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NBR(ニトリルゴム)の本質|耐油性のスペシャリストが持つ長所と制約【徹底解説】株式会社ダイコー

NBR(ニトリルゴム)の本質|耐油性のスペシャリストが持つ長所と制約
工業機械の安定稼働には、潤滑油や作動油が不可欠です。しかし、その油は多くのゴム材料を膨潤させ、劣化させる要因ともなります。この根本的な課題を解決するために開発されたのが、NBR(ニトリルゴム)です。NBRは「油環境で性能を発揮する」という明確な目的を持って設計された、スペシャリストと呼ぶべき合成ゴムです。
この記事では、NBRがなぜ耐油性の代名詞となったのか、その性能の本質を物性データから深く読み解きます。その上で、スペシャリストであるがゆえの「得意なこと」と「苦手なこと」を明確にし、最適な材料選定と加工ソリューションを専門商社ダイコーと共に提案します。
第1部:スペシャリストの核心性能 – なぜNBRは油に強いのか?
NBRは、化学的には「ブタジエン・アクリロニトリル共同合体」です 。この化学構造こそが、NBRの性能を決定づけています。その最大の特徴は、物性表に「耐油性、耐摩耗性、耐老化性が良い」と記されている通り、油環境下での圧倒的な安定性です 。
この耐油性に加え、NBRは機械的な信頼性も兼ね備えています。
第2部:性能のトレードオフ – NBRが持つ環境的制約
NBRが耐油性という特殊能力を獲得した一方で、その化学構造上、トレードオフとしていくつかの環境的制約も持ち合わせています。この「苦手なこと」を理解することは、材料の誤選定によるトラブルを避ける上で極めて重要です。
第3部:用途事例 – NBRの専門性が活きる現場
NBRの用途は、その「油に強く、屋外に弱い」という明確な特性に基づいて、主に屋内機械の重要部品に集中しています。
第4部:性能を最大限に引き出すために – 適正な稼働領域の理解
物性表に記載されたNBRの耐熱温度は100℃、耐寒温度は-10℃~-20℃です 。これはNBRが性能を発揮できる「稼働領域」の目安となります。
しかし、この領域は絶対的なものではありません。上限温度に近い環境での連続使用や、特殊な添加剤を含むオイルへの接触は、NBRの劣化を加速させる可能性があります。カタログスペックを鵜呑みにせず、実際の稼働環境(温度、圧力、接触流体など)を詳細に把握し、安全マージンを考慮した選定が不可欠です。
第5部:素材から高機能部品へ – ダイコーの加工・選定ソリューション
NBRという優れた素材も、最終的な製品の形状や精度が伴わなければ、その真価を発揮できません。また、より過酷な環境では、フッ素ゴム(FPM)など、さらに上位のスペシャリストが必要になる場面もあります。
「この油圧ユニットに適合する、精密な寸法のパッキンを製作したい」
「耐油性は必要だが、ある程度の耐熱性や耐候性も欲しい。最適な材料は?」
「図面から、試作品のオイルシールを1つだけ迅速に加工してほしい」
株式会社ダイコーは、こうしたお客様の課題に対し、材料のプロとして、また加工のプロとしてお応えします。最新のカッティングプロッターやウォータージェット加工機を駆使し、図面に基づいた高精度なNBR製品を1枚から製作。さらに、専門知識豊富なスタッフがお客様の使用条件を深く理解し、NBRが最適か、あるいは他の高機能ゴムがより適しているか、コストと性能のバランスを考慮した最適なソリューションを提案します。
ゴム製品の選定・加工に関するあらゆるお悩みは、ぜひ私たち専門家にご相談ください。
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