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導入事例/コラム

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ふっ素樹脂ジャケットガスケットとは?|3大メリットと現場での選び方を徹底解説【課題解決】株式会社ダイコー

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ふっ素樹脂ジャケットガスケットとは?|3大メリットと現場での選び方を徹底解説【課題解決】

「強酸・強アルカリを扱うラインで、ガスケットの劣化や漏洩が頻発している」「ガラスライニングのフランジで締付力がかけられず、安定したシールができない」「メンテナンスの度に、フランジに固着したガスケットを剥がすのに苦労している」これらは、化学プラントや医薬品・食品工場など、要求の厳しい現場で日々発生している、深刻なシールに関する課題です。

これらの課題を根本から解決するために、”適材適所”の思想で設計された高機能シール材が、株式会社バルカーの「ふっ素樹脂ジャケットガスケット」です。

この記事では、この高性能複合ガスケットが現場にもたらす3つの絶大なメリットを深掘りし、皆様が抱える課題をどのように解決するのか、そして数あるラインナップから最適な一品を選ぶための具体的な指針を、専門的な視点から徹底的に解説します。

第1部:なぜ選ばれるのか?ジャケットガスケットが現場にもたらす「3大メリット」

ふっ素樹脂ジャケットガスケットの価値は、異なる素材の長所を組み合わせた、そのユニークなハイブリッド構造に集約されています。

  • 外被(ジャケット): 流体に直接触れる部分は、耐薬品性の王様「ふっ素樹脂(PTFE)」でにコーティング。
  • 中芯材(インサート): 内部には、ジョイントシートや膨張黒鉛などの弾力性に富んだクッション材を内蔵。

この構造が、他のガスケットでは真似のできない、以下の3つの強力なメリットを生み出します。

メリット1:【漏れない】ほぼ全ての薬品に耐える「究極の耐薬品性」

化学プラントにおけるガスケット選定の最大の悩みは、扱う薬品に対する「耐食性」です。選定を誤れば、ガスケットは瞬く間に劣化し、危険な流体の漏洩事故に直結します。

ジャケットガスケットは、接液部がすべてPTFEで覆われているため、溶融アルカリ金属などを除く、ほぼ全ての化学薬品に対して侵されることがありません。これにより、従来は薬品ごとにガスケットを使い分ける必要があった多くのラインで、在庫の統一・標準化が可能となり、選定ミスというヒューマンエラーのリスクを劇的に低減させます。

課題解決事例:
課題: 複数の酸・アルカリ薬品を扱うプラントで、ガスケットの種類が多く、在庫管理が煩雑。取り付けミスも発生していた。
解決策: 広範な耐薬品性を持つジャケットガスケットに統一することで、在庫を削減し、安全性を向上させた。

ただし、注意点も存在します。 カタログでは「塩酸、硝酸、ハロゲン」といった浸透性の高い流体に対して、長期間の使用でPTFE外被を貫通し、内部の中芯材を侵す可能性を指摘しています。このような特に厳しい条件下では、中芯材自体も高耐食性のFタイプ(中芯:GF300)を選定したり、より高度なシール材への代替を検討する必要があります。

メリット2:【優しく締めても漏れない】ガラスライニング等に最適な「優れた低面圧シール性」

ガラスライニングや樹脂ライニングが施されたフランジ、あるいは大口径で歪みが生じやすいフランジでは、硬いガスケットを強く締め付けることができません。無理に締め付ければ、高価なライニング層が割れたり、フランジ自体が変形したりする大惨事につながります。

ジャケットガスケットは、内部の弾力性のある中芯材がクッションの役割を果たすため、極めて低い締付力(低面圧)でも、フランジ面の微細な凹凸やうねりに柔軟に追従し、確実なシールを実現します。 カタログに掲載されている圧縮復元特性のグラフを見ても、例えばHタイプは僅かな面圧で大きく変形(ひずみ)し、フランジに優しくフィットする様子が分かります。

課題解決事例:
課題: ガラスライニング製の反応槽マンホールで、標準的なガスケットでは締付力が不足し、漏れが止まらなかった。
解決策: 低面圧シール性に優れるジャケットガスケット(SタイプやHタイプ)に変更したところ、僅かな締付力で完全にシールすることに成功した。

