記事公開日
【材質比較】PTFE・PCTFE(ダイフロン®)・66ナイロンの違いとは?高圧ガス・耐薬品ライン向け樹脂ガスケットの選び方 株式会社ダイコー

【材質比較】PTFE・PCTFE(ダイフロン®)・66ナイロンの違いとは?高圧ガス・耐薬品ライン向け樹脂ガスケットの選び方
高圧ガス配管や薬液ラインなど、過酷な環境下でのシール材(樹脂ガスケットやバルブシート)の選定において、「PTFEとPCTFEの違いがよく分からない」「高圧環境でPTFEのフッ素樹脂パッキンを使っているが、へたってしまい漏れの原因になっている」といったお悩みをよく耳にします。
産業ガス(酸素、窒素、アルゴンなど)や特殊な薬液を扱う設備では、汎用的なゴムやプラスチックは使用できません。材質選定のミスが設備の停止や重大なトラブルに直結するため、エンジニアリングプラスチックの特性を正しく理解し、バルブシート材質などを適材適所で使い分けることが重要です。
本記事では、工業用シール材の専門メーカーとして豊富な販売・加工実績を持つ株式会社ダイコーが、設計・保全担当者様向けに、現場で比較検討されることの多い「PTFE」「PCTFE(ダイフロン®等)」「66ナイロン」の特性の違いと選び方を徹底解説します。
1. 過酷な環境におけるシール材選定の3つのポイント
水や一般油の配管とは異なり、高圧ガスや薬液を扱うプロセスラインでは、樹脂部材に対して主に以下の3つの耐性が求められます。
耐クリープ性(耐へたり性・耐圧性):
配管フランジやバルブシートにおいて、強い締め付け圧力や流体圧力がかかり続けた際、樹脂が圧力に負けて変形してしまう現象(クリープ/冷間流動)への耐性です。これが低いと、気密性が失われ漏洩に繋がります。
低温特性(耐寒性と靭性):
LN2(液化窒素)やLNG(液化天然ガス)などの極低温ラインでは、一般的な樹脂材料は極低温下で脆化し、割れや破損を起こす場合があります。極低温シール材として、低温下でも適度な靭性(粘り強さ)を失わないプラスチックの選定が必要です。
耐薬品性・酸素適合性(化学的安定性):
酸・アルカリ・各種溶剤などに対して、溶出したり膨潤したりしない化学的な安定性が求められます。また、酸素ラインにおいては、使用材料や表面状態を含めた酸素適合性も重要となります。
2. 【比較表】PTFE・PCTFE・66ナイロンの特性比較
これら3つのポイントを踏まえ、現場で高圧ガス用パッキンやバルブシート材として比較される「PTFE」「PCTFE」「66ナイロン」の特性を一覧表にまとめました。
| 材質名(略号) | 一般的な呼称・ブランド | 連続使用温度の目安 | 耐クリープ性 (耐へたり性) |
耐薬品性 | 主な用途・得意分野 |
|---|---|---|---|---|---|
| PTFE | 四フッ化エチレン (テフロン™など) |
-240℃ ~ 260℃ | △ 劣る (変形しやすい) |
◎ 極めて優秀 | 【耐薬品・滑り性重視】 一般的な薬品に強い。ただし高圧下ではクリープを起こすため、低圧ラインや摺動部に適する。 |
| PCTFE | ポリクロロトリフルオロエチレン (ダイフロン®など) |
-200℃ ~ 120℃ | ○ 優秀 | ○ 優秀 | 【極低温・高圧ガス向け】 低温特性と耐クリープ性を両立。産業ガス(LNG/LN2等)のバルブシートやパッキンの定番。 |
| 66ナイロン | ポリアミド66 | -40℃ ~ 120℃ | ◎ 非常に優秀 | △ 弱い (酸に注意) |
【常温高圧・耐摩耗重視】 非常に硬く摩耗に強い。常温の高圧ガスラインや、高い機械的強度が求められる部品に使用。 |
3. 各材質の特徴と「適材適所」の選び方
比較表の通り、すべての環境をカバーできる万能な樹脂材は存在しません。それぞれの長所と短所を理解した使い分けが、設備トラブルを防ぐ鍵となります。
① PTFE(四フッ化エチレン):耐薬品性と自己潤滑性の代表格
フッ素樹脂の代表格であるPTFEは、非常に優れた耐薬品性と耐熱性を持っています。一般的な酸・アルカリ・溶剤に対して極めて優れた耐薬品性を示し、流体への不純物溶出が極めて少ないため、薬液ラインでは欠かせない素材です。また、摩擦係数が極めて低いため、滑らかに動かしたい摺動部にも適しています。
