MGマイティカバー® 徹底ガイド|配管断熱の「ワンタッチ革命」、その卓越した性能と選定のすべて
「プラントの蒸気配管や温水配管からの放熱が、エネルギーコストを圧迫している」
「空調の冷水配管に結露が発生し、カビや錆の原因になって困っている」
「従来のブランケット材を配管に巻き付ける作業は時間がかかり、施工品質にもバラツキが出る」…。
工場、プラント、ビル建築において、無数に張り巡らされた「配管」の保温・断熱は、省エネルギー、結露防止(防露)、そして安全(火傷防止)のために不可欠な、最も基本的かつ重要なエンジニアリングです。しかし、その施工は従来、現場で断熱材をカットし、パイプに巻き付け、固定するという、手間と熟練を要する作業でした。
この、配管断熱における「施工の標準化・効率化」と「高い断熱性能」を両立させるという課題に対し、ニチアス株式会社が長年にわたり提供し続ける完璧な答えが、「MGマイティカバー®」です。
この記事では、MGマイティカバー®がなぜ配管保温筒の“デファクトスタンダード”として、あらゆる現場で圧倒的な信頼を得ているのか、その構造と性能の核心から、正しい選定方法までを徹底的に解説します。

第1部:MGマイティカバー®とは?— 究極の施工性と高性能の両立
MGマイティカバー®は、ニチアスが誇る高性能ロックウール(MG製品)を、あらかじめ配管の口径と断熱厚さに合わせて「筒状(カバー)」に成形した、プレモールド(事前成形)タイプの保温・断熱材です 。
性能の核心①:ワンタッチ施工を可能にする「スナップオン構造」
MGマイティカバー®の最大の特長は、その画期的な施工性にあります。
- スナップオンタイプ: 製品はあらかじめ筒状に成形されていますが、縦方向に一本の切れ目(スリット)が入っています。
- 簡単な施工: 施工時は、この切れ目を手で押し広げ、配管に「はめ込む(スナップオンする)」だけ。あとは継ぎ目を専用のテープで留めるだけで、誰でも簡単かつ迅速に、均一な品質の断熱施工が完了します。
この「スナップオン構造」により、従来のロール状断熱材(ブランケット)を現場でカットして巻き付ける工法と比較し、施工時間を劇的に短縮し、施工品質のバラツキをなくすことが可能です。
性能の核心②:基材「ロックウール」が持つ卓越した基本性能
施工性が高いだけでなく、基材であるロックウール(鉱石や高炉スラグを原料とする人造鉱物繊維)が、断熱材として求められるあらゆる性能を高いレベルで満たしています 。
- 優れた「保温・断熱性」(600℃まで対応): 内部の微細な繊維が無数の空気層を保持し、熱の伝達を強力に遮断します 。JIS A 9504(人造鉱物繊維保温材)の「保温筒」規格に適合し 、熱間収縮温度は600℃以上を誇ります 。
- 優れた「不燃性」と「安全性」: 基材が不燃性の鉱石であるため、火災に対しても高い安全性を発揮します。国土交通大臣認定の不燃材(NM-8600, NM-8602)を取得しており 、ホルムアルデヒドの発散量が最も少ない「F☆☆☆☆」等級にも適合しています 。
- 優れた「吸音性」: ロックウール本来の吸音特性により、配管を流れる流体の騒音や振動音を低減する効果も期待できます 。
- ステンレス配管の腐食防止(低ハロゲン): ニチアスのMG製品は、ステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)の原因となるハロゲン(塩素など)の含有量を低く抑えるよう管理されています 。
第2部:【選定編】MGマイティカバー®の正しい選び方
MGマイティカバー®の選定は、主に「配管の口径」「必要な断熱厚さ」「表面仕上げ」の3つのステップで行います。
2-1. 表面仕上げの選定(裸品 vs ALGC貼り)
MGマイティカバー®には、大きく分けて2つの表面仕上げがあります。
A) MGマイティカバー(裸品)
- 構造: 表面材がついていない、ロックウール成形体そのままの製品です。
- 用途: 室内配管などで、施工後にさらに上から板金(ラッキング、ジャケット)や外装材を巻く場合の「中身(断熱芯材)」として使用されます 。
B) MGマイティカバー ALGC(ALGC貼り)
- 構造: 表面にALGC(アルミガラスクロス)を貼り付けた化粧タイプです 。
- ALGCのメリット: 防湿・防露(結露防止)に絶対不可欠な機能を発揮し、表面強度と意匠性も向上させます。
- 用途: 結露防止が求められる冷水・空調配管、または露出配管の保温・断熱仕上げ。
【選定の鉄則】
冷水・冷媒など結露の可能性がある配管には、必ず「ALGC貼り」を選定してください。 裸品を使用すると、断熱材が結露水を吸い込み、カビの発生や断熱性能の著しい低下、配管の腐食を引き起こします。
2-2. 配管口径と断熱厚さの選定
MGマイティカバー®は、JIS規格の配管サイズ(15A~400A)や銅管サイズに合わせて、膨大なラインナップが用意されています 。
- 口径(呼び径): 施工する配管の呼び径(例:50A)に合った製品を選定します。
- 厚さ: 必要な断熱性能や結露防止計算に基づき、20mmから100mmまで、きめ細かな厚さが用意されています 。
最終章:答えはここにある。「選定のご依頼はダイコーへ」
MGマイティカバー®は、配管の「直管」部分における断熱・保温の課題を高いレベルで解決します。しかし、実際の設備選定においては、カタログスペックだけでは判断が難しい場面も少なくありません。
「MGマイティカバー®の口径や厚さの選定が、自社の省エネ基準に合っているか不安だ」
「MGマイティカバー®で耐熱温度(600℃)は足りるか? もっと高温の場合はどうすれば?」
「ステンレス配管だが、低ハロゲン仕様だけで電食(異種金属接触腐食)の対策は万全か?」
「エルボやバルブ、T管など、直管以外の『異形部』の断熱はどうすれば?」
このような、カタログのスペック表だけでは決して答えの出ない、「選定」と「加工」が複雑に絡み合う課題。それに対して、50年以上の経験に裏打ちされた専門知識(ノウハウ)で応えることこそ、工業用製品の加工メーカーである株式会社ダイコーの真価です。
専門家による最適な「選定」
「選定のご依頼はダイコーへ」とお任せください。ダイコーの専門スタッフが、お客様の使用条件を詳細にヒアリング 。MGマイティカバー®が最適か、あるいはより高温・高強度なMGワイヤードブランケット® が必要か、はたまた電食防止のために絶縁フランジキット との併用が必要かなど、メーカーの垣根を越えた最適なソリューションをご提案します。
材質の選定に迷ったとき、標準品では対応できない特殊な加工が必要なとき、あるいはどこに頼めば良いか分からない課題に直面したとき。その答えは、常にここにあります。選定のご依頼はダイコーへ — どうぞ、お気軽にご相談ください。