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導入事例/コラム

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バルカーNo.6500ガスケット選定ガイド|基本性能と100℃超での重要注意事項 株式会社ダイコー【徹底解説】

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バルカーNo.6500ガスケット選定ガイド|基本性能と100℃超での重要注意事項【徹底解説】

「工場のユーティリティーラインで、最も標準的で信頼性の高いガスケットはどれか」「水や油に対して、コストパフォーマンスに優れたシール材を選定したい」…こうした現場の基本的なニーズに応える、まさに「定番」と呼べる製品が、株式会社バルカーが長年にわたり提供する一般用ジョイントシートガスケット「バルカー No. 6500」です。

この記事では、ご提供いただいたバルカー社の公式カタログ情報のみを基に、No. 6500がなぜ多くの現場で標準品として選ばれ続けるのか、その基本的な性能から、安全に使用するために絶対に守らなければならない重要な注意事項までを、専門的な視点から徹底的に解説します。

第1部:バルカー No. 6500とは?― 汎用ガスケットのスタンダード

バルカー No. 6500は、カタログにおいて「一般用ジョイントシート」として紹介されており、その名の通り、非常に幅広い産業分野の基本的なアプリケーションで利用されています。

性能の基盤:安定した構成材料

No. 6500の性能は、その堅実な材料構成に由来します。カタログによれば、主成分は以下の通りです。

  • NBR(ニトリルゴム): バインダー(結合材)として機能し、ガスケットに柔軟性とシール性を与えます。耐油性に優れるのが特徴です。
  • アラミド繊維: ガスケットに強度と耐熱性を与える補強材です。
  • ロックウール、無機充填材: 耐熱性の向上や、ガスケットの体積を確保するために配合されています。

これらの有機および無機質の材料をバランス良く混和し、圧延・加硫することで、安定した品質のシートガスケットが製造されます。

No. 6500の主な特長と適用範囲

この材料構成により、No. 6500は以下の優れた特長を発揮します。

  • 優れた汎用性: 水、熱水、油、空気、窒素ガスなど、プラントで最も一般的に使用される流体(ユーティリティー流体)に対して、安定したシール性能を発揮します。
  • 高い信頼性と実績: 長年にわたる豊富な採用実績があり、その品質と信頼性は多くの現場で証明されています。また、JIS S 3200-7に基づき、水道用器具への適性も確認されており、公共性の高い設備にも使用できます。
  • コストパフォーマンス: 高性能な特殊ガスケットと比較して経済的であり、プラント全体の広範な箇所に標準品として採用することで、メンテナンスコストの最適化に貢献します。

P-T線図(圧力-温度線図)が示す使用範囲

カタログに示されるP-T線図によれば、No. 6500は以下の範囲で使用可能です。

  • 水系流体(水、熱水など): 最高3MPa、最高214℃
  • 油系流体: 最高3MPa、最高214℃
  • 空気、窒素ガスなど: 最高1MPa、最高214℃

ただし、100℃を超える温度域での使用には、極めて重要な注意点が存在します。

第2部:【最重要】No. 6500の性能を左右する「100℃の壁」と正しい使用法

No. 6500は非常に信頼性の高いガスケットですが、その性能を安全に引き出すためには、最も強く警告している「100℃を超える温度での使用」に関するルールを絶対に守る必要があります。

なぜ100℃以上で注意が必要なのか?

「ゴムを使用したジョイントシートガスケットは、100℃以上で使用すると硬化して割れることがあります」と明記されています。これは、バインダーであるNBR(ゴム)が、熱によって徐々に弾力性を失い、硬く脆くなってしまうためです。硬化したガスケットは、配管の振動や熱膨張・収縮に追従できなくなり、ひび割れや欠けが生じ、最終的に漏洩に至る危険性があります。

このリスクを回避し、100℃を超える条件下でも安全にNo. 6500を使用するために、カタログでは以下の5つの対策を講じるよう指示しています。これらは、必ず遵守すべき現場の鉄則です。

100℃以上で使用するための5つの鉄則

  1. ガスケットの厚さを1.5mm以下とする: 厚いガスケットほど、硬化した場合に内部応力が大きくなり、割れやすくなります。厚さを1.5mm以下の薄いものにすることで、硬化の影響を最小限に抑えることができます。
  2. ガスケットペースト(シールペーストなど)を塗布する: ペーストをガスケットの両面に薄く均一に塗布することで、フランジ面との微細な隙間を埋め、初期のシール性を高めます。これにより、ガスケットが硬化し始める過程でも、シール性能を補助する効果が期待できます。
  3. 締付面圧を30MPa以上とする: 運転開始時の初期段階で、30MPa以上の十分な締付面圧をかけておくことが重要です。これにより、ガスケットが硬化して追従性を失う前に、フランジ面にしっかりと馴染ませ、強力なシール層を形成させることができます。
  4. 配管応力の負荷がかかりにくい箇所や、取り替えやすい箇所に使用する: これはリスク管理の観点から非常に重要です。万が一、硬化による漏洩が発生した場合でも、被害が少なく、かつ交換作業が容易な箇所に優先的に使用することで、プラント全体の安全性を高めることができます。
  5. リングガスケットの使用を推奨する: ボルトの内側に収まる「リングガスケット」は、ボルトの外側まで広がる「全面形ガスケット」と同じボルト締付力でも、ガスケットにかかる圧力(面圧)が高くなります。高い締付面圧を確保するために、リングガスケットの採用が強く推奨されています。

増し締めに関する重要な注意点

カタログでは「硬化しているジョイントシートを増し締めしないでください」と明確に警告しています。硬く脆くなったガスケットを増し締めすると、割れや破壊を引き起こすだけで、シール性能は回復しません。増し締めを行う場合は、硬化がまだ顕著でない「加熱運転開始24時間以内」に限定して実施する必要があります。

カタログダウンロードへの誘導バナー

第3部:特殊形状・複雑な選定はダイコーにご相談ください

バルカー No. 6500は、汎用ラインにおける標準品として非常に優れた製品です。しかし、その適用範囲や使用方法を正しく理解することが、安全な運用には不可欠です。

「このラインは常時180℃だが、カタログの指示通り使えば本当にNo. 6500で問題ないか?」
「ステンレスフランジなので、腐食が心配だ。No. 6500ACを選ぶべきか?」
「古い設備のカバー用に、図面から特殊な形状のガスケットを切り出してほしい」
このような、カタログの標準情報だけでは判断に迷うケースや、シート材からの精密な加工が必要となる場面では、ぜひ私たちガスケットのプロフェッショナル、ダイコーにご相談ください。

なぜ、複雑な選定・加工はダイコーに任せるべきなのか?

  • 専門的な製品選定サポート: 私たちは、バルカー製品をはじめとする豊富なラインナップの中から、お客様の使用条件(流体、温度、圧力、フランジ材質など)を詳細にヒアリングし、No. 6500が最適か、あるいはより耐熱性の高いNo. 6502や、耐薬品性に優れた他のガスケットが適しているかなど、安全性とコストを両立させた最適なソリューションをご提案します。
  • 高精度なオーダーメイド加工: 自社工場に最新のカッティングプロッターやウォータージェット加工機を完備。お客様からいただいた図面(CADデータ)を基に、あらゆる複雑な形状のガスケットを、1枚からでも迅速かつ高精度に製作いたします。
  • 信頼できる技術パートナーとして: ガスケットの選定ミスは、プラントの安定稼働を脅かす重大なリスクです。私たちは単なる販売店ではなく、お客様の課題を共に解決する技術パートナーとして、専門的な知見で皆様のプラント運営をサポートします。

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