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導入事例/コラム

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ゴム 性能比較一覧表|性能・温度・選定のポイント【基本ガイド】株式会社ダイコー

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ゴム 性能比較一覧表|性能・温度・選定のポイント【基本ガイド】

ゴム材料の選定は、製品の性能、寿命、そして安全性を決定づける極めて重要なプロセスです。しかし、天然ゴムからフッ素ゴムまで、多種多様な選択肢が存在するため、「どのゴムが最適なのか」という判断は容易ではありません。

この記事は、これまで個別に解説してきた主要な工業用ゴム7種類について、その情報を一元的に集約した総合ガイドです。各材料が持つ独自の「個性」を、その核となる特長と使用温度から深く掘り下げ、比較検討することで、皆様の材料選定をより確かなものにするための一助となれば幸いです。最適な材料選定から精密加工まで、専門商社ダイコーの視点も交えて解説します。

第1部:ゴム選定の基本 – なぜ「適材適所」が重要なのか?

ゴム材料の世界では、「万能」な材料は存在しません。ある性能に秀でたゴムは、別の性能では劣るという「トレードオフ」の関係にあるのが一般的です。例えば、最高の耐熱性を持つフッ素ゴムは非常に高価で、耐寒性には劣ります。一方で、機械的強度に優れる天然ゴムは、熱や油、紫外線には非常に弱いという側面を持ちます。

このため、使用される環境や求められる性能を正確に把握し、それぞれのゴムの長所と短所を理解した上で「適材適所」の選定を行うことが、製品の信頼性を担保し、過剰品質によるコスト増を防ぐための絶対条件となるのです。

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第2部:主要ゴム7種の性能プロファイル

ここでは、7種類の主要なゴムについて、その「個性」とも言える性能プロファイルを個別に解説します。

1. 天然ゴム (NR) – 弾性の原点

最もゴムらしい、しなやかな弾性と優れた機械的強度を誇る基準となるゴム。繰り返しの変形に強く、耐摩耗性も良好ですが、耐候性や耐油性に劣るため、主に屋内での機械部品に利用されます。

  • 主な特長: 弾性、機械的強度、耐摩耗性に優れる
  • 耐熱温度: 70℃
  • 耐寒温度: -50℃ ~ -70℃
  • 得意な用途: タイヤ、防振ゴム、コンベアベルト
  • 苦手な環境: 屋外(オゾン・紫外線)、油・薬品

2. ニトリルゴム (NBR) – 耐油性のスペシャリスト

「油に強いゴム」の代名詞的存在。鉱物油や燃料油に対する優れた耐性を持ち、自動車のオイルシールや工場の油圧パッキンなど、油環境下での使用に不可欠です。ただし、屋外での使用には向きません。

  • 主な特長: 耐油性、耐摩耗性、耐老化性に優れる
  • 耐熱温度: 100℃
  • 耐寒温度: -10℃ ~ -20℃
  • 得意な用途: オイルシール、ガスケット、耐油ホース
  • 苦手な環境: 屋外(オゾン・紫外線)、極性溶剤

3. クロロプレンゴム (CR) – 信頼性の高い万能選手

耐候性、耐オゾン性、難燃性、そして中程度の耐油性など、多くの性能をバランス良く兼ね備えています。特定の性能が突出してはいないものの、幅広い用途に対応できる汎用性の高さから、屋外用部品や接着剤などに広く採用されています。

  • 主な特長: 耐候性、耐オゾン性、耐薬品性、難燃性など、バランスの取れた性能を持つ
  • 耐熱温度: 100℃
  • 耐寒温度: -35℃ ~ -55℃
  • 得意な用途: 屋外用電線被覆、建築用ガスケット、コンベアベルト
  • 苦手な環境: 高濃度の燃料油・溶剤

4. EPDM – 屋外環境の守護神

耐候性と耐オゾン性において、他のゴムを圧倒する最高レベルの性能を誇ります。太陽光や雨風に長期間さらされても劣化しにくいため、建築物の防水シートや自動車の窓枠ゴム(ウェザーストリップ)として絶大な信頼を得ています。ただし、油には極めて弱いのが特徴です。

  • 主な特長: 耐候性、耐オゾン性に極めて優れ、極性液体(水、薬品)にも強い
  • 耐熱温度: 120℃
  • 耐寒温度: -40℃ ~ -60℃
  • 得意な用途: 屋外用防水シート、自動車用ウェザーストリップ、水道用パッキン
  • 苦手な環境: 油・ガソリン

