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【技術者向け】ジョイントシートガスケットの選定と使用上の注意点!
【技術者向け】ジョイントシートガスケットの選定と使用上の注意点
ジョイントシートガスケットは、配管のシール材として幅広い分野で使用されています。しかし、その性能を最大限に引き出し、安全に使用するためには、流体の種類や使用条件に応じた適切な選定と正しい施工が不可欠です。 この記事では、ジョイントシートガスケットの選定基準から、施工、メンテナンスにおける重要な注意点を解説します。
1. ガスケットの基本選定(形状・厚さ・座面仕上げ)
ガスケットを選定する際の基本的なポイントは、フランジのガスケット座面の仕上げと、使用条件に応じた厚さ・形状の選択です。
ジョイントシートを使用する場合のガスケット座の推奨表面粗さ
ガスケット座はJIS B 2220-2012の旋削仕上げを基準とします。
- 液体シールの用途: 6.3μm Ra
- ガスシールの用途: 3.2μm Ra
推奨される厚さと形状
浸透漏れのリスクを低減するため、特にガス系流体では厚みの薄いガスケットが推奨されます。また、十分な締付面圧を確保するために、ボルトの内側にガスケットが位置する「リング状」が推奨される場合があります。
流体 | 呼び径 | 推奨厚さ | 推奨形状 |
---|---|---|---|
水・油系 | 150A(6B)以下 200A(8B)以上 |
1.5mm 3.0mm |
- |
ガス系 | 全サイズ | 1.5mm以下 | リング状 |
蒸気・熱水ライン | 全サイズ | 1.5mm | リング状 |
2. 【流体別】使用上の注意点
ガス系流体の場合
ジョイントシートは内部に空隙が多い構造のため、ガス系流体では浸透漏れが生じやすくなります。以下の点に注意してください。
- ガスケットペーストを表面と内径端面に薄く均一に塗布する。
- 十分な締付面圧を加える。
- 気密試験は、ペースト塗布後2〜3時間放置し、ガスケットとフランジが馴染んでから実施する。
- 注意: 毒性ガス、高真空シール、支燃性ガス(酸素)など、微量の漏れも許容できない用途には使用しないでください。
蒸気・熱水ラインの場合
特定の条件下では、通常より高い締付面圧が必要です。TOMBO No.1995を100℃以上、またはTOMBO No.1993を120℃以上の蒸気・熱水ラインで使用する場合は、締付面圧を29.4N/mm²以上とし、配管応力がかからないように注意してください。
3. 施工時の重要ポイント
圧縮破壊の防止
圧縮破壊はガスケットの重大な損傷に繋がります。以下の項目を厳守してください。
- 許容締付面圧を超える過剰な締め付けは行わない。
- 片締めを避け、均一な力で締め付ける。一部分に荷重が集中すると、許容面圧以下でも破壊の原因となります。
- 小口径フランジは特に高い締付力がかかりやすいため注意が必要です。
ガスケットペーストの適切な使用
- 推奨ペースト: TOMBO No.9105, 9106, 9400 をご使用ください。
- 使用不可のペースト: 溶剤系の液状パッキン(ガスケットを膨潤させる)や、シリコーン系のオイル・グリース(滑りを助長する)は、圧縮破壊を引き起こす可能性があるため使用しないでください。
増し締めについて
製品によっては、一度硬化すると増し締めができません。
- TOMBO No.1995およびNo.1993は、昇温後に硬化するため増し締めはできません。
- TOMBO No.1120は増し締め可能ですが、高温状態での増し締め(ホットボルディング)は許容締付面圧が低下するため行えません。
4. その他
ステンレス鋼フランジへの使用
株式会社ニチアス製のノンアスベストジョイントシートは、可溶性ハロゲン量が少ないため、ステンレス鋼フランジに防食ペーストなしで使用できます。
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