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食品衛生法適合パッキンの選び方とは?ポジティブリスト制度の重要ポイントを解説

食品衛生法適合パッキンの選び方とは?ポジティブリスト制度の重要ポイントを解説
はじめに:なぜ食品製造に「安全なパッキン」が不可欠なのか
食品工場や製造ラインにおいて、使用されるパッキンは製品の安全性に直結する非常に重要な部品です。万が一、パッキンの材質が原因で食品に有害物質が移行(溶出)してしまえば、深刻な健康被害や製品回収につながる恐れがあります。
そのため、食品に直接触れる、または触れる可能性のあるパッキンは、日本の「食品衛生法」が定める厳格な安全基準をクリアしている必要があります。この記事では、食品衛生法に適合した安全なパッキンを選ぶための重要なポイントを分かりやすく解説します。
食品衛生法と「ポジティブリスト制度」を理解する
食品と直接接触する器具や容器包装の安全性は、「食品衛生法」によって守られています。特に、パッキンに多く使われる合成樹脂製の材質については、2020年6月1日から「ポジティブリスト(PL)制度」が導入され、規制がより厳格になりました。
ポジティブリスト制度とは?
これまでは、使用を「禁止する物質」を定めたネガティブリスト制度が中心でしたが、ポジティブリスト制度では、安全性が評価され「使用を許可した物質」のリスト(ポジティブリスト)に掲載されている物質しか、原則として使用できなくなりました。これにより、国際的な基準とも整合性がとれ、より高いレベルでの安全性が確保されます。
対象となる材質には、合成樹脂のほか、ゴム製器具や容器包装(昭和34年厚生省告示第370号)などがあり、それぞれ定められた規格を満たす必要があります。
適合パッキンの確認方法:3つの重要チェックポイント
自社の製品で使用するパッキンが食品衛生法に適合しているかを確認するためには、主に以下の3つの方法があります。
- 基礎データに基づく材質試験
溶出試験: パッキンから有害な物質が食品へ溶け出さないかを確認する試験です。「材質試験」や「溶出試験」の成績書を確認することで、その材質の安全性を客観的に評価できます。
- 書類による適合証明
- 材料メーカーの使用制限の有無: 原材料メーカーが、その材料の使用条件(温度など)に制限を設けていないかを確認します。
- 第三者機関の適合証明書: 公的な試験機関などが発行する証明書は、信頼性の高い証拠となります。
- パッキンメーカーによる自己適合宣言書: パッキンの製造メーカーが、自社の製品が食品衛生法の基準に適合していることを自ら宣言する書類です。
これらの情報を製品選定時に取得し、設備設計や購買担当者が正確に内容を把握しておくことが不可欠です。
- トレーサビリティの確保
万が一、製品に問題が発生した場合でも、原因究明や製品回収を迅速に行うために、いつ、どこで、どの原材料を使って製造されたパッキンなのかを追跡できるトレーサビリティの確保が求められます。
設備の「見えないリスク」に対応する
食品製造現場では、異物混入や経年劣化による汚染が常にリスクとして存在します。適合品パッキンを選ぶことはもちろん、定期的な点検や交換計画を立て、設備を常に安全な状態に保つことが重要です。
まとめ:安全な製品づくりのために
食品衛生法に適合したパッキンを選ぶことは、法令遵守であると同時に、消費者の安全を守るための必須要件です。
- ポイント1:「ポジティブリスト制度」を正しく理解し、適合した材質を選ぶ。
- ポイント2:「試験成績書」や「適合証明書」で客観的な安全性を確認する。
これらのポイントを確実に実行し、自社の製品とブランドの安全・安心を守りましょう。
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