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導入事例/コラム

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ダイコーの各種紡績品 ガラスリボン・生体溶解性リボン|400℃~800℃の高温断熱・シール材【徹底解説】

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ダイコーの各種紡績品 ガラスリボン・生体溶解性リボン|400℃~800℃の排ガス・高温断熱・シール材【徹底解説】

「ボイラーの扉の隙間から熱が漏れている」「排ガスダクトの接続部のような、平らではない場所をどうシールすればいいのか?」「配管を断熱材で覆いたいが、曲がりが多くて板状の断熱材では施工できない」…。

高温設備の世界では、平坦なフランジ面だけでなく、扉の嵌合部、ダクトの継ぎ目、湾曲した配管など、柔軟なシール材や断熱材が不可欠な場面が数多く存在します。硬いシート状のガスケットでは対応できない、こうした複雑で立体的な箇所の熱対策を担うのが、繊維を編み込んで作られる「各種紡績品」です。

この記事では、工業用製品の加工メーカーである,株式会社ダイコーが提供する耐熱紡績品の世界を深掘りします。材質の選定(ガラス vs 生体溶解性繊維)から形状の選定(リボン、丸打ち、角打ち)まで、用途に応じた最適な製品選びの全知識を、徹底的に解説します。

第1部:「紡績品」とは何か?— 柔軟性が武器の耐熱シール・断熱材

「紡績品」とは、ガラスや生体溶解性繊維といった耐熱性を持つ無機繊維のヤーン(糸)を、編んだり、織ったり、撚り合わせたりして、紐(ロープ)、テープ、リボンといった様々な形状に加工した製品の総称です。

シートガスケットとの根本的な違い

平らなフランジ面に使用される「シートガスケット」が“面”でシールするのに対し、「紡績品」は“線”や“帯”でシールします。その最大の武器は、形状を問わない優れた柔軟性です。

  • 複雑な形状への追従: 曲面や凹凸、狭い溝など、硬いシートでは追従できない箇所にも、ロープ状やテープ状の紡績品なら自在にフィットさせることができます。
  • 断熱材としての活用: 配管や機器に巻き付けることで、優れた断熱層を形成し、放熱によるエネルギーロスを防いだり、作業員の火傷を防止したりする役割も担います。

【重要】使用における前提条件

紡績品を選定・使用する上で、まず理解しておくべき最も重要な特性があります。それは、カタログにも明記されている「但しこのガスケットは気密性には優れておりません、多少の漏れが許される箇所でのご使用になります」という点です。繊維を編んだ構造上、完全な気密性を確保することは難しいため、高圧ガスのシールのような、わずかな漏れも許されない用途には適しません。ボイラーの扉や工業炉の蓋、熱風ダクトの接続部など、ある程度の漏洩が許容される箇所での使用が前提となります。

カタログダウンロードへの誘導バナー

第2部:【材質選定編】使用温度で決める!「ガラス」vs「生体溶解性」

ダイコーが提供する紡績品は、基材となる繊維によって、主に2つのシリーズに大別されます。どちらを選ぶべきか、その判断基準は極めてシンプル、「使用温度」です。

1. D5400シリーズ(ガラス繊維)— 400℃までの中高温域を担う、信頼のスタンダード

基材と性能:
基材にガラス繊維(グラスファイバー)を用いた、最も標準的でコストパフォーマンスに優れたシリーズです。耐熱温度は400℃。この温度は、多くのプラントにおける蒸気配管、ボイラー、乾燥炉、排ガスダクトなどの運転温度をカバーしており、幅広い用途で安定した性能を発揮します。

2. D5800シリーズ(生体溶解性繊維)— 800℃までの高温域と「安全性」を両立する次世代の選択肢

基材と性能:
基材には、より高い耐熱性を持つ生体溶解性繊維(Bio-Soluble Fiber, BSF)が使用されています。
耐熱温度は800℃に達し、ガラス繊維では対応できない、より高温の領域、例えば焼却炉や各種工業炉のシール・断熱にその真価を発揮します。