メリット3:【剥がしやすい】メンテナンスを劇的に効率化する「卓越した非固着性」

メンテナンス現場で最も時間と労力がかかる作業の一つが、フランジ面に固着した古いガスケットの除去(ケレン作業)です。特に高温のラインでは、ガスケットが炭化・硬化してフランジに焼き付き、剥がすのに多大な時間を要するだけでなく、スクレーパーなどでフランジのシール面を傷つけてしまうリスクも伴います。

ジャケットガスケットの外被であるPTFEは、非常に優れた非粘着性(くっつきにくさ)を持っています。これにより、高温下で長期間使用した後でも、フランジ面に固着することがほとんどありません。ガスケット交換時には、古いガスケットが「スルリと」剥がれるため、ケレン作業がほぼ不要となり、メンテナンス時間の大幅な短縮と、フランジ面の保護に大きく貢献します。

課題解決事例:
課題: 高温の熱媒体油ラインで、定期メンテナンスの度にガスケットの固着に悩まされ、開放から復旧までに半日以上かかっていた。
解決策: ジャケットガスケット(Hタイプ)に変更したところ、固着が一切なくなり、交換作業が1時間程度で完了。ダウンタイムを大幅に短縮できた。

カタログダウンロードへの誘導バナー

第2部:【課題別】最適なジャケットガスケットの選び方

これらの強力なメリットを持つジャケットガスケットですが、その性能は内部の「中芯材」と外被の「形状」の組み合わせによって大きく変わります。ここでは、現場の具体的な課題から最適な仕様を導き出すための選定ガイドを示します。

現場の課題 最適な中芯材 最適な外被形状 解説
一般的な薬液ライン(~150℃) Nタイプ (ジョイントシート) N7030 (Y字形) 最も標準的でコストバランスに優れた組み合わせ。
150℃を超える蒸気・熱水ライン Sタイプ or Hタイプ N7030 (Y字形) Sタイプ(~200℃)、Hタイプ(~260℃)と温度に応じて選定。
医薬品・食品などクリーンなライン Fタイプ (GF300) N7035 (コの字形) 液だまりしないコの字形と食品衛生法適合のFタイプが最適。
大口径タンクのマンホール N, S, Hタイプ N7031 (融着形) 口径に合わせて中芯材を選定し、大口径対応の融着形とする。
真空ライン 各タイプ 各形状 + 外周処理 外被が引き込まれないよう、外周を融着または縫合した仕様が必須。

第3部:特殊仕様・複雑な選定はダイコーにご相談ください

ジャケットガスケットは、中芯材、外被形状、さらに外周処理などを組み合わせることで、あらゆる課題に対応できる可能性を秘めた、非常に奥の深い製品です。

「カタログに記載のない特殊な混合溶剤に対して、最も安全な中芯材と外被の組み合わせは?」
「ガラスライニングフランジの実測寸法に合わせて、N7035(コの字形)のHタイプを1枚だけ特急で製作してほしい」
「ジャケットガスケットとPTFEソリッドガスケット(GF300など)、うちのプラントの全体最適を考えると、どう使い分けるべきか?」
このような、カタログの標準情報だけでは決して答えの出ない、高度に専門的な判断やオーダーメイドの加工が必要となる場面では、ぜひ私たちガスケットのプロフェッショナル、ダイコーにご相談ください。

なぜ、複雑な選定・加工はダイコーに任せるべきなのか?

  • 専門的な製品選定サポート: 私たちは、ジャケットガスケットの無数の組み合わせの中から、お客様の流体、温度、圧力、フランジの状態、そしてコスト要求までを総合的に判断し、”オーバースペック”でも”スペック不足”でもない、真に最適な仕様をご提案します。
  • 高精度なオーダーメイド加工: 自社工場に最新のカッティングプロッターやウォータージェット加工機を完備。お客様からいただいた図面や実測寸法を基に、あらゆる複雑な形状のガスケットを、1枚からでも迅速かつ高精度に製作いたします。特に、ライニングフランジ用の寸法調整や、特殊な機器に合わせた異形品の製作を得意としています。
  • 信頼できる技術パートナーとして: ガスケットの選定ミスは、プラントの安全を根底から揺るがす重大なリスクです。私たちは単なる販売店ではなく、お客様の課題を共に解決する技術パートナーとして、専門的な知見で皆様のプラント運営をサポートします。

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