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導入事例/コラム

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バルカーNo.7GS66Aコードシール選定ガイド|不定形フランジと応急対応の切り札 株式会社ダイコー

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バルカーNo.7GS66Aコードシール選定ガイド|不定形フランジと応急対応の切り札

「大口径機器で、規格品のシートガスケットの在庫がない」「フランジ面に歪みや傷があり、通常のガスケットでは漏れが止まらない」「緊急のメンテナンスで、今すぐシールを復旧させなければならない」…こうした、定形・定寸のシートガスケットでは対応が難しい、予期せぬ、あるいは困難なシール課題。この究極の要求に応えるべく、”サイズフリー”という思想で開発されたのが、株式会社バルカーの「バルカー No.7GS66A」(コードシール〈ソフト〉オーバル形)です。

この記事では、No.7GS66Aがなぜ「応急対応」や「ひずみの大きいフランジ」の”切り札”となり得るのか、そのマシュマロのような柔らかさの秘密から、性能を100%引き出すための最も重要な「選定ルール」と「正しい使い方」まで、専門的な視点から徹底的に解説します。

第1部:No.7GS66Aとは?― 「改質PTFE」が可能にする究極の柔軟性と利便性

No.7GS66Aは、カタログにおいて「コードシール〈ソフト〉」というカテゴリーに分類される、ひも状(コード状)のシール材です。その性能の核心は、PTFEの優れた特性を維持しつつ、物理的な形状と性質を劇的に変化させた、独自の材料技術にあります。

性能の核心:柔軟性と強靭性を両立させた「改質PTFE」

カタログには「PTFEの優れた耐薬品・耐熱性をそのまま生かし柔軟でかつ強じんに富むように改質したマシュマロ状のサイズフリーシール材」と記載されています。これは、PTFEを特殊な加工で引き伸ばし、微細な繊維が複雑に絡み合った多孔質の構造(延伸PTFE=ePTFE)に変化させていることを意味します。

この「マシュマロ状」の構造が、硬質で変形しにくい通常のPTFEシートとは全く異なる、No.7GS66Aならではのユニークな特性を生み出しています。

No.7GS66Aが実現する4つの卓越した性能

  1. 究極のなじみ性と低面圧シール性
    マシュマロのように非常に柔らかく、わずかな力で容易に圧縮されます。これにより、フランジ表面の仕上げが悪い(粗い)箇所、傷や歪み、うねりがある箇所にも、まるで粘土のように追従し、完璧に隙間を埋め尽くします。締付力が不足しがちな大口径機器や樹脂製フランジ、GLライニングフランジなど、強く締め付けられない箇所で特にその真価を発揮します。
  2. あらゆる形状に対応する「サイズフリー」という利便性
    No.7GS66Aは、ロール状に巻かれたひも状の製品です。現場で必要な長さをハサミやカッターで切って使用するため、円形フランジはもちろん、四角形、楕円形、あるいは極めて複雑な形状のシール面にも、現物合わせで即座に対応できます。多種多様な寸法の予備ガスケットを在庫する必要がなくなり、管理コストとスペースを大幅に削減できるという大きなメリットがあります。
  3. 優れた耐薬品性・耐熱性とクリーン性
    主成分は100%PTFEであるため、溶融アルカリ金属などを除く、ほとんど全ての化学薬品に対して侵されることのない優れた耐薬品性を持ちます。また、使用温度範囲も-240℃~260℃と極めて広く、極低温から高温まで対応可能です。さらに、充填材を含まないためクリーンであり、食品衛生法にも適合しています。
  4. 優れた作業性
    製品には作業性を良くするための粘着材が付いています。これにより、垂直な面や複雑な形状のフランジにも、位置決めをしながら簡単に貼り付けることができ、施工時の作業効率を大幅に向上させます。

第2部:【最重要】No.7GS66Aの性能を100%引き出すための「選定と施工の鉄則」

No.7GS66Aは非常に便利で高性能なシール材ですが、その選定や使い方を誤ると、全く性能を発揮できません。カタログに記載されている注意事項は、この製品を使いこなす上で絶対に守らなければならないルールです。

