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【基本ガイド】工業用シール材の選定と正しい使い方

【基本ガイド】工業用シール材の選定と正しい使い方
工場やプラントの安定稼働と安全を支える上で、流体の「漏れ」を防ぐシール技術は不可欠です。ここでは、最も代表的なシール材である「ガスケット」と「グランドパッキン」、そしてその性能を補助する「ガスケットペースト」について、基本的な知識からプロ向けの選定ポイント、トラブルを防ぐための重要な注意点までを網羅的に解説します。
目次
1. ガスケットペースト(シール補助剤)の役割と注意点
ガスケットペーストは、ガスケットの性能を補助し、シール性を高めたり、フランジへの焼き付きを防いでメンテナンスを容易にするための重要なアイテムです。しかし、誤った使用はトラブルの原因となります。
【最重要】使用上の注意点
- 塗りすぎは厳禁: 過剰な塗布は、締め付け時のガスケットの滑りや圧縮破壊の原因になります。必ず薄く均一に塗布してください。
- 用途に合わせ選定: 水系流体にはNo.5(M)、油系流体にはNo.6(M)、酸素ラインには不燃性のニューバルフロンペーストなど、流体や条件に合った製品を選びます。
- 汚染を嫌うラインには不使用: 食品、医薬品、半導体プロセスなど、コンタミネーションが問題となる箇所には使用を避けてください。
2. シートガスケットの種類と選定
シートガスケットは、配管フランジや機器の接合部に使用される最も一般的なガスケットです。材質や構造によって様々な種類があります。
ジョイントシートガスケット
ゴム、繊維、充填材を混合して作られる汎用性の高いガスケットです。TOMBO No.1995(標準品)、No.1993(耐蒸気)、No.1120(耐熱・耐食)など、グレードによって性能が異なります。使用する流体の温度や圧力に応じて適切なグレードを選定することが重要です。
PTFE(ふっ素樹脂)シートガスケット
耐薬品性やクリーン性に優れたガスケットです。特にニチアスソフトシール®(TOMBO No.9096シリーズ)は、100%PTFE製のソフトタイプで、現場での加工性に優れるため、様々な場面で活躍します。
- 古い設備や傷のあるフランジ: 優れた柔軟性で凹凸によくなじみ、漏れを止めます。
- 大口径・複雑形状の機器: テープ状のため、現場で必要な長さにカットして簡単に施工できます。
- 緊急補修・在庫削減: 数種類を在庫するだけで、多様なサイズのガスケットに緊急対応でき、在庫管理を簡素化します。
3. うず巻形ガスケットの注意点
高温・高圧条件下で優れたシール性を発揮するうず巻形ガスケットですが、その性能は設計から装着までの正しい取扱いに大きく左右されます。
トラブルを防ぐ重要ポイント
- 設計時の注意: フランジ座の表面粗さ(液体:6.3Ra, ガス:3.2Ra)を適切に管理します。特に差込溶接形フランジでは、ガスケット内輪がはみ出て変形・漏洩する組み合わせがあるため、設計段階での確認が必須です。
- 取扱時の注意: 大口径品や内外輪のない基本形は変形しやすいため、慎重に取り扱います。一度使用したガスケットの再使用は絶対にしないでください。
- 装着時の注意: フランジの中心に正しくセットし、指定されたトルクで均等に締め付けます。ペーストは基本的に不要ですが、フランジ面が荒れている場合などに限り、ごく薄く塗布します。
4. グランドパッキンの役割と選び方
グランドパッキンは、バルブの弁棒(ステム)やポンプの回転軸など、動く部分の隙間を塞ぎ、流体の漏れを防ぐシール材です。使用される機器によって求められる性能が大きく異なります。
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シール材の選定は、機器の安定稼働と安全を左右する重要な作業です。どの製品を選べば良いか分からない、現在お使いのシール材に問題があるなど、お困りの際はお気軽にご相談ください。専門知識豊富なスタッフが、お客様の状況に最適な製品をご提案します。
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