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導入事例/コラム

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現場で活用、トルク管理の基礎ガイド|ガスケット漏洩の3大原因「締付不良」と対策事例 株式会社ダイコー

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現場で活用、トルク管理の基礎ガイド
ガスケット漏洩の3大原因「締付不良」と対策事例

「ガスケットを交換したのに、すぐに漏れてきた」
「推奨トルクで締めたはずが、ガスケットがはみ出して壊れた」
「熟練作業者と若手で、シールの信頼性に差が出てしまう」…。

プラントや工場の配管フランジにおいて、ガスケットからの漏洩は、生産停止、エネルギー損失、そして重大な安全事故に直結する深刻な問題です。そして、そのトラブルの多くは**「締付力の管理不備」**、すなわち施工不良が原因です。

この記事では、ガスケットのシールに「トルク管理」がなぜ不可欠なのか、その基礎理論と、最も起こりがちな3大締付不良(不足・過多・片締め)の事例と対策の概要を解説します。

より詳細な「JIS規格に準拠した正しい締付手順」や「材質別の推奨トルク値」については、株式会社ダイコーがご用意した【現場で使えるトルク管理 実践ガイド】(無料PDF)で詳しくご紹介します。

第1部:なぜトルク管理が“必須”なのか? — シールの原理と適正範囲

「トルクレンチを使わなくても、長年の感覚(手ルク)で十分だ」という考えは、特に高性能ガスケットが主流の現代において、非常に危険な誤解です。

1-1. シールの基本原理 — 2つの「隙間」を塞ぐ

ガスケットの役割は、フランジ接続部に存在する2種類の「隙間」を塞ぐことです。

  • ① フランジ面の微細な凹凸(接面漏れ)
  • ② ガスケット自体の微細な空隙(浸透漏れ)

これら2つの隙間を同時に塞ぐために絶対に必要なもの、それがボルトによる「締付力」であり、その結果ガスケットにかかる圧力「ガスケット面圧」です。

1-2. 漏洩と破損の狭間 — 適正締付面圧の重要性

ガスケットの締付管理が難しいのは、「適正な面圧の領域」が存在し、それを外れると即座にトラブルにつながるためです。

  • 締付け不足(下限以下): ガスケットの反発力が流体圧力に負け、隙間を塞ぎきれずに「漏えい」が発生します 。
  • 締付け過多(上限以上): ガスケットが締付力に耐えきれず、材料そのものが破壊(圧壊、座屈)し、シール機能を失って「漏えい」します 。

つまり、シールを成功させるには、「漏れないが、壊れない」という適正な締付面圧の領域を、正確に狙う必要があり、そのためにはトルクレンチを用いた定量的な「トルク管理」が必須となります 。

1-3.【現場の鉄則】トルク管理は「潤滑」とセット

現場でトルクレンチで管理する「トルク」は、ボルトを回す力であり、ガスケットを押す「軸力(締付力)」そのものではありません。

締付トルク (T) = トルク係数 (K) × ボルト軸力 (F) × ボルト呼び径 (d)

ここで重要なのが「K(トルク係数)」、すなわち**摩擦**です。ボルトが錆びていたり、潤滑剤を塗っていなかったりすると、Kの値は著しく大きくなります 。

その結果、トルクレンチで同じトルク(T)をかけても、力のほとんどが摩擦で失われ、肝心の軸力(F)は全く足りていないという、深刻な「締付け不足」が発生します 。

【結論】トルク管理とは、「トルクレンチを使うこと」と「ボルト・ナットのネジ部および座面に、指定の潤滑剤を正しく塗布すること」の2つでワンセットです。

第2部:【事例付き】これが漏れの原因だ!3大「締付不良」トラブルと対策

正しいトルク管理を怠ると、ガスケットは必ず漏れを引き起こします。現場で最も多く見られる3つの不良事例と、その対策の概要を解説します。

事例 1:締付け不足

  • 現象: ガスケットに十分な「当たり幅」がついていない。内圧によってガスケットがはみ出している(噴き切れ) 。
  • 原因: 「手ルク」頼りでのトルク不足。または、ボルトの錆や潤滑剤の不使用による「摩擦損失」で、トルクが軸力に変換されていない 。
  • 対策: トルクレンチの導入と、正しい潤滑剤の塗布を徹底する。

事例 2:過剰締付け(圧壊)

  • 現象: ジョイントシートがボロボロに砕け、亀裂が入っている(圧壊)。うず巻形ガスケットが内側へ変形している(座屈) 。
  • 原因: 「漏れが怖い」あまり、ガスケットの許容締付面圧を超える力で締め付けた。PTFEや膨張黒鉛など滑りやすい材質で、内輪なしのものを使用した 。
  • 対策: 許容締付面圧を絶対に超えないよう、トルク管理を徹底する。PTFEや膨張黒鉛フィラーのうず巻形ガスケットには、原則「内輪付」を選定する。

事例 3:片締め(不均一締付)

  • 現象: ガスケットの一部分だけが圧壊し、その対角側は締付跡が薄い、アンバランスな状態になっている 。
  • 原因: JIS規格で推奨される「対角締め」や「段階的な締め付け」をせず、隣り合うボルトを一度に強く締めた 。
  • 対策: JIS B 2251(またはASME PCC-1)の手順を厳格に遵守する。締付途中でフランジ面間をノギスで測定し、平行が出ていることを確認する 。

第3部:【重要】ホットボルティング(高温時増締め)の原則禁止

現場で漏れが発見された際、「熱いうちに増し締め(ホットボルティング)すれば止まる」という判断は、材質によって致命的な破壊を引き起こします。

  • ジョイントシート(No.1995など): 厳禁。 熱でゴムバインダーが硬化するため、増し締めすると割れて(圧壊して)漏洩を拡大させます 。
  • PTFE系ガスケット(No.1120など): 厳禁。 PTFEは高温で軟化するため、増し締めするとクリープ(塑性変形)し、圧壊する可能性があります 。

増締めは、必ず運転を停止し、フランジが常温に戻ってから、規定の手順で行うのが原則です。

最終章:答えは「詳細ガイド」と「専門家への相談」にあり

ガスケットの締付管理は、単にトルクレンチでボルトを回す作業ではありません。それは、使用するガスケットの材質特性(硬さ、耐熱性、クリープ特性)を深く理解し、JIS規格に準拠した正しい手順で実行する、高度なエンジニアリングです 。

「JIS B 2251に準拠した、具体的な締付手順(対角締め、周回締め)を図解で知りたい」
「主要ガスケットの『推奨締付トルク値』」
「特にトルク管理がシビアな製品の施工ノウハウを知りたい」

このような、現場ですぐに使える、より実践的で詳細なノウハウは、株式会社ダイコーがご用意した【現場で使えるトルク管理 実践ガイド】(無料PDF)で詳しく解説しています。

材質の選定に迷ったとき、正しい施工手順を確認したいとき、あるいは漏洩トラブルが解決しないとき。その答えは、常にここにあります。まずは下記より詳細ガイドをダウンロードいただき、複雑な課題はダイコーへお気軽にご相談ください。

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