特筆すべき「安全性」:
かつて、この温度域ではセラミックファイバー(RCF)が主流でしたが、RCFは人体への影響が懸念され、現在は法規制(特定化学物質障害予防規則)の対象となっています。D5800シリーズが採用する生体溶解性繊維は、このRCFの代替として開発された安全な素材です。万が一体内に吸入されても、体液によって速やかに溶解・排出される性質を持つため、作業者の健康リスクを大幅に低減します。ダイコーのカタログでは、慣例的に「セラミック」と表記されている箇所もありますが、その材質はRCF規制に対応した安全な生体溶解性繊維ですので、安心して使用できます。

第3部:【形状選定編】施工箇所で使い分ける!3つの基本形状とその他の製品

材質が決まったら、次は施工箇所の形状や目的に合わせて、最適な「形」を選びます。

1. リボン状製品(D5400-R / D5800-R)

形状: 幅の広い、平たいテープ状の製品です。

最適な用途:

  • 断熱・保温: 配管や高温機器の表面に巻き付けることで、効率的な断熱層を形成します。
  • 広めの隙間のシール: ダクトの接続フランジなど、比較的幅の広い平坦な隙間を塞ぐのに適しています。

2. 丸打ちパッキン(D5400-M / D5800-M)

形状: 断面が円形(ロープ状)の製品です。

最適な用途:

  • 溝への充填: ボイラーの扉や工業炉の蓋など、シール用の溝(グルーブ)が設けられている箇所に最適です。円形の断面が溝にフィットし、圧縮されることで高いシール効果を発揮します。
  • 不規則な隙間のシール: 柔軟性に富むため、形状が一定でない隙間にも追従しやすいのが特徴です。

3. 角打ちパッキン(D5400-K / D5800-K)

形状: 断面が正方形(角形)の製品です。

最適な用途:

  • 角型の溝やフレームのシール: 排ガス系ダクトの接続部や燃焼系機器のフレームなど、角型の溝や平坦な面に設置するのに適しています。平らな面で接触するため、設置が安定します。
  • スタティックシール: カタログではポンプシール部での使用も挙げられており、これは主に固定部(スタティック)のシールとしての用途を指します。

上記の代表的な3形状以外にも、ダイコーではより基本的な素材である「ヤーン(撚り紐)」も取り扱っており、お客様が現場で自由に加工・使用することも可能です。

最終章:答えはここにある。「複雑な選定・加工はダイコーへ」

ここまで見てきたように、耐熱紡績品の選定は、まず①使用温度(400℃か800℃か)で材質を決め、次に②施工箇所の形状(平たいか、丸い溝か、角い溝か)で製品形状を決める、という2ステップで進めるのが基本です。

しかし、実際の現場では、標準品だけでは解決できない課題が必ず存在します。

「カタログに載っている呼び径30mmより、さらに太い角打ちパッキンが必要だ」
「特殊なオーブンの扉に合わせて、丸打ちパッキンをあらかじめリング状に加工して納品してほしい」
「自社で使っているのが規制対象のRCFかどうかわからない。安全な生体溶解性繊維への代替を相談したい」
このような、カタログのスペック表を眺めるだけでは決して答えの出ない、現場固有の課題。それに対して、原料の選定から最終加工までを一貫して手掛けるメーカーならではの**専門知識(ノウハウ)と、それを形にする加工技術(ソリューション)**の両輪で応えることこそ、ダイコーの真価です。

専門家による最適なソリューション提案

ダイコーでは、お客様の設備、使用温度、そして安全に対する要求を専門の技術スタッフが詳細にヒアリング。400℃までなら「D5400」、それ以上なら「D5800」、焼き付きが懸念されるなら「黒鉛処理品」と、豊富な選択肢の中から、お客様の課題を解決する最適な仕様を的確にご提案します。

一貫生産体制によるオーダーメイド対応力

ダイコーは、耐熱クロスのゴム引き加工から紡績品の製造までを自社で行う、数少ない専門メーカーです。この一貫生産体制により、規格にない特殊な太さや長さの紡績品、あるいは表面に特殊な処理を施した製品など、お客様の「欲しい」に合わせたオーダーメイド対応が可能です。

材質の選定に迷ったとき、特殊な加工が必要なとき、あるいはどこに頼めば良いか分からない課題に直面したとき。その答えは、常にここにあります。複雑な選定・加工はダイコーへ — どうぞ、お気軽にご相談ください。

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