選定の注意点(弱点): 非常に柔らかい材質のため、高圧がかかるフランジやバルブシートに使用すると、時間とともに樹脂が逃げてはみ出す「クリープ現象(冷間流動)」が起きます。高圧ラインで使用する場合は、ガラス繊維などを充填した強化グレードを選定するなどの工夫が必要です。
② PCTFE(ダイフロン®など):極低温・高圧ガスの定番材質
PCTFE(商品名:ダイフロン®など)は、フッ素樹脂の一種でありながら、分子構造により高い硬度と優れた機械的強度(耐クリープ性)を実現した素材です。
選定のポイント: PTFEの弱点であった「圧力によるへたり」が少なく、かつ-200℃の極低温環境でも適度な機械的性質を維持します。また、ガスを透過させにくい優れたガスバリア性も持つため、酸素、窒素、アルゴンなどの産業ガス(液化ガス)配管や極低温シール材をはじめ、極低温・高圧ガス用途で広く採用される定番材質です。
選定の注意点(弱点): 非常に優秀な素材ですが、PTFEと比較すると耐薬品性には制限があり、一部の有機溶剤や高温環境では膨潤等のリスクがあるため事前評価が必要です。
③ 66ナイロン(ポリアミド66):常温・高圧に強いタフな素材
66ナイロンは非フッ素系のエンジニアリングプラスチックで、耐摩耗性や引張強度が高い素材です。
選定のポイント: 金属と擦れ合っても摩耗しにくい非常にタフな性質を持ちます。この高い機械強度を活かし、常温域の高圧ガス機器部品(ガスシリンダーのバルブ等)やバックアップリングなどに採用されています。
選定の注意点(弱点): 強酸には弱いため薬液ラインには不向きです。また吸水性があるため、温湿度条件や水分を含むガスラインでは寸法変化(膨潤)に十分な配慮が必要です。
4. 産業ガス向けシール材の手配における注意点
これらの樹脂ガスケットを産業ガス向けに手配・加工する際、製品不良や事故を防ぐために確認すべき重要なポイントがあります。
酸素ラインにおける「禁油・脱脂洗浄」と「クリーン管理」
特に酸素ガスラインにおいては、高い酸素適合性が求められます。加工時に付着した微量な防錆油や切削油(有機物)が残っていると、高圧の酸素と反応して発火・爆発事故を引き起こす恐れがあります。
そのため、部材の加工後には有機溶剤洗浄や超音波洗浄などによる厳格な禁油・脱脂洗浄を行うことが必須条件です。さらに、禁油・脱脂洗浄後も、再汚染(異物混入)を防ぐためのクリーンな梱包・保管管理が非常に重要となります。
5. PCTFE加工・フッ素樹脂パッキンの手配は実績豊富なダイコーへ
「使用環境に合わせて適切な樹脂材料を調達したい」「特殊な寸法のPCTFEバルブシートを加工してほしい」といったご要望は、株式会社ダイコーにお任せください。
当社は、長年にわたり大手産業ガスメーカー様や専門商社様(日本エア・リキード様、巴商会様など多数)へ、PCTFE、PTFE、66ナイロンなどの樹脂ガスケットやバルブ部品を安定して供給し続けてきた豊富な実績がございます。
■ ダイコーが選ばれる理由
- 産業ガス分野での豊富な販売実績:
業界特有の厳しい品質基準や、脱脂洗浄などの特殊な要求事項を熟知しており、多くのお客様から継続的なご指定をいただいております。 - 材料手配からPCTFE加工までの一貫対応:
各材質のプレートや丸棒の材料手配はもちろん、自社のウォータージェット加工機や切削設備を用いた別作加工にも対応可能です。特殊寸法や図面に基づくオーダーメイド品の「PCTFE 加工」や「フッ素樹脂 パッキン」の製作もお任せください。 - 確かな品質管理体制:
ISO9001認証に基づく厳格な寸法検査や品質管理のもと、設備の安全稼働を支える高品質なシール材をお届けします。
「図面が古く材質が不明」「現行材で漏れトラブルが発生している」といった更新案件のご相談にも対応可能です。材質選定にお悩みの際や、特殊サイズの高圧ガスパッキンの手配でお困りの際は、豊富な納入実績を持つ株式会社ダイコーへぜひお気軽にお問い合わせください。
製品に関するお問い合わせ

ガスケット・パッキン・工業用製品の総合カタログ
このカタログは、ガスケット・パッキンをはじめとした工業製品を幅広く取り扱う株式会社ダイコーの製品情報を詳しく掲載した総合カタログです。


