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導入事例/コラム

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天然ゴム(NR)の真価|比類なき機械的強度と選定の注意点【徹底解説】株式会社ダイコー

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天然ゴム(NR)の真価|比類なき機械的強度と選定の注意点

数あるゴム素材の中で、その原点にして基準点とも言える存在が天然ゴム(NR)です。様々な高機能合成ゴムが開発される現代においても、天然ゴムが持つ卓越した機械的性能は多くの分野で代替不可能な価値を持ち続けています。

この記事では、提供された物性データを基に、天然ゴムがなぜ今なお産業界で不可欠なのか、その核心である「強さ」の秘密と、その強さを最大限に活かすために知るべき「弱点」を深く掘り下げます。最適な材料選定から精密加工まで、専門商社ダイコーのソリューションと共にお届けします。

第1部:天然ゴムの核心的価値 – なぜ「最もゴムらしい」のか?

天然ゴムの化学構造はポリイソプレンです 。その本質は、物性表に「弾性をもつ。耐摩耗性等の機械的性質を有する。いわゆる最もゴムらしい」と記されている言葉に集約されます 。これは、他のゴムが特定の機能を追求する中で、天然ゴムがゴムという素材の根源的な「しなやかさと強靭さ」を最も高いレベルで体現していることを意味します。

その性能は、以下の具体的なデータによって裏付けられています。

圧倒的な強度と弾性

引張強さは30~300 (Kg/cm²) という高い数値を誇り 、破断しにくい強さを示します。さらに、エネルギーを効率よく復元する能力を示す「反ぱつ弾性」は最高評価の「◎(すぐれている)」であり 、これが天然ゴム特有の優れた弾力性の源です。

繰り返しの力に耐える強靭さ

繰り返し曲げ伸ばされた際の亀裂の入りにくさを示す「耐屈曲亀裂性」も「◎(すぐれている)」と評価されています 。また、摩擦に対する強さである「耐摩耗性」も「○(よい)」評価を得ており 、動きのある過酷な環境下での使用に適しています。

第2部:選定の鍵 – 天然ゴムの性能を制限する環境要因

天然ゴムの比類なき機械的性能は、特定の環境下では弱点ともなり得ます。この限界点を正確に理解することが、トラブルを未然に防ぎ、材料を正しく選定するための鍵となります。

環境要因による弱点

  • 熱に対する脆弱性: 最高使用温度は70℃と、他の耐熱性ゴム(シリコンゴム200℃、フッ素ゴム250℃など)と比較して低く設定されています 。高温環境は物性低下の直接的な原因となるため、使用は推奨されません。
  • 屋外環境への不適合: 耐オゾン性は「X(わるい)」 、耐老化性は「〇(よい)」 、耐光性(耐候性)は「X(わるい)」 と評価されています。これらは、屋外での使用やオゾンが発生する電気機器周辺で、ひび割れなどの劣化が急速に進むことを示唆しており、屋内での使用が原則となります。
  • 油・薬品への耐性の低さ: 物性表に直接的な項目はありませんが、一般的に天然ゴムは鉱物油や多くの化学薬品に対して耐性がありません。油に接触する可能性がある部品には、耐油性に特化したニトリルゴム(NBR)などの合成ゴムが必須です。
  • 気体に対するシール性の低さ: ガスを透過しにくいかどうかの指標である耐ガス透過性は「△(あまりよくない)」評価です 。気体の厳密なシールが求められる用途には不向きと言えます。

第3部:用途事例 – 機械的性能が最優先される分野

天然ゴムの用途は、その弱点を補って余りあるほどの機械的性能が求められる分野に集中しています。

代表的な用途

  • 自動車・輸送機器: 高い耐摩耗性、耐屈曲亀裂性、弾性が総合的に求められるタイヤ(特に大型トラック用)や、エンジンの振動を吸収する防振ゴムなどが代表例です。
  • 産業用部品: 工場のコンベアベルトや各種ホース類など、繰り返しの動作や摩擦に耐える必要がある部品に広く採用されています。
  • 日用品: 輪ゴムやゴム手袋など、私たちの生活に身近な製品においても、その優れた伸縮性が活かされています。

第4部:性能を最大限に引き出すために – 使用条件の重要性

物性表に記載されている使用温度範囲(耐熱70℃、耐寒-50℃~-70℃)は、あくまで理想的な条件下での目安です 。実際の製品寿命や性能は、温度、圧力、接触する化学物質、かかる力の大きさや頻度など、複数の要因が絡み合って決まります。

カタログスペックは材料選定の出発点に過ぎません。最終的な判断は、実際の使用環境を詳細に想定し、時には専門家の知見を交えながら行うことが、材料の持つポテンシャルを最大限に引き出すことに繋がります。

カタログダウンロードへの誘導バナー

第5部:素材から高機能部品へ – ダイコーの加工・選定ソリューション

優れた素材である天然ゴムも、最終的な製品の形状や精度が伴わなければその価値を発揮できません。また、そもそも天然ゴムがその用途に最適なのかどうかの判断は、専門的な知識を要します。

「この設計で必要な、複雑な形状の防振ゴムを製作したい」
「現在の部品がすぐに摩耗してしまう。天然ゴムで解決できるだろうか」
「コストと性能のバランスを考えた上で、最適なゴム材料を提案してほしい」
株式会社ダイコーは、こうしたお客様の課題に対し、単なる材料販売に留まらないソリューションを提供します。最新のカッティングプロッターやウォータージェット加工機を駆使し、お客様の図面に基づいた高精度な加工を1枚から対応。さらに、専門知識豊富なスタッフがお客様の使用条件を丁寧にヒアリングし、天然ゴムを含む多様な選択肢の中から、安全性とコスト効率を両立させた最適な材料選定をサポートします。
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