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導入事例/コラム

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バルカーNo.6500AC – なぜステンレス配管には「AC」が必要か?株式会社ダイコー【徹底解説】

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バルカーNo.6500AC – なぜステンレス配管には「AC」が必要か?【徹底解説】

「ステンレス配管を使っているのに、予期せぬフランジの腐食や割れが発生した」「水や蒸気ラインで、より長期的な安全性を確保したい」…こうした現場の課題の裏には、しばしばステンレス鋼特有の腐食メカニズムが隠されています。一見すると些細なガスケットの選定ミスが、重大な設備損傷に繋がることも少なくありません。

この記事では、ステンレス配管のシールにおける隠れたリスク「応力腐食割れ」を解き明かし、その専門的な対策として開発された、株式会社バルカーのクリーン・ジョイントシート「No. 6500AC」について、その存在意義と正しい使い方を徹底的に解説します。

第1部:ステンレス鋼の隠れた弱点とNo. 6500ACの役割

No. 6500ACは、汎用ガスケットNo. 6500をベースとしながら、ある特定の目的のために特殊な改良が加えられた製品です。その目的を理解するためには、まずステンレス鋼が抱える特有のリスクについて知る必要があります。

ステンレス鋼の天敵、「応力腐食割れ(SCC)」とは?

ステンレス鋼は「錆びにくい」金属として広く使われますが、特定の条件下では、まるでガラスが割れるように突然、脆性的な破壊を起こすことがあります。これが応力腐食割れ(Stress Corrosion Cracking, SCC)です。この現象は、以下の三つの要因が同時に揃ったときに発生します。

  • 材料要因: SUS304やSUS316といった、汎用的なオーステナイト系ステンレス鋼であること。
  • 応力要因: ボルトの締付力や配管の自重などによって、常に引っ張り応力がかかっていること。
  • 環境要因: 水分が存在し、かつ**塩化物イオン(Cl⁻)**などの腐食性イオンが存在すること。

問題は、この「塩化物イオン」がどこから来るかです。流体自体に含まれることもありますが、意外な供給源となるのが、フランジに密着している**ガスケット**なのです。

No. 6500ACの核心 ― アンチコロージョン(AC)思想

No. 6500ACの特長とは?このガスケットは、応力腐食割れの原因となる塩化物イオンの含有量を、製造段階から極限まで低減するように設計されています。

  • 低ハロゲン材料の採用: NBR、アラミド繊維、各種充填材といった構成材料は、すべて塩化物などのハロゲン化合物の含有量が極めて少ないグレードが厳選されています。
  • 清浄な製造プロセス: 製造過程での汚染を徹底的に管理することで、ガスケットからの塩化物イオンの溶出を抑制しています。

つまり、No. 6500ACは、圧力や温度への耐性がNo. 6500より高いわけではありません。その真価は、ステンレス鋼フランジを腐食から守るという、特殊な機能にあるのです。

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第2部:No. 6500ACの正しい選定と使用上の重要注意事項

No. 6500ACは特殊な目的を持つガスケットであるため、その選定と使用には明確な指針があります。誤った使い方ではコスト増に繋がるだけでなく、期待された性能を発揮できません。

選定の鉄則:いつ「AC」を選ぶべきか?

  • 推奨される適用箇所: フランジ材質がステンレス鋼(SUS304, SUS316など)、流体が**水、熱水、蒸気の場合。これらの条件が揃う場所では、応力腐食割れのリスクを回避するために、No. 6500ACの採用が強く推奨されます。
  • 適用が不要な箇所: フランジ材質が炭素鋼(SS400, S25Cなど)の場合。炭素鋼は応力腐食割れに対する感受性が低いため、No. 6500ACを使用する必要はなく、経済的なNo. 6500で十分です。

【重要警告】「100℃の壁」はNo. 6500ACにも存在する

No. 6500ACは腐食対策品であり、耐熱強化品ではありません。ベースとなっているのはNo. 6500と同じくゴムをバインダーとするジョイントシートです。したがって、100℃を超える温度で使用する際の注意事項は、No. 6500と全く同じです。

  • ガスケット厚さは1.5mm以下とする。
  • ガスケットペーストを塗布する。
  • 締付面圧は30MPa以上を確保する。
  • 配管応力がかかりにくく、交換しやすい箇所に用いる。
  • リングガスケットの使用を推奨する。

これらのルールを無視すれば、たとえNo. 6500ACであっても、熱による硬化劣化で漏洩するリスクがあります。

第3部:複雑な選定・加工はダイコーにご相談ください

ガスケットの選定は、単に流体と温度・圧力だけで決まるものではありません。フランジの材質との相性という、より深い知識が求められる場面が数多く存在します。

「流体自体にも微量の塩分が含まれている。No. 6500ACだけで対策は万全だろうか?」
「フランジはステンレスだが、ボルト・ナットが炭素鋼だ。何か注意点はあるか?」
「食品プラントなので、水道用器具の認証だけでなく、より厳しい規格に適合したガスケットが必要だ」
このような、カタログの標準情報だけでは判断が難しい複合的な問題や、シート材からの精密な加工が必要となる場面では、ぜひ私たちガスケットのプロフェッショナル、ダイコーにご相談ください。

なぜ、複雑な選定・加工はダイコーに任せるべきなのか?

  • 材料腐食に関する専門知識: 私たちは、ガスケットだけでなく、フランジやボルトといった周辺部材の腐食メカニズムにも精通しています。お客様のプラント全体の安全性を考慮した、最適なシールソリューションをご提案します。
  • 高精度なオーダーメイド加工: 自社工場に最新のカッティングプロッターやウォータージェット加工機を完備。お客様からいただいた図面(DXF, CADデータ)や、現物のサンプルからでも、あらゆる複雑な形状のガスケットを、1枚からでも迅速かつ高精度に製作いたします。
  • 信頼できる技術パートナーとして: ガスケットの選定ミスは、設備の寿命を縮め、予期せぬトラブルを招く可能性があります。私たちは単なる販売店ではなく、お客様の課題を共に解決する技術パートナーとして、専門的な知見で皆様のプラント運営を力強くサポートします。

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