記事公開日
最終更新日
うず巻形ガスケットからの漏れを防ぐ!設計・取扱・装着時の重要注意点とは?

うず巻形ガスケットからの漏れを防ぐ!設計・取扱・装着時の重要注意点
うず巻形ガスケットは、高温・高圧条件下で優れたシール性能を発揮する信頼性の高いガスケットです。しかし、その性能を最大限に引き出すためには、設計から取扱い、装着に至るまで、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、思わぬ漏洩トラブルを防ぐための注意事項を解説します。
① 設計時に注意すべき事項
ガスケットの性能は、フランジの設計段階から大きく影響を受けます。
フランジ座の表面粗さが重要
ガスケットが接触するフランジ面の表面粗さは、シール性能に直結します。以下の数値を推奨します。
- 液体シールの場合: 6.3Ra
- ガスシールの場合: 3.2Ra
また、フランジにV溝を設けるとシール性が低下するため、避けるようにしてください。
ボルト強度の確認
特にJIS 10KやASMEクラス150のような低圧クラスや、大口径のフランジでは、ガスケットを適切に圧縮するためのボルト強度が不足することがあります。高張力ボルト(例: SNB7)の使用を推奨します。
内輪のはみ出しに注意
フランジの種類(差込溶接形など)によっては、ガスケットの内輪がフランジの内径からはみ出す組み合わせが存在します。この場合、内輪ごとガスケットが変形し、漏れの原因となる可能性があるため、設計段階での確認が不可欠です。
フランジの形状 | 内外輪付うず巻形ガスケット | 内輪付うず巻形ガスケット |
---|---|---|
差込溶接形 (スリップオン) | クラス 150~600: 1B~24B クラス 900: 3B~12B, 16B~24B クラス 1500: 3B~24B |
クラス 300~1500: ~24B |
突き合わせ溶接形 ソケット溶接形 |
クラス 150~600: ½B~1B クラス 900~2500: ½B~2B |
クラス 300~600: ~1B クラス 900~2500: ~2B |
※JPI-7S-41-2005 解説表2より
② 取扱時に注意すべき事項
うず巻形ガスケットは精密な部品です。丁寧な取扱いを心がけてください。
変形しやすいガスケットの取扱い
以下のタイプのガスケットは、わずかな外力でも変形しやすいため、特に慎重な取扱いが必要です。
- 内外輪の付いていない「基本形」のガスケット
- 大口径のガスケット
- フィラー材料がPTFEや膨張黒鉛の、比較的大口径のガスケット
万が一多少変形してしまっても、フランジ溝に沿わせて装着することで使用できる場合がありますので、ご相談ください。
その他、取扱い全般の注意
- 無理な力を加えない: フランジにセットする際は、無理な力をかけないでください。特に大口径の場合は、2人以上で慎重に作業を行ってください。
- 再使用は厳禁: 一度使用したガスケットは塑性変形しており、本来のシール性能を発揮できません。絶対におやめください。
- 定期的な交換: 安全のため、ガスケットは定期的に交換してください。
③ 装着時に注意すべき事項
正しい装着作業が、長期的な安定シールを実現します。
ガスケットペーストの使用について
通常、うず巻形ガスケットにペーストを塗布する必要はありません。しかし、以下のような場合にシール性を高める目的で使用する際は、ごく薄く均一に塗布してください。
- フランジ表面が荒れているとき
- フランジにうねりや傷があるとき
- フランジやボルトの強度が不足しがちなとき
工夫のポイント:うず巻形ガスケットの浸透漏れは「巻き終わり部」から発生しやすいため、巻き終わり部にペーストを部分的に塗布することも有効な対策です。
正しい位置へのセットと締め付け
- センタリング: ガスケットはフランジ座の中心に正しくセットしてください。偏心は漏れの原因となります。
- 締め付け順序: 巻き終わり部直近のボルトから締め始めることで、漏れの可能性を低減させる工夫ができます。
お問い合わせ
うず巻形ガスケットの選定や使用方法についてご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。専門のスタッフがお客様の状況に合わせて最適なご提案をいたします。
製品に関するお問い合わせはこちら高機能ボルテックスガスケットのご案内

ガスケット・パッキン・工業用製品の総合カタログ
このカタログは、ガスケット・パッキンをはじめとした工業製品を幅広く取り扱う株式会社ダイコーの製品情報を詳しく掲載した総合カタログです。