選定の鉄則:締付後の「幅の変化」を理解する

No.7GS66Aを選定する上で、最も重要な知識です。この製品は圧縮されると、厚さが薄くなると同時に、幅が大きく広がります。

カタログには、この現象について以下の2つの重要な記載があります。

  • 「締付後の幅は、呼び寸法の約1.5~2.5倍になります」
  • 「使用するガスケット接触面幅の半分程度以下の製品を使用してください」

これが、No.7GS66A選定における「半分以下の法則」です。

なぜ半分以下なのか?
例えば、ガスケットを設置できるフランジの幅が20mmあるとします。ここに、幅12mmのコードシールを選定してしまうと、締め付けた際に幅が1.5倍(18mm)~2.5倍(30mm)に広がろうとします。フランジ幅を超える方向への変形は、ガスケットの内圧に対する抵抗力を著しく低下させ、漏洩の直接的な原因となります。
この場合、フランジ幅20mmの半分である10mm以下の製品、例えば呼び幅9mmのコードシールを選定するのが正解となります。これにより、締め付けられて幅が広がっても、フランジのシール面の内側に収まり、安定したシール性能を発揮できるのです。

用途の原則と注意点

  • 「応急対応用途」という基本認識: カタログには「基本的には、応急対応用途向けのシール材です」と明記されています。これは、No.7GS66Aが恒久的なシール材として不適切だという意味ではありません。しかし、フランジの状態が良好で、適切な締付管理ができる標準的な配管フランジにおいては、所定の寸法に加工されたシートガスケット(No.7020など)の方が、一般的に高い耐圧性や長期安定性を発揮します。
    No.7GS66Aは、そうした標準的なガスケットでは対応できない「特殊な状況」を解決するための、プロフェッショナル向けのツールと認識することが重要です。
  • フランジ面の清掃: 粘着材の効果を最大限に発揮させ、確実なシールを実現するため、貼り付け面の油分、水分、ゴミは完全に取り除き、乾燥させてください。
  • 使用不適な流体: カタログには「可燃性ガス、毒性ガス、重合性モノマーなど」には使用できないと記載されています。これらの危険流体への使用は絶対に行わないでください。

カタログダウンロードへの誘導バナー

第3部:特殊形状・複雑な選定はダイコーにご相談ください

バルカー No.7GS66Aは、現場の急なトラブルや、設計上の難題を解決する強力な味方です。しかし、その選定と運用は、「半分以下の法則」をはじめとする、専門的な知識と経験を必要とします。

「フランジの歪みがかなり大きいが、どのサイズのコードシールを選定すれば、最も確実か?」
「'応急対応'とあるが、この条件下であれば恒久的な対策として採用できないか?」
「粘着材が使用できない特殊な環境だが、何か良い方法はないか?」
「そもそも、このフランジにはコードシールではなく、特殊加工したシートガスケットの方が適しているのではないか?」
このような、カタログの標準情報だけでは判断に迷う専門的なケースや、より恒久的な対策を検討したい場面では、ぜひ私たちガスケットのプロフェッショナル、ダイコーにご相談ください。

なぜ、複雑な選定・加工はダイコーに任せるべきなのか?

  • 専門的な製品選定サポート: 私たちは、コードシールとシートガスケット、それぞれの長所と短所、そして適用限界を深く理解しています。お客様の状況(フランジの状態、流体、温度、圧力、緊急度)を詳細にヒアリングし、No.7GS66Aが最適か、あるいは別のシートガスケットを精密加工して対応すべきかなど、最も合理的で安全なシールソリューションをご提案します。
  • 高精度なオーダーメイド加工: 恒久的な対策としてシートガスケットが必要と判断された場合でも、ご安心ください。自社工場に最新のカッティングプロッターやウォータージェット加工機を完備しており、お客様からいただいた図面(CADデータ)を基に、あらゆる複雑な形状のガスケットを、1枚からでも迅速かつ高精度に製作いたします。
  • 信頼できる技術パートナーとして: ガスケットの選定ミスは、プラントの安定稼働を脅かす重大なリスクです。私たちは単なる販売店ではなく、お客様の課題を共に解決する技術パートナーとして、専門的な知見で皆様のプラント運営をサポートします。

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