断、縫製といった後加工が格段に容易になり、複雑な寸法や異形形状のガスケットであっても高精度に製作することが可能です。

3. 粉じん飛散の抑制と作業環境の改善

特に高温用のセラミック系クロスにおいて、ゴムコーティング層が表面を覆うことで繊維の飛散を物理的に抑えます。施工時や交換作業時におけるチクチク感や粉じん吸入のリスクを低減し、作業現場の環境改善と作業者の安全確保に貢献します。

3. 製品ラインアップ:D5400(400℃)とD5800(800℃)の仕様

ダイコーでは、使用温度域および作業安全衛生基準に応じた2種類の主要グレードを展開しています。

項目 D5400(ガラスクロス系) D5800(生体溶解性クロス系)
基材 ガラス繊維クロス 生体溶解性セラミック繊維クロス
加工仕様 特殊ゴム引き(コーティング・含浸) 特殊ゴム引き(コーティング・含浸)
安全使用温度(目安) 400℃ 800℃
法規制(特化則・RCF) 規制対象外 規制対象外(AESウール)
製品特長 コストパフォーマンスに優れた汎用タイプ。
中温域のダクトフランジなどに好適。
より高温の環境に対応。
作業者の健康リスクを低減する安全な素材。
主な用途例 ボイラー煙道、熱風乾燥炉、排ガスダクト 高温燃焼装置、焼却施設、工業加熱炉

4. D5800が採用する「生体溶解性クロス」とRCF規制への対応

排ガス温度が400℃を超える高温域(500℃〜800℃)の断熱・シール用途では、法規制および作業者の健康保護の観点から材料選定が厳密に行われています。

■ RCF(リフラクトリーセラミックファイバー)規制の概要

従来の耐火性セラミックファイバー(RCF)は、吸入時の生体残留性による健康リスクが指摘され、労働安全衛生法の特定化学物質障害予防規則(特化則)において管理対象物質に指定されています。RCFを取り扱う設備・作業現場では、発じん防止措置、保護具の使用、作業記録の長期保存など、厳格な管理体制が求められます。

■ 生体溶解性セラミック繊維の採用メリット

D5800の基材として採用されている生体溶解性セラミック繊維(アルカリアースシリケートウール)は、吸入されても生体内(肺胞液等)で速やかに溶解・排出されるよう化学組成が調整された無機繊維です。

  • 特化則の対象外: RCF規制の対象とならないため、法的な管理負担や健康リスクを低減できます。
  • 耐熱温度800℃に対応: 従来のセラミッククロスと同等の耐熱性能を備えており、高温の燃焼装置や排ガスラインで安定して使用できます。
  • ゴム引きによる安全性向上: 素材自体の生体溶解性に加え、ゴム引き加工によって初期の粉じん飛散を抑える二重の安全衛生配慮がなされています。

5. ダイコーの大口径・角型ガスケット特注加工体制

排ガスダクトのガスケットは、標準的な規格配管フランジと異なり、現場ごとに異なる寸法や数メートル規模の角型ダクトへの対応が求められます。ダイコーでは、自社工場での一貫加工体制を活かし、金型不要の特注製作を行っています。

【特注ガスケットの製作工程】

[仕様・図面の確認]
  ・内寸、外寸、P.C.D、ボルト穴ピッチ、厚み、使用温度の確認
                 ↓↓
[NCカッタープロッター切断]
  ・抜型代不要でCADデータから直接カット
  ・ボルト穴・長穴・異形形状に対応
                 ↓↓
[接合・縫製加工(大型品の場合)]
  ・ダブテール(鳩尾型)ジョイント加工
  ・耐熱糸による縫製加工(分割一体化)
                 ↓↓
[寸法確認・梱包・出荷]
  • 1. 抜型不要(金型レス)での高精度カット: NCカッタープロッターを使用することで、高額な抜き型を製作することなく、CAD図面データから直接切断加工を行います。1品ごとの寸法が異なる改修工事や定期修繕における小ロットの製作でも、初期費用を抑えて短納期で対応可能です。
  • 2. 大型角型ダクト向けの分割・縫製加工: ロール原反の有効幅を超えるような大型の角型フランジガスケットに対しては、輸送性や現場施工性を考慮した分割構造(ダブテールジョイント等)や、耐熱糸を用いた縫製加工による一体化製作に対応しています。
  • 3. ボルト穴・長穴の一括加工: 手作業による穴あけ作業を省き、外形・内径の切断と同時にボルト穴や長穴を精密に同時加工するため、現場での位置合わせ作業をスムーズに行えます。

6. 使用上の実務的留意事項

排ガス用ゴム引きガスケットの選定および現場適用にあたっては、以下の使用条件をあらかじめ確認することが推奨されます。

  • 使用温度域の確認: 常用温度が400℃以下の場合は汎用タイプの「D5400」、400℃を超える場合は「D5800」を選定してください。安全使用温度は目安であり、温度変化の幅や保持時間、ガス流速等の条件を確認する必要があります。
  • 圧力条件の確認: 本製品は排ガスダクト、煙道、乾燥炉などの低圧気体ラインを主な対象としています。高圧配管や液体の加圧ラインへの適用は避け、流体・圧力条件に適合したシール材(ジョイントシートや金属系ガスケット等)を選定してください。
  • フランジ締結時の面圧管理: 薄板ダクトではボルトピッチ間の中央部で面圧が低下しやすいため、締め付け順序を均等にし、必要に応じて当て板(フラットバー)を併用するなど、フランジの変形を抑える工夫が有効です。

7. 【よくある質問】排ガス用高温ガスケットに関するFAQ

Q. D5400とD5800の使い分けの基準は何ですか?

A. 主な判断基準は使用温度です。安全使用温度の目安として、400℃以下の中温域にはコストパフォーマンスに優れたガラスクロス基材の「D5400」、400℃超〜800℃の高温域には生体溶解性セラミッククロス基材の「D5800」を推奨しています。また、作業環境におけるRCF対策を重視される場合は、D5800の選定が適しています。

Q. 現場のダクトが長方形(角型)ですが、指定寸法で製作できますか?

A. 製作可能です。角型ダクトの外寸・内寸・ボルト穴ピッチ、または図面データをご提示いただければ、NC切断機により所定の枠形状に加工いたします。大型サイズの場合は分割接合や縫製加工での対応も可能です。

Q. 1枚だけの小ロットでも注文できますか?

A. 1枚から製作を承っております。専用の抜き型を作らずにCADデータから切断できるため、補修用や試作などの小ロットであっても型代不要で対応いたします。

Q. 材料シート(原反)のみの供給は可能ですか?

A. 原反シート(ロール品・定尺板)での供給も可能です。自社でカット加工を行われる場合や、現場でのサイズ調整が必要な場合など、用途に応じてご相談ください。

8. まとめ:排ガスダクトの高温ガスケット製作はダイコーへ

排ガスダクトや煙道の確実なシールと安全な作業環境の維持には、使用温度やフランジ構造に適したガスケットの選定と、高精度な加工が重要です。

  • ダクトフランジの歪みに追従しやすい柔軟な高温ガスケットを探している
  • RCF規制に対応した生体溶解性繊維のガスケットを採用したい
  • 角型や大口径の排ガス用ガスケットを型代不要で1枚から製作したい

株式会社ダイコーでは、ガラスクロスや生体溶解性クロスへの「ゴム引き加工」から、NCプロッターによる特注切断、大型品の縫製加工まで一貫して自社で対応しております。排ガスラインのメンテナンスや新規設計におけるガスケット選定でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

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