5. シリコンゴム (Si) – 温度の限界を超える

-120℃の極低温から200℃の高温まで、他のゴムが対応できない極めて広い温度範囲で使用可能です。また、人体への安全性が高く、食品・医療分野でも多用されます。一方で、機械的強度が低いという弱点も持ち合わせています。

  • 主な特長: 耐熱性・耐寒性が極めて広く、安全性も高い
  • 耐熱温度: 200℃
  • 耐寒温度: -70℃ ~ -120℃
  • 得意な用途: 高温用パッキン、食品・医療用部品、電線被覆
  • 苦手な環境: 高負荷・高摩擦がかかる箇所、蒸気

6. ウレタンゴム (U) – 機械的強度の王者

ゴムとプラスチックの長所を併せ持ち、特に耐摩耗性においては他の全てのゴムの追随を許しません。その驚異的な強靭さから、フォークリフトの車輪や高負荷ローラーなど、最も過酷な物理的条件下で使用されます。熱や熱水には弱いという明確な弱点があります。

  • 主な特長: 機械的強度、特に耐摩耗性が他のゴムを圧倒する
  • 耐熱温度: 70℃
  • 耐寒温度: -30℃ ~ -60℃
  • 得意な用途: 高負荷ローラー、フォークリフト用タイヤ、スクレーパー
  • 苦手な環境: 高温、熱水・蒸気(加水分解)

7. フッ素ゴム (FPM) – 究極の高性能エラストマー

耐熱性、耐薬品性、耐油性のすべてにおいて、数あるゴムの中で最高峰の性能を誇ります。化学プラントや半導体工場、航空宇宙産業など、他の材料では対応不可能な極限環境下での「最後の砦」となるエリート素材です。ただし、非常に高価であるため、選定は慎重に行う必要があります。

  • 主な特長: 最高の耐熱性と耐薬品性を誇り、最も過酷な環境に対応する
  • 耐熱温度: 250℃
  • 耐寒温度: -10℃ ~ -50℃
  • 得意な用途: 化学プラント用シール、半導体製造装置部品、航空宇宙用部品
  • 苦手な環境: 低温、有機酸、放射線

第3部:性能比較一覧表

ここまでの各ゴムのプロファイルを、一目で比較できるように一覧表にまとめます。

ゴムの種類 (略称) 主な特長 耐熱温度 (上限目安) 耐寒温度 (下限目安)
天然ゴム (NR) 弾性や機械的強度に優れ、最も「ゴムらしい」性質を持つ 70℃ -50℃ ~ -70℃
ニトリルゴム (NBR) 耐油性、耐摩耗性、耐老化性に優れる 100℃ -10℃ ~ -20℃
クロロプレンゴム (CR) 耐候性、耐オゾン性、耐薬品性、難燃性など、バランスの取れた性能を持つ 100℃ -35℃ ~ -55℃
EPDM 耐候性、耐オゾン性に極めて優れ、屋外での使用に最適。極性液体(水、薬品)にも強い 120℃ -40℃ ~ -60℃
シリコンゴム (Si) 耐熱性・耐寒性が極めて広く、安全性も高い 200℃ -70℃ ~ -120℃
ウレタンゴム (U) 機械的強度、特に耐摩耗性が他のゴムを圧倒する 70℃ -30℃ ~ -60℃
フッ素ゴム (FPM) 最高の耐熱性と耐薬品性を誇り、最も過酷な環境に対応する 250℃ -10℃ ~ -50℃

第4部:素材から高機能部品へ – ダイコーの加工・選定ソリューション

このガイドは、皆様がゴム材料の全体像を把握し、選定の第一歩を踏み出すためのものです。しかし、この知識を実際の「高機能部品」として結実させるには、材料のプロフェッショナルによる深い知見と、それを形にする精密な加工技術が不可欠です。

「自分の用途に最適なゴムは、この中のどれだろうか?」
「コストと性能のバランスを考えた上で、専門家の提案が欲しい」
「図面通りに、精密な寸法のゴム部品を1つから製作してほしい」
株式会社ダイコーは、こうしたお客様の課題に対し、材料のプロとして、また加工のプロとしてお応えします。お客様の使用条件を深く理解し、最適な材質選定をサポートするとともに、最新の加工機を駆使してお客様の設計を完璧な形で具現化します。
ゴム製品の選定・加工に関するあらゆるお悩みは、ぜひ私たち専門家にご相談ください。

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